チープに極楽。生きててよかった!
| 中国地方の名銭湯 【広島県東部】 |
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| 日乃出湯 (尾道市) 07.9.5 寿湯 (尾道市) 07.9.22写真追加 大宮湯 (尾道市) 紅梅湯 △(尾道市 因島) |
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日乃出湯
2年半ほど前に前を通ったときは休業中だった。道行く人に聞いたら、「おばあさんが倒れなさって」とのことだった。 それで心配していたのだが、最近になって、営業しているらしいとの噂を聞いた。これは行かねばならんでしょう。 で、やってきた風呂バカ大将。大山寺かられんが坂を下り、西園寺道を渡って「お好み焼き」の路地に入ったら、二股の左に見えてくる。 尾道駅から商店街経由で直行するなら20分くらいかな。アーケードが切れた先のコンビニ「ポプラ」の角を左折し、坂を登って「お好み焼き」の路地を探すべし。 ![]() (左)路地の二股で左・・・そうら来たアレじゃけ (右)ドキッとする存在感じゃけ 裏にまわると太い煙突じゃけ新巻じゃけ尾道の坂道をうねうね歩いてたどり着いた瞬間、もうアバラがきしんでるのかと思うほどの胸キュン銭湯風景が眼の前いっぱいに展開する。 玄関の向かいには小さな庭があって、クリの木の下の池には鯉が泳いでいる。さすが広島はカープじゃけん朝日ソーラーじゃけん。 暖簾をくぐると狭いタタキに年季バリバリ木製番台、傘入れ仕込み。 そしてそこに座るはちょっと知的な感じのおばあさん、嗚呼あなたに会いたかったんです。お聞きすると、病気ではなくお怪我だったとのこと。無事に回復され、銭湯再開番台復帰に感謝感激です。 感無量の番台板張りの脱衣所、開け放たれた表の戸や窓。無敵の風情に、背骨の髄液までほぐれ切って困っちゃう。 窓に吊るされた風鈴がチロチロって、ああもう、どうしたら。 ![]() (左)ロッカーのフタの小さな穴に注目 (右)脱衣所から表方面の郷愁泣け泣け攻撃 さて裸になって、ロッカーのカギは・・・おっと、内側落としだ! 久々に見たぞぉ、といじっていたら・・・あら〜、閉めちゃった。これは自分では開けられない。 「アッ、しまった!」と叫んでおばあさんを見ると、番台の上に、因島の紅梅湯で見たのと同じ金具が用意されている。彼女はそれを示してニッコリ笑いながら、こうおっしゃった。 「上がったときにね」 つ、ついにこの開錠金具を使う日がやってきたのか! 気持ちを落ち着けて風呂場へ向かう。浴室への戸はアルミサッシだが、上部はレールのかわりにこれまた不思議な金具で固定されている。 ![]() (左)浴室方面 (右)この金具ははじめて見た 風呂場は低いカマボコ天井の小空間。細かいタイルづかいの壁や床の随所にひび割れがあり、白パテ補修が施されている。 飾り気のない浴室のほぼ中央に深浅の湯舟がひとつ。一方の壁にパイプが2本走り、水と湯のカランが並んでいる。シャワーはないが、タナ上にせっけんやシャンプーが置かれているのが嬉しい。こんなサービスはレトロ銭湯では極めて珍しい。 深いほうの湯舟には手すりがあり、ゆるいジェット2連がある。湯は42度弱くらいで、おばあさんの人柄同様たいへんやわらかい。 古い古い浴室だが、清潔に管理されている。カランの湯や水の出も文句なし。桶や椅子もたっぷり用意されている。 あとはもう、この場のオーラと湯に体を委ねるのみ。目を閉じて、体で感じよう。 さあ、上がっていよいよ例の開錠金具を使うときがやってきた。 金具を借りて適当にガチャガチャやってみたが、さっぱり開かない。おばあさんが「横のを見て」とおっしゃるので、横のロッカーを見ると一目で構造がわかった。そして再度試みると一瞬で開いた。落ち着けよ俺。 脱衣所の隅に家庭用冷蔵庫があって、数種類の飲み物が入っている。パンツ一丁でローヤルゼリー飲料100円を飲みつつ、おばあさんと語らう。この建物は「100年から経っている」そうだ。 彼女は「今なら誰もいないから」と言って、女湯も見せてくださった。 女湯のロッカーはさらに旧式の木製に漢数字モノ、そして台上に長方形の籐籠が並べられていて、男湯よりも郷愁5割増しだ。 ![]() (左)女湯の脱衣所 (右)女湯の浴室、ここは男湯と同じ 6時前後、終始貸切状態だったのは嬉しくもあり、少しさみしくもある。 心も体もほっこりするお風呂。場所も坂道散策のちょうどいいところにある。尾道で本物の風情を感じたければ、ここは外せないだろう。 おばあさん、また来ます。末永くお元気でいてください。 (07.9.2) 商店街への坂を下りながら振り返る |
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寿湯
レトロ銭湯の多い尾道でも最強の骨董品的銭湯。 建物自体が隠遁生活を送っている。もはやわざと隠してるとしか思えない。しかも営業時間はたったの4時間てアンタ。 尾道駅すぐ西のガードをくぐって北へ700メートルほど、千光寺山の西側山すそ。細〜い路地奥、看板もなければ煙突も低い。おまけに路地からさらに1歩奥まっていて、その前に多種多様な樹木が激しく繁茂している。 まん前まで行かなければ絶対に気づかないだろう。 ![]() (左)あと3歩で到着、まだ見えない (右)葉の落ちた冬でこれだと、夏はいったい・・・ ![]() 高台から眺める。中央の土色の家の左隣。写真右端に白い煙突 そして夜。発見不可能状態暖簾をくぐって戸を開けると、タタキに見上げるような高さの立派な木の番台があり、カンロクあるおかみが鎮座する。下駄箱はなく棚のみ。 こぢんまりした脱衣所は黒光りした板張りの床。低い天井も板張りになっている。 そして壁には当然のことながら漢数字が墨書きされた木のロッカー。鍵なんかあるわけない。フタを開けると昭和初期的広告が貼り付けられている。 浴室入口の戸も木のまんま。水色はナミダ色のマニア感涙色。 ![]() そこらへんに何気なく古い広告が。好きな人にはたまらん世界 古びた浴室は、懐かしくも細かいタイルばり。 湯舟は、男女仕切り壁沿いに深浅浴槽が一つだけ。フチ外側には不揃いの小石状タイルが貼られている。 どれ、さっそく・・・うわっち、こりゃ熱い、47度くらいある。他に客もいないし、水栓ひねってうめまくり。あ〜気持ちエエ。 深い湯舟の内側は3段の階段状に深くなり、1cm角の細かいタイルが底までびっしり貼りまくられている。 しかしまあ尾道くんだりまで来て、こういう風呂に一人ゆったり浸かっているキブンというものはなんとも言えませんな。いまここで俺は何してる? この不思議感! カランはなんと、意外にもスーパー銭湯的な自動調温型でシャワーつき。だが湯の圧力は弱い。蛇口だけとっかえたらしい。 上がりは飲み物もなし。 このあと行った飲み屋の相客が銭湯好きの現地民で、ここ以外の尾道銭湯全5軒を正確に把握していたが、この銭湯のことだけは存在すら知らなかった。 隠れぶりや営業時間の短さから考えて、早めに行っておくほうがいいかもしれない。栗原1丁目バス停から北へ2つ目くらいの路地を右折。明るいうちに根気強く探すべし。 (05.1.7) 追記(07.9.22) 「だく」さんという方から、夏の寿湯の写真をいただいた。 こんなんです・・・あはは。 もはや秘密基地だくさんがここのご主人に聞かれたところによると、 「昭和6年創業、脱衣場にある鏡は栗の木、ロッカーはケヤキの木でできていて、床板も含めて全部創業当時のまま」とのこと。かっけ〜! (だくさん、ありがとうございます) |
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大宮湯
尾道駅から東へ、1kmほどのアーケード商店街を最後まで歩き通す。2号線の防地口交差点に出たらJRの高架を北へくぐり、少し行くと右手のビルの間に「大宮湯」の真新しい看板が見える。 でも銭湯は見えない。ハテナ〜と思いつつ看板脇の細い路地を覗くと、突き当たりに暖簾がゆれている。これまった奥ゆかしい立地だな・・・。 ![]() (左)開店前 (右)開店後 建物は古い町屋ふう、暖簾をくぐると水色に塗られた木の玄関部分が現れ、開け放たれた戸には男女別にまた暖簾がかかっている。 入るとタタキに下駄箱が置かれ、番台に愛想のいいおばちゃんが座る。 目の前の脱衣所は田舎風情バリバリ、板張り床の懐かしい光景。壁には尾道の風景写真など飾られている。 ![]() (左)脱衣所から玄関タタキ方面、この開放感 (右)気持ちのいい板張り床 ![]() (左)浴室を見る (右)ロッカーの戸の裏側にはボロボロの広告の残骸あり 服を脱いで古い木のロッカーに入れ、浴室へ。 天井は男女それぞれのカマボコ形で、隔壁部分が一番低くなっている珍しい形態。中央に大きな湯気抜きが高々と吹き抜けているが、天井を彩るパステルグリーンのペンキはかなりハゲている。 湯舟は中央に楕円形の深浅のみ、42度強。湯舟の底には昭和の定番、不揃いの小石形タイルが貼られている。 湯舟の周囲にカランが並び、シャワーもあり。 奥壁部分がちょっと複雑な形状になっている。釜場が男湯に突出しているようだ。隔壁越しに女湯側を眺めると奥壁部分は男湯より広く、アルプスの絵が飾られている。ちょうど倉敷の港湯のような感じ。 上がりは飲み物販売あり。 古い銭湯だがさすが観光地だけあって、夏休みにはしまなみ海道を走ってきた自転車野郎やヨット野郎どもがよく来るらしい。 僕が「神戸から来た」と言うとおきまりの震災話になった。「あれからもう10年たちました」と言うと、おかみさんはこうおっしゃった。 「おたくさんはその頃子どもだったんですね」 たしかに僕は若く見られることが多いけど・・・。 (05.7.22) |
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紅梅湯 △
尾道からしまなみ海道をバスで45分くらい走ると、因島の中心地・土生(はぶ)港に着く。目の前はめくるめく瀬戸内の多島美だ。 土生の商店街の南端近く、銅葺きの破風小屋根に渋い暖簾の古銭湯あり。入らずにはおれまへん。 戸を開けるとタタキ、番台におばちゃんが座る。下駄箱はなく棚のみ。 小さな脱衣所は第一級の濃厚いにしえ空間。新しいものは何一つない。すべてが古く、すべてがボロい。言語を絶する時空の逆流ぶりだ。 そして格天井、高〜い高〜い。田舎のプチ銭湯でこれほど高い天井にはめったにお目にかかれない。 ![]() (左)ヨコよりタテの長い空間 (右)過去最ディープなロッカー ぬっ? このロッカーの鍵、なんじゃこりゃ。昔の雨戸よろしく内側で板錠を落とすようになっているが、これ、閉めたあとどうやって開けんの? おかみさんに聞いてみたら、出てきたのは1本の金具。おいー、博物館の学芸員はおらんか! これを今すぐガラスケースに陳列せーい! ![]() (左)そういや錠の横に丸穴が (右)外側から穴にこれを差し込み、手探りで錠を持ち上げる 昔はこの金具を番台から借りてロッカーを開けたそうだが、もちろん今では使われていない。ロッカーに鍵をかける必要がもはやここにはない。 浴室は妙にうすぐらい。床には不揃い小石型タイルが張り巡らされている。天井のペンキはハゲハゲで、全体が重々しいくたびれ感に覆われている。 湯舟は3〜4人でいっぱいになるサイズが一つだけ。湯は8分目しか入っておらず、しかも誰かがだいぶうめたようで僕にはちょっとぬるかった。 浴室の両サイドにカランあるが、片側は機能していない。反対側の壁には太いパイプが2本走り、水とギンギンの熱湯が出る。シャワーはなし。 掃除も行き届いているとは言い難く、すみっこのタイルなどはちょっとぬるっとした感触。しかしまあ、これはこれで島の漁師銭湯らしいディープな味わいというか、B級アジア的な憩いがなくもない。 地元のじいさんやオヤジ客が3人仲良く湯船に浸かり、造船関係の話題で盛り上がっていた。 上がりは意外にも飲み物販売あり。 おかみさんに「いったいこれはいつごろの建物ですか?」と聞くと、「明治の終わりごろじゃないですかねぇ」とのことだった。ロッカーの鍵ともども、生きた博物館状態の愛すべきボロ銭だ。 (05.1.7) 外観は風情満点、内部は風情を超越 |
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