チープに極楽。生きててよかった!
| 長野県の名銭湯【南西部】 |
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| 塩井の湯 ★(松本市) 仙気の湯 (松本市) 菊の湯 (安曇野市) 桑の湯 ★(塩尻市) 菊の湯 (伊那市) 08.8.21 |
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塩井の湯 ★
いい! いろんな意味で。 松本駅から国宝・松本城の方角に向かって徒歩数分。お寺の向かい、れんが塀に守られてスックと建つ、瀟洒な洋風建築。古い建物のようだが、最近塗りなおされたのか白く輝き、緑の木々に映えている。 ![]() 信州には古い洋風建築物が多いが、風呂屋までこの重厚さ ![]() (左)看板建築ではなく本物です (右)浴室部分はやっぱり銭湯 鉱泉なのね、ちょっとトクした気分玄関の戸を開けると古い下駄箱。さらに戸を開けると、番台に若い(といっても40代)のオネーサマが座っておられる。うおっ、美人! しかもさわやかで愛想もいいぞ。 ファンがゆるやかに回る脱衣所の天井は真っ白に塗られていて、しかもなにやら複雑な洋風紋様が刻まれている。オネーサマによるとイタリアのナントカいうデザインで、トタン製。最近塗りなおしたそうだ。 天井の四隅には木彫り紋様が刻まれていて、昔の職人の凝った仕事ぶりが偲ばれる。壁は昭和中期的な合板張りだが、窓枠などはイニシエのまま。木のロッカーには漢数字。常連用具は上の網棚に収納されていて見た目もよろしい。 風呂に入る前から、そこはかとなくあったかさを感じさせられる。 ![]() (左)こういうイタリアンな天井ははじめて (右)渋みの効いたロッカー 脱衣所を見回して「これはエエ雰囲気やなぁ〜」と感心していると、オネーサマが「そこの体重計と身長計も見てね」と教えてくださる。これまたレトロな逸品。身長計がある、というのも古い銭湯の特徴だ。 壁に貼られた鉱泉の古い効能書きに、「ナトリウム多量、マグネシウム多量、カルシウム多量・・・」などとあるのもおもしろい。 「今日は薬風呂です」とおっしゃるオネーサマの声を聞きつつ浴室へ。戸を開けたとたんに漢方のいい香りに包まれる。 湯舟は奥壁に深浅2槽だが、これが両方マックロクロの黒湯状態。布袋が浮いていて、中に大量の生薬が詰め込まれている。これほど濃厚な漢方風呂も珍しい。入ってみると43度くらいか、でも湯がやわらかいせいか熱くは感じない。 ただし薬風呂はこの日たまたまで、ふだんは無色透明の沸かし鉱泉だそうだ。 深浅の境目には溶岩があしらわれ、その下に蛇口レバーがついていて上にコップが置いてある。横にいた人に「飲めるんですか」と聞くと「飲めますよ」とおっしゃる。とくにクセもなく無味無臭だが、舌触りはもちろんやわらかい。 奥の壁には石を固めたようなデコボコブロックタイルで抽象画が描かれている。 洗い場の床は落ち着いたタイル張り。改装して10年といったところか。カランの水もすべて鉱泉だ。 何度も湯舟に浸かっては水をかぶる。この日はかなり寒かったし、酔っ払っていたせいもあるが、思わず「はぁ〜キモチエエわ〜」と声が出てしまう。 湯上り、飲み物販売はないのかなと思ったら・・・来たときは気づかなかったが、脱衣所のテーブルにポットと急須と湯呑み、そしてクッキーなどが置かれている。横にいた人に「これは飲み食いしてもいいんでしょうか」と聞くと、「いいですよ」とおっしゃる。 ほ、ほのぼのぉ〜〜! さっそくお茶とクッキーをいただいた。 壁には「23時まで営業することにしました」との紙が貼られている。常連客らとオネーサマとのイキイキとした会話を聞いているだけで、ここがいかに地元の人々に愛されているかがひしひしと伝わってくる。 もったいなくて、なかなか帰る気がしなかった。設備はとくにないが、まごうことなき名銭湯。 (04.12.12) |
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仙気の湯
松本市の中心部から3kmほど離れた古い温泉地、浅間温泉。いくつかある共同湯のうち代表的なのがここらしい。温泉街の中心近く、湯坂の五叉路からちょっと上がったところにある。 温泉地の共同湯は朝からやってるのがうれしい。それに安いしな。 今ドキ風の看板外観は、この地方の典型的なしっくい白壁の民家風で趣がある。えんじの暖簾もよろしい。 券売機で入浴券を買い、フロントのおばちゃんに渡す。脱衣所はかなり狭く、木製ロッカーには鍵がついてないのが多い。あとは丸椅子1つと体重計のみ。 浴室もこじんまりしており、奥に5人くらいのサイズの湯船が一つと、手前にカランが4〜5個。水色と白色のタイルでそっけなく改装されていて、残念ながら風情はゼロ。これが温泉でなければ最低評価のつまらなさ。 お湯は無色透明、かすかに白濁。肌触りなめらかで気持ちいい。ほのかにいい香りが漂っており、湯の花らしき白いものも浮いている。湯の吐き出し口では50度近いが、投入量がさほど多くないため湯舟では42度くらいにさめている。吐き出し口にあったコップで飲んでみると、ほとんど無味だが舌触りまろやか。 日曜の正午過ぎ、お客には観光ギャルなどもいたが、ふだんは銭湯として利用する地元民が主なのだろう。 内部の造りは面白くないが、お湯は悪くないし、昼間っからこの建物の暖簾をくぐる感覚はなかなかよろすい。 (04.12.12) |
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菊の湯
JR大糸線・豊科駅から国道に出て南へ500mほど。むーんと漂う激渋オーラに襲われて死後硬直を引き起こす。あ? あぁ俺まだ生きてるわ。 でもふつーに歩いてたら通り過ぎてしまいそう。道路から少し引っ込んでいることもあるが、それよりも風呂屋のシンボル、煙突が見当たらんぞ。 ![]() (左)この看板! (右)オリジナル暖簾よし ![]() (左)煙突さ〜んどこですかぁ〜・・・ (右)こ、これか!? 暖簾をくぐってガラス戸を開けると狭い下足室。靴を脱いで中に入ったが、番台には誰もいない。呼んでも返事がないので、そのままお金を置いて服を脱ぐ。 ![]() (左)だ〜れもおらんので勝手に撮影ごめんちゃい。入口と番台周辺 (右)ロッカー ![]() (左)男女隔壁と浴室方面 (右)男女壁の上にプロペラが 脱衣所は白壁とこげ茶木材によるコレデモカーの郷愁空間だ。ああ信州味噌。 今はもう動かないイカツイ送風プロペラが男女隔壁の上に豪快に安置されている。ああ南無阿弥陀仏。 脱衣所にはもう石油ストーブが灯っているぞ。安曇野の秋は冷えるもんなあ。 体も冷えないうちに急いで浴室へ。 女湯からは近所のばあちゃんたちの賑やかな話し声が聞こえてくるが、男湯は貸切だ。 湯舟は一つ。深浅になっているが仕切りはない。緑の入浴剤入りのお湯がたっぷりこんこん。隅からユルイ気泡がポコポコ出ている。ややぬるめだが、のんびり浸かればとってもあったまる。 見上げれば、トタン張りの天井に四角い湯気抜きが開いている。まあなんてことのない田舎の小空間。だけど、なんか嬉しいねえ。やっぱりこういう銭湯は存在そのものが嬉しいや。 俺のための嬉しいお風呂カランは両側にある。男女境側にシャワーがついているが、これがいっこうに温かくならないので使用断念。でもいいんだよ、このジャンルはそういうもんズラ俺は知ってるぜ。 カランの水はチベタイねえ大王ワサビ園みたいだよ、安曇野の伏流水かな。 上がって体を拭き、しばしストーブの火を見つめてほっこりする。 最後まで貸切だった。帰りしなにちらっと見たら、女湯の脱衣所におかみさんがいらっしゃるようだった。 ![]() (左)石油ストーブの懐かしい香り (右)古いけど味わい深い外観 北アルプスの麓、小さなお風呂屋さんの素朴物語であった。(07.11.6) |
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桑の湯 ★
感嘆符! なんとなく塩尻まで銭湯を探して行くっちゅーのも我ながらクレージーな行動。それだけに、こんな名銭湯にめぐり合えたときの感激はひとしおだ。 ガラーンと殺風景な塩尻駅から南東へ徒歩7〜8分。イトーヨーカ堂の北側で、煙突が黒い煙を吐いている。まぎれもなく薪を燃やす煙だ。 正面にまわるとなかなか大柄な銭湯。建物は古いが、どことなく気品を感じさせられる。 暖簾はかかっていない。年季の入った木枠のガラス戸を開けると、正面に飲み物の自動販売機。その両側に男女の入り口がナナメについている。うひゃ〜、このガラス戸もたいがい渋い。平成も21世紀もクソもおまへんな。 ![]() (左)玄関入り口のガラス戸、激渋! (右)そこを入ると今度は「殿方浴室」の戸、最高! それを開けると下足室。下駄箱は新しいが、濃えんじ色の木質系でいい感じ。鍵はプラ板だが、昔ながらの木の板鍵と同じ仕組みになっている。 靴をしまって第3の木枠ガラス戸を開けると、やっと脱衣所に到達する。3段構えのガラス戸に守られた脱衣所というのも初めてだ。 そして番台、これがいまだかつて見たことのない巨大な逸品。普通の倍はある。古い木でできているが、極めて美しい状態が保たれている。 そこにムチウチギプスをはめたじいさんが座っている。 キングサイズの番台脱衣所はなんとも広々とした、しかも惚れ惚れするようなイニシエ空間。格天井からしっくい壁まで輝かんばかりに磨き上げられている。まったくもって素晴らしい。 よく見ると床は合板フローリング、ロッカーは下駄箱と同じタイプの新しいものだが、どこのどなたがコーディネートなすったものか、古い雰囲気をまったく壊さずになんとうまいこと美しく仕上げられたものよ。 広い空間の中央にソファーとテーブルがポンと置かれ、スポーツ新聞が1紙。あとはよけいなものが一切ない。とにもかくにも感嘆符! ![]() (左)男女仕切り壁。ニス仕上げのピッカピカ (右)浴室との境、欄間の桟も感動的 ともかくハダカになって浴室へ。ここも広々しているが、5年ほど前に改装されたようでタイルなどはピカピカ。床はココア色の落ち着いたタイルで、趣味のよさを感じさせられる。 ただしカマボコ型2段式の天井は昔のままで、薄緑のペンキがハゲハゲ。男女隔壁も古い木枠にすりガラスがいい味を出している。ちなみにこの隔壁は低く、190cmほどしかない。ぴょんと飛んだら覗けてしまうけど、するなよ、そんなこと。 反対側の壁は全面ガラス窓。早い時間に入ったら明るくて最高でせう。 湯船は奥壁沿いに深浅2槽、浅いほうが広い。深いほうには気泡装置。水温計は42度を指しているが、湯がやわらかいためか若干ぬるく感じる。 改装したぶん、島カランもすべてシャワー・鏡つき。カランは全部で18個、湯の圧力もバッチリだ。 上がりは広々した脱衣所でのんびりとスポーツ新聞。やっぱり銭湯はこれだよな。 人当たりの柔らかなムチウチじいさんに聞くと、この建物は昭和26年に火災で焼けて再建したものだそうだ。 感動のあまり、営業時間や定休日を聞くのを忘れちゃった。僕が行ったのは日曜日の夕方5時ごろです。 ともかく、瞬殺タイムスリップの玄関、広くて美しい脱衣所、使い勝手のよい浴室、これぞ名銭湯。塩尻に桑の湯あり。 (04.12.12) 用がなくても行こうよ塩尻 |
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菊の湯
飯田線の伊那駅から西へ3分ほど。古い飲食店や旅館がひしめく、いわくありげな旧繁華街の一角に、「ラドン温泉 菊の湯」の大きな看板が上がっている。 表に外壁や玄関まわりには濃い色のタイルが多用されているが、建物自体はちょっと旅館ぽい。隣の棟続きは玄関が広い土間になっており、その軒下にも「菊の湯」という木の看板が掲げられている。かつては旅館併設だったのかな。 暖簾は石鹸メーカーの普及型ではなく、一般家庭で使うような地味な柄のやつが揺れている。 中に入ると、横長広めのタタキにこげ茶色の古い下駄箱。激しく渋い摺りガラスの衝立で脱衣所が見えないようになっている。 そして、これまた年代モノの大きな木製番台に、ばあさまが座っている。 珍しいのは、番台と脱衣所の間にカーブのついた目隠し衝立があること。タオル干し場を兼ねているケハイもあるが、関西の古い銭湯よりよっぽどプライバシーに配慮されてるな。 脱衣所はそこそこ広くて明るくて、それでいてイニシエ色の濃い、なんとも落ち着く空間だ。 ロッカーはアルミ製だが、薫蒸されたように鈍い光を放つ板張りの床や天井、こげ茶に染め上げられた男女仕切りと大鏡、冷蔵庫が置かれたタナの支え、案内板や注意書きなど激渋アイテムの数々が、郷愁爆弾となって旅人を包み込む。 とくに、タタキ&番台スペースと脱衣所とを分ける垂れ壁上部のカーヴ処理が見事。これは見逃すでないぞぉ。 浴槽は改装して10〜15年といったところかな。古いものは残っていない。 中央奥に5人サイズほどの主浴槽、気泡が湧いている。あ〜こりゃ、じつに俺的適温のやわらかい湯だよ。 そしてこの銭湯の売りは、右奥の一角を占めるガラス張りのラドン室。主浴槽とほぼ同サイズの湯舟がある。壁にラドン人工温泉のくわしい説明が掲げられているが、「13秒で全身の末梢まで行き渡る」など、物理学的っちゅーか具体的に書かれていて興味深い。たしかにぬくもるよねラドンは。 両壁のカランにはちゃんとシャワーあり。島カラン(2列)にはシャワーなし。 おっとぉ、カランの水が冷たくて、めっちゃイキイキしているぞ。こいつはまぎれもなく中央アルプスの伏流水だろう。 男女壁は摺りガラスになっている。 上がりは飲み物販売あり。 かなりゆっくりとしゃべるばあさまに聞くと、「戦前の建物だろうが私はそんな前からおらんからわからん」とのことだった。 夕方4時前後、相客2〜3人。 伊那にたった1軒だけ残った銭湯は、脱衣所のイニシエとともに、ラドン温泉や良水をしっかり味わえる、なかなかのナイス銭湯だった。 (08.7.26) |
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