ふしぎ山
蔵王嶽 ざおうだけ
鹿児島県姶良郡加治木町、158m

 しかしこの山も奇妙だな。
 鹿児島空港から鹿児島市へ向かう高速道路を走っていると、加治木ジャンクションのすぐ横に見えている。市街地のすぐ横でニョッキリと突っ立っている姿はじつにユーモラスだ。
 上の写真は、麓にある蔵王権現とのツーショット。山名からも、この山は蔵王権現に見立てられているのだろう。標高は低いけど、存在感はなかなかのもの。まさに加治木の守護神だ。

 
(左)にゅーっと真上に突き上げる   (右)拡大、てっぺんで何かがハタめいている

 加治木町の中心街から北東に見えているので、適当に道を走って山に近づくと、いつしかインターチェンジ周辺の高架道路下の道に導かれる。
 田んぼと裾野の間のあぜ道を行くと、杉林の端から分け入る踏み跡発見。「危険」と書かれた金属線をまたいで急傾斜の荒れた道を登ると、金網で高速道路と隔てられた側道のような感じになり、やがて右手の木の枝に巻かれたピンクのテープが目についた。ここから入るんだな。

 
(左)裏に回るとまんじゅうみたいになる   (右)高速道路脇の荒れた道

 最初は杉の植林帯の中を上っていく。そこそこ登られているようで、思ったよりしっかりした踏み跡だ。ピンクのテープも要所要所にあって、道を見失う心配はない。
 やがて岩場の急傾斜になると、徐々にルートが錯綜してくる。下りるときにあちこちから飛び降りているようす。適当に登りやすそうな場所を選び、岩や木の根をつかんで、上へ上へとグイグイよじ登る。

 
(左)杉林の急坂をジグザグに登る   (右)岩場では登りやすそうなところを探しながら

 15分ほど格闘すると尾根に出て、左へ行くと頂上に出た。頂上にはなんと日の丸が晴れがましくはためいている。しかし強風のためか半分はちぎれ、残りの半分も真ん中から裂けていて、けっこうブザマな状況。加治木町の商工会が設置したと書かれてある。
 掲揚柱には願い事などの落書きがある。地元大学のラグビー部などが必勝祈願に登っているようだ。
 頂上の南面は加治木町と錦江湾の展望が開ける。晴れていれば桜島も見えるに違いない。
 少し尾根を戻ったところからは、北側の樹間に高速道路などが見える。

 
(左)頂上には破れた日の丸がはためく   (右)南東方面、錦江湾に浮かぶ辺田小島と沖小島

 
(左)南西には加治木町の市街地   (右)北側は樹間から高速道路が見える

 下りは、傾斜がきついぶん登りの時より慎重さが必要な場所もあるが、テキトーに飛び降りてしまえるところもあって、10分ほどで戻って来れた。

 日の出や日の入りには、きっとこの山のふしぎなシルエットが町のバックに浮かび上がるのだろう。こんなユニークな守り神がいる町って、ちょっとうらやましい。  (05.12.12)

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