ふしぎ山
嶽ノ森山 だけのもりやま
和歌山県古座川町、360m


 【敗退編です・・・】

 「日本の桂林」とも言われる古座川峡。そのシンボル・一枚岩の向かいで、ちょっとブキミに聳える山。上ノ峰と下ノ峰からなる。標高は低いが、その峻険な地形はナメてかかった人を陥れる。
 そのナメてかかって登頂を拒まれた愚か者、俺だ。ははは。俺のような目に遭う人が今後出ないことを願い、恥を忍んで報告したい。(半年後の登頂編はこちら

 青春18きっぷで約6時間、本州最南端を回ってやっとこさ古座駅着。30分ほど待つとバスが来るが、このふるさとバスは一日2本しかないから、狙いすまして行動する必要がある。
 しかも、帰りのバスは2時間後。それをのがしたら帰れない。

 つまり、登って下りるまでのタイムリミットは2時間。過去に登った人の記録を見ると、山頂での休憩を入れてもおおむね2時間半そこそこで下山しているようだから、急げばなんとか間に合うだろう。
 これが最初の落とし穴だった。

 
(左)一枚岩、高さ100m   (右)トンネル横の登山口付近から見た嶽ノ森山。近すぎて山容がわからない

 美しい渓谷を走るバスに揺られて約30分、一枚岩の少し手前の国道相瀬橋近くに、新しく整備されたらしい登山口がある。ここから登れば確実に2時間以内で戻って来れそうだ。
 でも、もう少し上流の一枚岩トンネル近くに古い登山口があり、そっちから登るほうがナメトコ谷なんかがあって面白そう。せっかくだから、そっちから登ることにしよう。
 これが第二の落とし穴だった。

 
(左)じつは「注文の多い遊歩道」だった    (右)鹿よけネットの向こうに小さな道標発見

 1kmほど上流へ歩いて一枚岩トンネル右の道に入ると、工事現場のようなところに登山口を示す看板あり。「遊歩道入口」とある。事前の調べ通り。
 「遊歩道」です。超楽勝決定。だから今回は地形図を持って来なかった。当然だろ?
 これが第三の落とし穴だった。

 「遊歩道入口」を進むと、すぐに道がなくなる。「おや〜?」と思いつつもススキをかきわけて踏みあとを探し、植林帯へ入ると、黄色い鹿よけネットが行く手を遮る。よく見たらその向こうに「←嶽ノ森」という看板が出ている。
 ホッとしてネットをくぐり、踏み跡をたどるが、完全に廃道状態。このあたりは屋久島と並ぶ日本有数の多雨地域なので、整備を怠るとすぐに道はなくなるのだな。
 まあ入口であの荒れようだったから、この程度の荒れ方は仕方ない・・・って、あれ〜? 踏み跡はあるけど、これ、どう考えても登山道ではありません。なんかしらんが俺、四つんばい。普通ならここで引き返すわけだが、時間もないし、多少道を外れてようがこの沢を辿ればいずれナメトコに至るんだろ、行ってやれ。

 年甲斐もなく突撃

 沢を詰めヤブをかけわけて登れど、ついにナメトコは現われないまま源頭部へ。現在地はどこだ〜地図がほしいよう。
 とりあえず尾根に出よう、踏み分けくらいはあるだろう。
 しかしイバラと岩に阻まれ、尾根の下でついに進退きわまった。半袖Tシャツで登っていたため、腕はイバラで傷だらけ。首にかけていたタオルもどこかに消えている。
 このところピクニック的な楽勝の山ばかり歩いてたからな。判断力が完全に鈍っていた。イバラに全身を包まれて身動き取れない棒立ち状態で、とりあえずお茶を飲む。
 ここから今来たイバラ道を戻ることを考えるとウンザリするなぁ。

 進退きわまりポイントでいちおう記念写真

 でもこんなこともあろうかと・・・イバラに気をつけながら、そーっとリュックから生協の雨ガッパと軍手を取り出す。フードもかぶって完全武装。ははは、もっと早くこうしとけよ。
 一気に気持ちが大きくなってガンガン下る。愛しのタオルちゃんも回収。

 キミがいないと銭湯で困るのよ

 ほとんど登山口近くまで下ったとき、谷から南側斜面を急登する踏み跡発見。
 試しに登ってみると、こいつが現われた。

 今ごろナンダ

 このとき俺は思い出した。事前の調べでは、ナメトコへは、登山口からトンネルの上の尾根を越えて隣の谷へ入るのだった。あまりのルートの荒れように気をとられ、そのことを忘れていたよ。ははは。まあ地図がありゃそんなの間違えようもないんだが。
 でももう1時間も費やしてしまったので登頂はあきらめ、スゴスゴ下山する。

 
(左)魔の分岐点、ここに看板があれば・・・。右下から登ってきたら直進せず、鋭角に左折すべし
(右)登山口に戻って観察したら、隣の谷にナメトコの岩場(上部)が見えていた


 それにしても炎天下の雨ガッパというのはサウナスーツ状態だ。バケツの水をかぶったみたいにズブ濡れになった。
 その直後、10分間ほど猛烈な夕立が来た。ヤブの中で遭遇してたらヤバかったかも。

 時間が余ったので、そのへんをのんびり歩いて山の写真を撮ったりしながらバスを待つ。猛烈に悔しいので、時期を改めて再度同じルートから登ることを固く決意した。  (05.8.20)

 新登山口にある看板。よい子はこっちから登りましょう

 
(左)この看板は一刻も早く撤去しましょう    (右)相瀬集落の近くから
「ふしぎ山」トップホーム