◆朝日新聞 1992年(平成4年)12月10日
脳死と移植を問う「四つの死亡時刻」
1990年8月29日夜、近鉄難波駅で起こった暴力事件。阪大病院に収容された被害者の男性会社員は「脳死」を理由に移植のためにじん臓を摘出された。この事件の経過を裁判や関係者の取材を通じて、市民や弁護士、医師たちが検証した『四つの死亡時刻』(さいろ社)が出版された。
執筆は「脳死立法に反対する関西市民の会」のメンバーら。市民、阪大病院の看護婦、横山やすしさんの主治医の近藤孝医師もその一人だ。被害者は脳死判定が終わる4日前、「脳死状態」と判断され、脳を守る治療から、「首から下の臓器」を保存する治療方針に変えられていた。脳死がつくられた後、脳死が判定されたというわけだ。
加害者の会社員(30)の刑事裁判で、「臨床医が脳死だと決めれば治療行為は止めていいのか」という弁護士尋問に対し、司法解剖を担当した法医学教授は「そうあるべきだと思う。脳死判定をして念のために確かめている」と答えた。「形式的セレモニーなのか」という質問に、「はい。医師に信用がないからそうしないといけないのです」と述べている。A5判210ページ。
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