チープに極楽。生きててよかった!

関西の激渋銭湯 【五條・吉野】
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大黒湯 ★(五條市)(廃業)
旭湯 (五條市)(廃業)
旭湯 (吉野郡大淀町) 
日の出湯 ★(吉野郡下市町)(廃業)
わらびを公衆浴場 ★(吉野郡十津川村) 
奈良市大和高田市その他の奈良盆地
大黒湯 ★

2010年、廃業されました(涙)。
建物はすでに撤去されたもよう。
レポートは営業当時のものです。
すこうさん情報感謝です)

五条市須恵3丁目2-20
TEL.07472-2-2932
【営業時間】午後4時〜7時30分
【定休日】月・水・金

 激感動をありがとう! 泣いたねワシャ。

 JR和歌山線の五条駅から正面の坂を少し下ると、いかにも田舎風の商店街が交差する。そこを右折したらすぐ。駅から歩いて1分くらい。
 深き味わいの外観。黒壁だ。
 大きな切り株をそのまま使った看板には「温泉 大黒屋湯」と書かれてある。でも商店街の看板や、立派な四角柱のレンガ煙突には「大黒湯」と書かれている。

 
(左)上部に「煙返し」の装飾あり    (右)この切り株がまた

 期待に胸を膨らませて暖簾をくぐると下足室、正面に鮮やかな大黒様のタイル絵がある。木製の下駄箱も渋い。

 
(左)大黒湯だぞと(傘立て邪魔)  (右)下駄箱と入口の戸がまた

 脱衣場は格子の天井をはじめ、古いベンチなどいにしえの木製品がふんだん。ただしロッカーは化粧合板の集成材モノに換えられている。

 さて、で、何が感動かって・・・浴室に入ったとたん、エエ〜ッ! と思わず声をあげてしまいましたワタクチ。
 浴室の真ん中に深浅の主浴槽がある配置はごくフツーの小銭湯と同じだが・・・なななななんと、その湯船がなんやがなオカーチャン。厚みのあるどっしりとした木の湯船にお湯がなみなみと沸いとるんやがなオトーチャン。
 そして、大阪圏に特徴的な、湯船の外側をぐるりと取り巻く腰かけ段、そこもやはり木!

 なんともいえぬ贅沢感に溢れたこの光景。アホのようにあちこちの銭湯へ行っている俺も、こんなの初めて見た。京都の船岡温泉も露天がヒノキ風呂だが、なんせここは主浴槽だからな・・・。
 思わず、そこに浸かっていた地元のじいさんに、
 「ほおー、ここは木のお風呂ですねぇ!」と見りゃわかることを言ってしまう。

 あとで番台のおかみさんに聞くと、腰かけ段の部分はコウヤマキ、湯船上部はヒノキだそうだ。ヒノキ部分は傷んで3度交換したが、マキは開業以来70年間そのままらしい。
 マキ材は長さ3メートル、幅30cm、厚さ4cmくらいの立派なもので、それが3辺を取り囲んでいる。もはやこういうのはなかなか手に入らない。70年間お湯にさらされて、フシの部分はへこんだりしているが朽ちた感じはない。

 浴槽全体にプーンと木の香りがただよっている。
 湯舟の香りも強いが、釜場で燃やされているオガクズの香りもほのかに相まって、もはや森林浴状態。
 ザブ〜ンとつかると、心なしか湯がマッタリとやわらかく感じる。いやはや〜、こりゃヘタな温泉より気持ちエエがな!

 おかみさんによると、ヒノキ材が傷むたびに「タイルに張り替えよか」との話が出たらしいが、それでもやはり木の湯船をなんとか維持してきた。でも磨かないとヌルヌルになるので手入れが大変とのこと。
 言うべき言葉はただひとつ、「ありがとう」。

 木の浴槽以外に、棺桶サイズのタイル張り浴槽がある。これがまた激浅で、寝そべると息子が水面に出るくらいの深さしかない。が、これはこれでなかなかオツなもの。隅に大黒様の像があり、手に持った打ち出の小槌から湯が出てくるしかけになっている。

 カランまわりなどは新しいタイルに張り替えられており、建物は古いが清潔感のある、素晴らしいお風呂。おかみさんもフレンドリー。
 この1年間に入った銭湯の中で最も感動したかもしれん。
 遠い、営業日少ない、時間短い、と悪条件が3拍子揃っている。だが銭湯好きなら、訪れる価値は無限大だ。 (04.4.10) →五條旅行記
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旭湯

2008年1月、火災で焼失したとの情報をいただきました。
ありがとうございます。
レポートは営業当時のものです。


五條市本町1丁目7−31
TEL .0747-22-3184
【営業時間】聞き忘れました・・・
【定休日】毎月4、10、16、22、28日

 JR五条駅から南西500mあたり、国道24と168の交差点「本陣」はややこしい6差路になっている(細い路地も含めたら8差路かも)。その中から市役所へ行く道を選ぶべし。
 すると右側にこの古めかしい銭湯が黙って現れる。

 
(左)市役所への道の右手に・・・   (右)出ましたよこの貫禄

 
(左)横から見る。れんが煙突にステンレス継ぎ足し   (右)浴室の外壁もれんが!

 まさしく俺好みのニオイがプンプンきやがるぜ。顔のニヤつきがどうにも止まらない。誰か俺の頬を張ってくれ。

 
(左)玄関小屋根の下に美しい木彫り屋号   (右)暖簾の奥に斬新なタイル絵

 玄関まわりはすべてイニシエの木製。戸を開けると下足室で、下駄箱は大きな木札を上からドンと差し込む時代錯誤タイプだ。
 脱衣所へ上がると半楕円形の番台があるが誰もいない。しばらくしたらばあさんが外から入って来たので湯銭を払う。
 けっこう高い格天井に稲荷の神棚、しっくい壁に木の脱衣箱。ああ逆流する時間にもまれて裸になる俺、こんなとこで何してるのか。

 
(左)ロッカーのフタのみ合板、なのに漢数字   (右)男女隔壁の上に稲荷

 浴室への引き戸も木製だ。しかも幅が狭くてじつに渋い。
 それを開けると、ぽあ〜っといい香りがする。弱いハップのような・・・何かな?
 こじんまりした浴室は古い白タイルのシンプル空間だ。4人ほど先客がいる。
 湯舟はタイル張りの深浅2槽。湯舟のフチには角張った御影石が乗っている。周囲に大阪式座り段があるが、この座面に大判のカラフルなクラッシュタイルが使われているのが珍しい。いいねこれ。

 お湯は・・・うわっち、深いほうは熱いぞ! 45度以上あって、誰も入ってない。でも俺はこれくらいなら平気だ。うむ〜、びしっと銭湯の味を体に焼き付ける感じでよろしい。なにかわからないが香りがいいのもよろしい。
 肩までどっぷり浸かり、あとから来たおやじ客が手を入れて「熱っ!」と言って水栓をひねるのを涼しい顔でチラリだ。
 浅いほうは水が投入されて42度くらいになっており、くつろげる。隅に大国様の置物があり、その打出の小槌から湯が出てくる仕掛けになっているのがおもしろい。

 カランまわりのタイルはかなりキてる。桶を置くカラン下の台は洗い出しになっているが石が大粒で粗く、へたに足なんかこすった日にゃあ血が出そうなハードボイルドな味わいだ。
 鏡は立ってひげを剃る位置にあるので、立ってひげを剃った。

 上がりは飲み物販売あり。
 入るときには気づかなかったが、脱衣所の目立つところに「じっこう」の紙が張られてあった。湯舟の香りはこれだったか。でもじっこうってこんな香りやったかな?
 とにかく、いい香りの熱い湯でぬくもって幸せだった。 (07.3.18)
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旭湯

吉野郡大淀町下渕160 →地図
TEL. 0747-52-2863
【営業時間】15:20〜22:30
【定休日】月曜日

【入浴料】300円

 大峰山への登山口、近鉄吉野線の下市口駅。登山口の駅にはどこも独特の雰囲気があるけど、ここはかれこれ15年以上ぶりだよ懐かしいなあ。
 駅前から商店街の坂道を200mほど下って左側の路地を入る。徒歩3分ほど。
 おっと、狭い通りに古風な構え。こんな田舎町にこんな銭湯の暖簾が揺れているのを見つけると、もうそれだけで感激だ。

 
(左)前栽から伸びる松の木が立派  (右)玄関破風の上に玄武が生息

 暖簾をくぐると、あっさりした下足室。下駄箱や入口戸はアルミ系に改装されている。
 戸を開けると番台にばあさん、300円とは安くて嬉しいな。
 脱衣所はけっこう広い。おかみさんによると築70〜80年くらいとのことだが、適宜改装されていて、天井などは新建材だ。でもロッカーはイニシエの最高級もので、すばらしい存在感。
 男女仕切りに置かれた金魚の水槽、ワキンがでかいぞ。

 
(左)玄関にバラのタイル絵、既製品っぽい  (右)ケヤキ一枚板、浮き彫り漢数字のロッカー

 浴室もタイル張りに改装されているが、派手な床タイルははじめて見る不思議な柄だ。そして奥壁一面のモザイクタイル画がすごい迫力。湖のほとりのギリシャ神殿とビーナス像にウットリ、ここが奈良県吉野郡てことを忘れちゃう・・・こともないか。

 湯舟は中央に深い主浴槽と、奥にジェット2連の浅い副浴槽。大阪式座り段が周囲を囲む。タイル張りだが、フチのへりだけ砂利固めの洗い出しになっているのが珍しい。
 湯は42度弱、俺にはややぬるめだが、柔らかな感触が気持ちよろしい。
 どこがどうということはないんだが、ふしぎと居心地よくて長風呂した。

 上がりの飲み物販売はオロナミンCのみ。
 じっくり浸かって登山の疲れを癒し、小さな前栽の太い松の幹でも眺めながら、吉野の夕べに涼んで帰りましょう。 (06.5.2)

 日本の素晴らしい風景
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日の出湯 

2011年、廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


吉野郡下市町下市2903
TEL. 0747-52-0477
【営業時間】15:12〜21:00
【定休日】日曜日

【入浴料】300円

 近鉄吉野線がすっかり山の中に埋没してからやっと辿り着く駅、下市口。ここで下りて吉野川にかかる千石橋を渡り、国道309に沿って南へ15分くらい歩く。
 と、秋野川にかかる橋のたもとにたたずむは・・・ああ、涙ちょちょぎれダイナマイト系の銭湯やおまへんか。

 川の上流に見えてくる

 風呂がどうの以前に、風景として素晴らしい。ジスイズジャパン。今ここに銭湯がありそれに巡り会えた奇跡がこの胸にあふれて俺は空も飛べるはず。

 情緒たっぷり年季どっしりの入母屋づくり。玄関上には小さな唐破風なのかアーチ状の小屋根がついていて、そこに苔が生えている。
 アーチの上には「日の出湯」の電照看板、これは三角柱を横にしたような形をしている。さらにアーチ下側には屋号にあわせた旭日海軍旗柄の装飾ときちゃうんだ。
 その周辺の壁やなんやの洗い出しのイニシエ風情が俺の急所をモロに突いてくる。

 早鐘のような胸の高鳴りをかかえて木の戸を開けると、ああもうこの世界に今まさに巡り会えた奇跡がこの胸にあふれて俺はいったいどうしたらもこうしたらもありゃしない。
 タタキに低い激レトロ番台があるが、よく見たらこれにも真っ赤な朝日マークが入っている。その上には立派な神棚あり。下駄箱は言わずもがなの木製骨董品、鍵が木の板のデカイやつ。

 脱衣所は格天井で、男女壁の上部には透かし彫りがある。
 こげ茶色の木製脱衣箱には「壱、弐、参・・・」の漢数字・・・と思いきや、「弐」は中の部分が「貝」の字になっているさらに古い書体だ。
 浴室入口の両サイドにはタイル絵もある。「椿」と「鶴」で、表面に凹凸があるマジョリカ風。
 脱衣所中央に置かれた古い木のベンチも渋い。壁に飾られている絵などもいい味を出している。

 もうこの時点で俺は前後左右から強烈パンチを連打されている状態、立っているのがやっとだ。
 でも風呂に入りに来たんだった。ふらふらと裸になって浴室へ進む。

 風呂場は比較的新しい白タイル張りだが、新しいといっても建物に比較しての話で、イニシエ風情は十分だ。
 まず目を引かれるのは、カマボコ型天井の上部壁にあるモザイクタイル画。おだやかな山、川、森が涼やかに描かれている。

 男女壁に沿って深浅の湯舟があり、ふちや外側段には黒御影石が使われている。浅にはジェットもある。
 ちょうどいい湯加減のお湯はやわらかい。あとで聞くと、井戸水と水道水が半々だそうだが、水道水もこのあたりじゃ水質が悪かろうはずがない。
 湯船奥の一段高いスペースには、濃緑と白、細かな笹の葉柄の見たことのないタイルがびっしりと貼られていて、思わず目を見張った。

 カラン周囲にはかわいい花柄タイルが使われ、壁の中断には青っぽいひし形模様のマジョリカタイル。その上部にはガラスブロックがはめられている。
 出入り口の横には扇形の水鉢もあって、見所いっぱいだ。

 あがっておやじさんに聞くと、この建物は昭和元年築だが、風呂屋はその前からあったらしい。浴室は、以前は石畳の床だったそうだ。
 おやじさんは元々この隣家に住んでいたが、昭和32か33年頃、この風呂屋の主人から「跡継ぎがおらんからやらないか」と言われて引き継いだ。いまは一人でお湯を沸かし続けておられる。
 お客は近所の常連ばかりだが、おやじさんは一人一人に「ありがとうございます」ときちんと挨拶する、真面目で気持ちのいい人柄だ。

 下市は割り箸の産地だ。昔は夜11時頃まで工場が動き、客が来たという。
 現在の営業時間は午後3時半から9時だが、3時12分に客が来るので開けている。
 遠いけど、銭湯好きなら間違いなく感動できる。行くしかない。 (08.8.7)

 隣の吉野町の世界遺産にも負けてない
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わらびを公衆浴場 

吉野郡十津川村平谷715-2
→地図
TEL. 0746(64)0118
【営業時間】PM4:30〜8:00
【定休日】水曜日

【入浴料】300円

 近鉄大和八木駅から日本最長の新宮行き路線バス(奈良交通)で4時間。十津川温泉は紀伊半島中央部の山奥のダム湖のほとりに湧く高温泉だ。
 十津川温泉バス停の真向かいには「庵の湯」がある。新宮方面へ橋を渡ったところには「憩の湯」がある。十津川村は「掛け流し宣言」の村であり、それらの温泉施設も悪くない。
 が、あえて無視して7〜8分歩くと、国道沿いのダム湖側に廃業旅館みたいな建物が見えてくる。

 
(左)ダム湖の色が青いのは温泉成分のせい?  (右)右端の電柱の左に見える白い建物(の隣)

 その建物の陰に隠れるように、小さな小屋がつながっている。これだ!

 
(左)質素そのもの  (右)この看板がたまらない

 十津川村に数ある温泉浴場でもダントツの素朴さ、小ささ。当サイトとしてはもうここしかおまへん。
 去年あたりまでは他の温泉施設と同様に朝10時から夜9時まで営業していたらしいが、今年からは夕方から3時間半だけになった。上りの最終バスは15:59だから、ここに入ったらもう帰れない。
 必然的に、限りなくジモ専(地元民専用浴場)化したといえる。

 暖簾をくぐると、狭い入口廊下におばちゃんが2人ダベっているので、そのおばちゃんにお金を払う。男湯入口はすぐ横にあるが、女湯は階段を下りたところにあるらしい。十津川村には基本的に平地というものがないからな。

 小さな脱衣所は板張りで味がある。古い建物だが適度に改装されていてボロさはない。木の棚にプラ籠があるだけでロッカーなし。
 そして浴室へ・・・。

 
(左)脱衣所   (右)浴室、右から入る

 これまた小さい! 右上写真では右側が入口で、1mも置かずに湯船がデンとあり、その左側も1mと置かずに壁だからこれで全部。
 右下写真は入口付近から洗い場を見たところ。小さな浴室の大部分を湯船が占めているプチサイズっぷりがおわからだろう。

 
(左)右カランが源泉、左カランは水   (右)洗い場の窓からはダム湖が見える

 浴室へ入るや、やわらかい硫黄の香りに包み込まれる。湯船のへりは水色のタイル張りだが、温泉成分が茶色くこびりついている。
ナトリウム炭酸水素塩泉・塩化物泉ということで、源泉が出ているカラン周辺の湯は細かな気泡のアワアワで真っ白になっている。温泉はカランをひねればいくらでもドバドバ出てくるが、源泉温度70℃なのであまり入れると熱くて入れない。逆に水を多めに出すと、湯の白濁はすうっと薄くなる。

 まったり、ふわふわの極上の湯だ。たまらん。からだじゅう、たまらん。
 43〜44度の熱めをキープすれば、アワアワ加減を損なわずにじっくり味わえる。その温度調節も楽しい。
 洗い場にシャワーはないが、それぞれ水と湯のカランがある。湯はもちろん源泉だ。

 開店直後から45分間ほどいた。すでに先客あり、地元じいさん2人。その人らが出て貸切になったあと、40代くらいが一人来た。
 山奥のヒナビのミニ極楽空間。まるで九州あたりのジモ専の趣きだ。ディープな温泉好きにとっては、もしかしたら近畿最高峰かもしれない。
 狭いので人が多いとやや辛いかもしれないが、まあそういうことはあまりなさそう。
 こうして思い出すだけで、今すぐにまた行きたくなる。そんな風呂だ。

 上がったらもう夕暮れ
 
 ちなみに、バス停でいうと「十津川温泉」の次の「蕨尾口」が近い。新宮行きのバスは18時台まであるから、風呂から出て本宮・新宮方面へ移動する場合はそこを使うとよさげ。
 ただし、八木方面から来た場合は「十津川温泉」で下りて歩いたほうが早い。なぜならそのバスは十津川温泉で必ず15分くらいトイレ休憩をとるから。(09.11.7)
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