チープに極楽。生きててよかった!

東京の激渋銭湯 【その他の区部】
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帝国湯 ★(荒川区) 2011.5.7
熱海湯 (新宿区)
大正湯 ★(墨田区)
女塚浴場 ★(大田区)(廃業)
辰巳湯 (大田区)

帝国湯

荒川区東日暮里3-22-3 →地図
03-3891-4637
【営業時間】 15:00〜24:00
【定休日】 月曜日

 すべてが素晴らしい、という銭湯が存在する。
 たとえば、ここなわけです。

 JR常磐線の三河島駅から南東へ徒歩7〜8分、住宅街の狭い路地に奥ゆかしく現れる伝統的な東京銭湯建築。
 破風の下の「ていこく湯」の透かし彫りにまずやられる。

 ただもんやない

 暖簾をくぐれば東京らしく中央に傘入れドーン。
 上がりがまちの木のへりのカーブ具合にもしびれるやないの。

 

 胸ときめかせつつ引き戸を開けて脱衣場へ進めば、これまた東京らしく番台に雲形装飾があり、おかみさんが座っておられる。

 そして出ました、高い高い折り上げ格天井。
 しかも折り上げ部分の下に、さらに支えのような木組みがあり、その部分にも手彫り装飾が刻まれている豪華さだ。
 大黒柱に据えられた振り子式の巨大柱時計もカンロクやのぉ。

 男女仕切り上に丸太ノセ

 脱衣場の傍らには庭があり池がある。その風情の王道直球ぶりにホァ〜っとため息だ。
 脱衣場中央、島状に置かれた脱衣箱に衣類一式を脱ぎ入れて浴室へと向かう。浴室入り口は東京銭湯定番の全面丸見え透明ガラス張り。

 浴室に入るや、正面奥壁の富士山ペンキ絵がドーンと目に入る。しかもこの岩に砕ける波しぶきの力強さは、今はなき早川師の絵ではないか。
 よく見ると隅に「西伊豆、早川」とサインがあり、富士山の手前には水上セスナが描き入れられている。女湯側を眺めると、セスナの代わりにどういうわけか人参にまたがって空を飛ぶウサギが描かれている。この脱力こそが銭湯か。

 故早川師の形見の絵

 ペンキ絵の下には九谷焼の鯉のタイル絵があり、その下に湯舟が三つ並ぶ。
 中央湯舟は浅くてジェットつき、その水流の勢いでお湯がオーバーフローしているのが嬉しいやないの。
 その左右は珍しくもダブルの深風呂で、右は気泡、左は薬湯。入ってみるとこれがどちらもめっちゃ深くて、立つとへそとミゾオチの間くらいまで沈む。こんなに深いのは東京では珍しいのではないか。
 湯はすべて熱めで43度以上ありそう。薬湯は「千葉実母散薬湯」の濃いお湯で、いい香りがする。

 男女壁には湖風景のモザイクタイル画があり、反対側の壁側には脱衣所横から庭がずっと続いていて、その緑の風情が風呂場の情緒をさらに盛り上げている。
 うーむ、これはよいわ。
 建物、雰囲気、お湯、壁画、どれをとっても「これぞ銭湯」の魅力に満ちている。

 これでもかとお湯を堪能し、上がったら脱衣場ベンチには新聞各紙が用意されている。これは嬉しいぞ!
 庭の一部に休憩スペースを押し広げてマンガ本なども置かれている。

 至れり尽くせり、もうこれで十分。東京最高級なレトロ銭湯ここにあり。
 (2011.4.13)
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熱海湯

新宿区神楽坂3−6 →地図
03-3260-1053
【営業時間】 15:00〜25:00
【定休日】 土曜日

 いつもなぜかしら東京の夜はベロンベロン。千鳥足で知人にヨチヨチついて行ったら、神楽坂のくねくね路地を何度も曲がったあげく、ここへ案内された。そして知人は「ここは熱いよ」と言いおいて帰っていった。
 狭い路地の奥、千鳥破風の伝統的銭湯だ。渋いのぉ。とりあえず暖簾をくぐる。

 
(左)ちょっとかわった暖簾   (右)磨かれた下駄箱

 
女湯(左写真)、男湯(右写真)それぞれの入口にはカーブのついた目隠しがある

 中に入ると、番台におかみさんが座っている。わりとこじんまりした銭湯ね。
 脱衣所も典型的な伝統系東京銭湯。床はニスで磨かれ、高い平格天井はマス目が大きくて渋い色。男女壁には磨き丸太が乗っている。

 浴室は全面ガラス張りで番台から丸見え、やたらと明るいのがトキオ式。
 そして当然のごとく出ました、正面奥壁に男女ぶち抜きの富士山ペンキ絵、早川師。その下に鯉と金魚の九谷焼タイル絵。定番中の定番だ。

 その下に並ぶ深浅の湯舟は、深いほうが狭くて気泡あり、浅いほうが広くてジェットあり、の約束パターン。
 お湯はたしかに熱い。43度強か、もしかしたら44度あるかも。でもこれでこそ東京銭湯。ビールでふやけた心身にビシッと焼き入れたらんかい。

 見上げれば天井は水色に塗られた2段式、どうしようもなく東京銭湯。
 男女隔壁にもタイル絵がある。雪山と湖の図柄。
 カランまわりは台が広く、湯水の出は極めて良く、下のステンレス溝はたまらなく清潔で、じつに使いやすい。なにもかもが典型的な東京銭湯ストロングスタイル。

 上がりは牛乳などあり。もうじき日付けが変わりそうな時間だけど、相客は5〜6人いた。テレビ見ながら他客とだべってくつろいだ。  (08.7.27)

 酔いもだいぶ醒めてきたぞ 
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大正湯

墨田区立川1−5−1 →地図
03-3633-1504
【営業時間】 16:00〜23:30
【定休日】 土曜日

 「行きつけの居酒屋に連れて行ってやる」と友人に言われて地下鉄で森下というところへ来たが、残念ながら休み。仕方なくそのへんの店を2軒ハシゴしたあと友人と別れ、夕方見つけておいたこの銭湯へ。
 また酔っ払って銭湯、アカンっちゅうに。

 森下駅から北東へ徒歩数分、交差点にデーンと現れるどっしりした伝統建築。みごとな破風造りでありながら華美な感じはなく、がっちりとした質実剛健な面構えだ。

 
(左)目隠しが目立つのも東京銭湯の特徴   (右)側面、ごつい2段式天井から湯気が立ち上る

 
(左)懸魚はないが、下にナゾの模様   (右)骨太な暖簾がまたなんとも

 暖簾をくぐると古い木の下駄箱が健在。そして出ましたニス塗りツヤツヤ仕上げ。これ関西の銭湯もやるといいのになあ。

 
(左)古いけどキレイ   (右)待ってましたこの雰囲気!

 戸を開けると、新しい番台に感じのいいばあさんが座る。
 脱衣所は典型的な東京型伝統建築。そしてどこもかしこもニスでツヤツヤ、ピッカピカ。
 気持ちのいい空間だ。「来てよかった」感が全身から湧き上がってくる。

 
(左)関西にはない島ロッカーナナメ配置  (右)前栽方面の広い2辺開口も東京式


折り上げ格天井にしっくい壁、大黒柱に古い柱時計、丸木組みの男女隔壁

 浴室ももちろん東京銭湯の典型的古典的伝統的正統的風景。
 正面の壁一面にペンキ絵の富士山が聳え立ち、その下に章仙作の九谷焼タイル絵、鯉の滝登り&カワセミ。その下に浴槽が並んでいる。

 小さな深風呂には気泡、大きな浅風呂にはジェット2連というのも東京典型パターンだ。湯舟の湯は44度くらいありそう。熱〜い湯に浸かりながら、まわりをゆっくり見物する。
 窓枠は古い木のまま。タイルはみな小さめで味わい深い。男女仕切り壁にはモザイクタイルで描かれた海原。
 それらが隅々まで磨き上げられている。心意気だねぇ。

 上がりは酔い覚ましにトマトジュース。番台のばあさまによると、昭和32年に建てられたらしい。
 まったくもって正統派の美しき東京銭湯。夜10時すぎから11時頃までいたが、お客は若いのが3人ほどだった。もったいないなあ。  (05.1.23)
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女塚浴場

2007年、廃業されたもよう。
レポートは営業当時のものです。


大田区西蒲田1−8−22
03-3753-4630
【営業時間】 15:00〜23:30
【定休日】 第1〜4月曜

 とにかく黒い。マックロケ。

 JR蒲田駅の西口から工学院通りを北上し、呑川沿いを少し上流に行ったところ。駅から1kmちょっとで、むくり破風の古めかしい伝統建築銭湯が現れる。
 暖簾をくぐると、正面に巨大な傘入れがデーン。はじめて見るタイプだ。
 上がりがまちから引き戸まで、木がニス仕上げでピッカピカに磨かれているのにまず衝撃を受ける。こういう美しさは関西にはないなぁ。

  玄関スペース。右は傘入れ、左は下駄箱

 脱衣場もニス仕上げピッカピカ。おぉ、広いなあ。
 ドォーンと高い折り上げ格天井。男女にまたがって浴室との境にチュドーンとぶっとい大黒柱。丸太を乗せた男女仕切り壁も初めて見た。番台の雲状の彫り込みも渋い。木の長いす、庭の風情もよろすい。美しい空間だ。
 脱衣場と浴室との間は全面ガラス張りで、すべてお見通し。「てやんでぇ粋なネエチャン立小便とくらぁ」的お江戸八百八町の精神が炸裂している。

 
 長椅子に残された1本の義足がさまざまな人生を物語る。これぞ銭湯

 浴室へ。ズガガーンと高い2段式天井、めっぽう広くて明るい。
 浴槽は奥にまとまっていて、手前部分は広々と洗い場。カランが両サイドに並び、さらに中央1列に島カラン。どこもかしこもピッカピカ。カラン下の排水溝はステンレス、これも初めて見た。
 広くとられた窓も枠は古い木のままだ。これだけの古さでこの清潔さ。さぞや管理が大変だろう。まったくもってすばらしい。

 そしてペンキ絵は、浴槽上の壁に男女ぶち抜きで描かれている。男湯側は海岸風景、それに連なって女湯側はデデーンと富士山。
 男女仕切り壁には、白鳥のモザイクタイル絵。これもなかなか。

 奥の浴槽へ。右側は深浅2槽の透明な湯、そして左に黒湯浴槽。
 笑ったね。何この黒湯、マックロケ。透明度は2cmないぞ。辰巳温泉以上の黒さだな。
 堆積物の腐食層から湧いてくるから黒いということらしいが、それにしてもこれ以上黒い液体は墨汁かイカスミくらいしか思い浮かばない。「てやんでぇ黒湯が恐くて夜道が歩けるかってんだチキショーメ」的大江戸捜査網の精神が凝集されている。

 なんかやたら熱そうだが、とりあえず入ってみる。むおっ、かなり熱いけど湯ざわりなめらかだ。下は何も見えないがけっこう深いな。
 でも20秒ほど経つと、膝から下がチクチクチクーと痛くなってくる。むっ、ヤバイ、急いで出なければ! ゆっくりそーっと体を引き抜く。あちあちあち・・・。
 浴槽の奥に温度計が設置されている。
 なぬ、「51度」だと。
 ははは〜。もー無茶苦茶。ヤケドするっちゅうねん。実際には47〜48度くらいと思われるが、「てやんでえ風呂がぬるけりゃ風邪ひいちまうってんだスシ食いねェ」的大江戸きんつば手作り無添加の精神が貫徹されている。

 右側の普通の湯は45度を指していた。黒湯のあとに入ると全然熱く感じない。浅いほうが広くなっていて、2連ジェットつき。
 しかしこれだけ熱い湯に入ると、風呂に入った〜という感触がビシッと体に刻まれるな。こんなのに毎日入ってたら、関西のぬるい風呂なんて入った気がしないかも。
 でもこんなに湯が熱いのに、水風呂はおろか水鉢や水シャワーすらないのはどういうわけだ。仕方ないのでケロリン東京サイズ(関西のより深い)にカランの水を溜めては体にかけ、何度か湯に浸かる。

 広い空間に客は3〜4人。あまりみんな湯舟には浸かっていないような。イレズミ父さんに連れられて子どももいたが、もちろん湯舟には入れない。
 熱い湯の気持ちよさはわかるが、これじゃ一部の熱湯ファン以外にはバリアがキツイだろう。
 せめて浅いほうをぬるくし、隅に小さな水風呂でも設置したら完璧なのに・・・というのは野暮な関西人の考えなのか? 「てやんでぇこちとら三代やってんだ」と言われておしまいか。 (04.5.14)

  とりつくシマもなき美意識の権化
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辰巳湯

黒湯が枯渇し、普通の湯になったもよう。
レポートは黒湯湧出当時のものです。


大田区西蒲田1−16−14 →地図
03−3753−6901
【営業時間】15:30〜24:30
【定休日】7・17・27日

 東京には黒湯なるものが湧き出ており、中でもここが東京で一番濃いとの話を聞いて訪ねた。
 JR蒲田駅の西口から北へ「工学院通り」を徒歩約10分ほど。白壁の寺社造りに巨大な唐破風が見えてくる。素晴らしい外観。ふむむ〜。これが東京銭湯か・・・。東京の銭湯料金は400円。

  この彫り物はゲギョというんだっけ?

 外観の壮大さに比べて中はわりとこじんまりしている。フロント式で、かつての脱衣場をあとから仕切ってロビーとに分けた様子。フロント前は元男湯側の庭があってソファもある休憩スペースになっているが、そのかわり脱衣場は狭い。僕としては脱衣場が広くて庭があるほうが好きだな。
 まあ狭いながらも脱衣場は天井が高く、壁上部にも古い構造材などが見えて、それなりの風格を感じさせられる。天井は木だが格子ではなく、横棒だけで天板を支えている。

 浴室は改装されていて古さはない。天井は途中まで傾斜があるが、湯気抜き部分が大きく天板がフラットになっている構造は関西ではあまり見かけない。
 奥の壁に女湯とブチ抜きのペンキ絵。壁に直接書いてある。男湯は滝のある山水風景、女湯のほうには富士山が見える。すみっこに「平成15年8月 早川」とサイン入り。ほう、これが有名な早川師のペンキ絵かい。しかも書きたてホヤホヤだのう。

 浴槽は3つで、うち1つが・・・おおおーーー、なんじゃこりゃあ〜?
 まさしくマックロ。まるきりコーヒーやがな。入ってみるとサラっとしているが、指を第一間接まで沈めただけでもう指先は見えなくなる。お、お、おもろい〜。
 黒湯は冷泉らしいが、42度くらいに加熱してある。気持ちエエ。奥のほうは寝湯になっていて、気泡ブクブク。
 
 他の2槽は白湯だが、両方ともジェットつき。そのせいなのか何なのか、妙に湯が泡立っている。
 なにも全部ブクブクにする必要はないと思うんだが。 (03.11.2)

  てやんでぇこれが東京銭湯でいっ
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