チープに極楽。生きててよかった!
| 北陸の名銭湯 【金沢市】 |
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| 野町湯 ★(金沢市) いろは湯 (金沢市) 桜泉湯 (金沢市) 東湯 (金沢市) 大汐湯 ★(金沢市) |
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野町湯 ★
恐怖のエントランス。肝試しかっちゅーの! 金沢の中心繁華街・片町から15分ほど南へ歩くと、北陸鉄道の始発、野町駅がある。その駅前にスックとそびえ、黒煙を吐く煙突あり。 「野町湯」との看板が出ているので、そこの数段の石段を降りてみたが、暖簾も出ていないし銭湯らしい入り口もない。恐る恐る奥の建物を覗いてみると、暗くて細ーい通路が続いている。こんなとこ入ってもええんかな〜とびびりつつさらに進むと、ポンと建物の反対側に出た。なんや、こっちが正面か。 この日はこのすぐそばのホテルを予約していたので、寝る前にでも入りに来ることにしよう。 と、下見をしておいたのが正解だった。 ![]() (左)駅のまん前、場所はわかりやすい (右)駅の反対側、こっちが正面らしい そして夜。片町でさんざ飲み食いして酔っ払いつつ、やってきた。こっから入るんだもんね〜と昼間に来た道を入っていったが・・・。 ともかく営業中を示すものは入り口の行灯のみ。あとは暖簾も何の案内もない。信仰心にも似た「この先に銭湯があるはず!」との強い意志をもって、黄泉の世界へ通ずるかのごとき暗黒トンネルをひたすら突き進むことが要求される。 ![]() (左)この行灯から階段を下りて (右)なんかすごい雰囲気だな・・・ ![]() (左)で、ここを入るわけだが (右)気の弱い人はこのあたりで引き返すだろう ![]() (左)やっと正面側に出た (右)ここからも直接脱衣所に入れそうだが・・・ 暗黒トンネルの出口に木のドアがあり、中の脱衣所が見えている。でもここが男湯の脱衣所であるという保証はない。正面へまわると、男女に分かれた玄関があった。ああ、ここでやっと俺の知る銭湯というものにたどり着いた感じ。 玄関正面には立派な九谷焼のタイル絵がある。有名な「章仙」のサイン入りだ。 ![]() さすが章仙、緻密で鮮やか 殿方入口、このガラス!激懐古なガラス戸を開けると、さっき横の出入り口から覗いた脱衣所だった。広いタタキがあり、上がったところに下駄箱がある。番台にはばあちゃん。 おっと、この番台、なんと下駄箱が合体しとるで! こりゃまた初めて見るなあ。聞けば、これはここの旦那(大工さんだそうな)が作ったものだそうだ。 ![]() (左)下駄箱兼番台 (右)しかも中には傘入れが! 匠の技が光る そこそこ広い脱衣所には、格天井にぶら下がる緑色のプロペラ、無造作に置かれた木の丸テーブル、そして石油ストーブ。蓄積された歴史と銭湯特有の脱力オーラが溶け合って、もあ〜んと濃厚系の異空間を形成しております。 ![]() (左)古いロッカー (右)折り上げ格天井 浴室へ入ると、奥の壁一面に描かれたモザイクタイル画が目に飛び込んでくる。アルプスの湖から流れ出す滝。なかなか豪快な構図だ。 振り返ると、浴室出入り口の上にもモザイクタイル画、こっちは富士山型の山と湖に帆掛け舟。あとで聞いたら、これは白山なんだそうだ。 奥の壁のモザイクアート。湯気で写らんな湯舟は男女隔壁沿いの奥に2槽。手前の湯舟は半分浅くて気泡風呂になっているが、これがアッチッチ。44度以上はある。 奥の湯船は薄い漢方薬湯で、ジェット2連。こちらは42度くらい。 この交互入浴はなかなかキクのお。寒い金沢の夜もメタメタぬくもるよ。 カラン・シャワーの湯圧は十分で、立ちシャワーも2機ある。でも床などのタイルは古く、はがれたところをそのつどいろんなタイルで補修してある。すべて旦那の手仕事なのだろう。 僕はこの日最後の客になったが、他客は20代の長髪と、小学生の双子兄弟というのもレトロ銭湯には珍しいパターンだった。 あがりは飲み物販売あり。ばあちゃんによると、30年くらい前まではひょうたん型の湯舟だったそうだが、改修時にひょうたん型をさわれる職人がすでにおらず、現在の形になったのだという。 「うちのとうさんは、それが惜しい惜しいと言うてなあ」 あの三徳番台を作ったオヤジなら、当然そう言っただろうね。 「このまま残しとけとよく言われるけど・・・」と言葉を濁したばあちゃん。もうかなり建物のあちこちにガタが来てると思われる。 ばあちゃんとともに歴史を生きた銭湯。客商売であることを一顧だにせぬ神秘のエントランスに始まり、見所の多さに星付きとしたが、しかしまあ一般的に考えたらマニア向けだろうな。 いずれにせよ、できるだけ長く続いてほしいものだが・・・。 (04.12.9) |
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いろは湯
金沢駅から南東へ5kmあまり、金沢大学医学部や工学部などがある小立野地区。バス停「天徳院前」からちょっと南に入った静かなまちなみに、小京都らしい町屋風の銭湯がひっそりとたたずむ。 おっとぉ、いきなり暖簾の向こう、狭い玄関スペースに色鮮やかな孔雀のタイル絵が見えている。 スバラスイ!絵の左右に男女のドアがナナメについている。開けるとタタキに番台があり、おばちゃんが座っている。 靴を脱ぎ捨てて、こじんまりした脱衣場へ。小銭湯にしては天井が高い。ペンキが塗られているが、だいぶハゲている。壁はしっくい。ロッカーはフタにガラスがはめられたもの、これも古そう。 浴室へ。 床には小さめの六角形タイルが張り詰められており、壁にはピンクとクリーム色の小さなタイルがびっしり。古いタイプの浴室だ。男女仕切り壁にガラスブロックが使われているのが珍しい。 湯船は奥に深浅2槽の東京スタイル。深いほうは熱めの43度くらい、炭の入った袋が沈んでいる。浅いほうはぬるめの41度くらい、ジェット2連つき。 おや、湯にはかすかに薄緑色がついている。入ってみると・・・んんっ? なにやら妙にキモチがええど! お湯が超やわらかい。もしかして温泉か? カランの水もじつにやわらかい。こりゃサルでもわかる水質のよさだ。 うれしいなあ。ぬるいほう、熱いほう、水浴びと、順に何度も繰り返す。隅には立ちシャワーもあり。 脱衣所には流しがないので、しっかり拭いてから上がろう。飲み物販売あり。 牛乳を飲みながら、おばちゃんに「もしかして温泉ですか?」と聞くと、「井戸水」だと言う。薄緑色は入浴剤らしい。 鏡の前に「金沢銭湯マップ」が置いてあったので1つもらう。「金沢も銭湯が少なくなりました」とおばちゃんは言う。 どこがどうということのないシンプルな造りだが、古くて、静かで、そして抜群に水質がいい、こういう銭湯が僕は大好き。シャーワセ。 (04.12.9) 渋みの効いたナイスな古銭湯 |
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桜泉湯
金沢の中心地・香林坊から南へ歩いて10分ちょっと。犀川を渡り、寺町を抜けてゴチャゴチャっと古い住宅街にもぐりこんだあたり。 唐破風の玄関小屋根もりりしいその姿は、まさしく東京の伝統的銭湯建築! だが唐破風の下が温室のようなガラス張りになっている。 ![]() (左)かなりの年季 (右)ガラス張り玄関は雪対策かな? 裏手にはレンガ壁が残る暖簾をくぐると狭いタタキだが、番台はもう一歩内側にあって、靴を脱いで上がってからおかみさんに出会うかたち。 こじんまりした脱衣所は昭和中期ごろの新建材で改装されていて、さほどの古さはない。 浴室もこじんまり。床にはきれいなタイルが張られ、奥に深浅2槽の湯舟がある。 湯舟から湯がなみなみと溢れ、床を流れているさまが嬉しいねぇ。湯温は42度強、冷え切った手足がじんじん温まる。何かが詰まった袋が沈められているが、備長炭かな。 深い湯舟の隅にはなぜか信楽のタヌキが置かれている。内側のタイルがかなりはがれているけど、ジェットは快調に噴出中。 壁に「太陽温泉」と書かれた看板あり。太陽熱で湯を温めているようだが、冬でもそうなのかな? 桶は珍しい白ケロリン、東京サイズ。カランは両横と島カラン。ものすごい熱湯が出る。 上がりは飲み物販売あり。クロレラ飲料を飲んでいたら、「濃厚ゲルマニウム原石のお風呂です」という掲示に気付いた。もしかして、あの沈んでいた袋がそうなのかも。 夕方5時すぎ、先客が一人いたが、俺が入ってすぐに出て、あとは貸切になった。ちょっと心配。 貴重な北陸の唐破風銭湯の灯がいつまでも消えませんように。 (07.1.13) 今宵、ゲルマニウムでOK |
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東湯
金沢の観光地のひとつ、ひがし茶屋街。その情緒溢れるまちなみのほぼ真ん中で、まさにここにこれありと存在感を放つ小銭湯あり。 エエ感じや。じつにエエ感じや。 ![]() (左)路地の右側 (右)銭湯の角は広場になっている ![]() (左)入口は細い路地に面している (右)センスのいい看板 夜の味わいいにしえ情緒たっぷりの外観に対して、内部はきれいに改装されている。 自動ドアを開けると、ゆったりとしたフロントとロビースペース。脱衣所もフツーに小奇麗な改装だ。 ![]() (左)フロントとロビー (右)脱衣所から浴室方面 浴室も古さは皆無、清潔感のある一般的な改装だ。 湯舟は壁沿いに、手前から漢方薬+気泡、深風呂+ジェット、浅風呂+気泡と3槽が並び、奥にこじんまりしたスチームサウナと水風呂がある。 カランもシャワーも快調。生活銭湯として使い勝手がよい。 この近くの民宿に泊まったところ、部屋に「銭湯セット」が置かれてあった。もちろん宿に内風呂もあるのだが、泊り客の多くはこの銭湯セットを持って東湯に行くようだ。 営業時間の長さも嬉しいねぇ。 古い町の味わいをうまく活かし、地元民から一般観光客までを取り込む。まさにこれからのイニシエ銭湯の活路を示すがごとき希望の星だ。 (08.1.14) |
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大汐湯 ★
存在自体がもうたまらんよ、ここは。 金沢の中心部からバスに乗って30分。日本海に面した金石(かないわ)は、板壁の家並みが濃厚に残る激渋の港町だ。 金石バス停から海へ向かって集落を抜けて行くと、海岸の手前で秋葉神社に行き当たる。その裏のほうに、見えてるぞ銭湯の煙突。 そらきた!さっそく近寄ると、これまた板壁の超素朴銭湯。入口付近は風雪を防ぐためか板で通路状に囲われている。 銭湯の裏は海岸の堤防で、すぐ背後に砂浜が広がる。防波堤の形から、ここにかつて金石港があったようだ。魚をバンバン水揚げした漁師らはすぐに大汐湯の湯舟に直行しただろう。しかし今はすっかり砂に埋もれて港としては機能しておらず、大汐湯にもうらぶれた雰囲気が漂う。 ![]() (左)側面のわびしさが最高 (右)裏面に無造作に置かれた燃料材木 砂浜から煙突を見る暖簾は出ていない。玄関前まで行ってみると、まだ開店前のはずが(このとき2:30ごろ)内部からはすでに営業しているケハイが! 張り紙を見たら、平日は3時からだが日曜は2時からだと。辺鄙で寂れた場所にありながら、このお客本位の営業時間は感動的だ。 暖簾は出ないが営業中アルミの戸を開けると広いタタキがあり、外向きの番台におかみさんが座っている。脱衣所の手前に仕切りのように「ゆ」の暖簾が下がっている。 脱衣所はけっこう広々している。板張り床に上敷きの懐かしい空間だが、壁や天井はそこそこ改装されている。 脱衣所(ぼけたスマヌ)浴室も広い。湯舟は奥に深浅、湯舟のへりには細かいタイルがびっしり張られているが、厚みがあって腰をかけやすい。 お湯はなみなみと沸いていて、入るとザバーの贅沢感。43度くらいかな、熱めの湯が北陸の冬に嬉しいねぇ。しかも深には漢方薬の入った袋が沈められている。「宝寿泉」とのこと。 じっくり浸かるうちに、冷え切った手足が徹底的に火照ってくる。 白壁や木の天井はペンキがかなりハゲているが、でもきれいに管理されている。カランは左右の壁と、島カランもある。シャワーの出も快調だ。 相客はじいさん一人と、途中で親子連れが来た。 上がりは飲み物販売あり。 特別に、ここがこう、ということはない。だが、雪がちらつく日、砂に埋もれた旧港の古銭湯で、早めの時間から漢方薬入りのアツアツの湯に静かに浸かれるという幸福は何物にも代えがたい。 周囲のまちなみの渋さも合わせて、深く心に染み込む銭湯だ。いつまでもこのままここに存在し続けてほしいと心から願う。 (07.1.18) |
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