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「恐竜の背中」として札幌では人気のある山らしい。札幌から国道230号を走ると、定山渓温泉の5kmほど手前で右手に見えてくる。 ![]() (左)google map (右)背びれ拡大(午前9時頃撮影) 確かに、こいつが体をブルブルっとゆすると緑の皮がはがれ落ち、巨大な怪物がむっくり立ち上がってきそうな感じもする。背びれの切れ味もよさそうだ。 ふしぎ山探検家の相手としては申し分ない。 しかしま、さすがは北海道っちゅーか・・・朝の5時すぎ、早起きして攻めてやろうかな〜と思ったのはいいが、霜が下りて車のフロントガラスが真っ白に凍り付いている。ということは氷点下か。しかし俺はTシャツにGジャン、秋の関西風お散歩スタイルなのよね。全身がガタガタ震えて歯が合わん。 コンビニに飛び込んで店主に「ななななな、なんですかここここの寒さはぁぁ〜〜〜!!!」と訴えたが、「今朝はしばれてますね」の一言で片付けられた。 温かいコーヒーで暖をとり、車の暖房かけ倒して、5:30に登山口到着。ちょうど夜も明けてきた。登山ルートは3つあるようだが、地図でいちばんわかりやすい八剣山トンネル西側の中央口から取り付く。 ![]() それにしても、寒くて体がおかしくなりそう。なかば小走りの猛スピードで歩き始めると、山の麓に釣堀池があり、その奥に羊や馬がいる。観光牧場のようだ。 山に入ろうとすると、森の中は真っ暗。ここは山の西側だから、明け方の5時半だと朝日はまだまったく当たらないのだな。寒いし暗いし、クマ出ないかなぁ・・・。 と、そのとき、なにかケダモノが俺に向かって突進してくる気配を感じる。振り向くより早く、そいつは俺の足元に達した。とっさに胃の中でカテコラミンが1リットルくらい噴出し、心臓が止まりかける。あぁ天国のオカーチャン、いま行くからね! ・・・ただの犬だった。 しかも小さくて真っ白。首輪をしているし、釣堀で飼われてるんだろうな。 この犬も早起きしすぎて退屈してたのか、俺の行く道を嬉々として先導してゆく。幸い、真っ暗な森の中でもこいつの白い体だけはよく見える。ナワバリの巡回コースなのだろう、慣れた足取りでそのへんに小便をひっかけながらひょいひょいと登っていく。 いやー、助かるなあ。それに、こいつの鼻があれば、いきなり熊に襲われる心配もないだろう。 山道はけっこうな急坂だ。特に整備されていないが、よく歩かれているようでしっかり踏み固められている。 10分ほどで尾根に出ると、とたんに朝日がさして周囲がよく見えるようになる。ここで南口からのコースと合流する。 白犬はここで帰るのかなと思ったら、まだ先導してくれるつもりらしい。とりあえず「シロ」と命名。 尾根をたどって数分で、いよいよ岩稜が現われる。 ![]() (左)案内犬「シロ」、オレンジ色は朝焼けの木漏れ日 (右)岩稜が現われる おう、これはなかなか楽しい岩尾根だ。ここの岩は一枚ののっぺりした岩ではなく、石垣を積み上げたような感じにデコボコしている。 シロはどうするのかなと思ったら、平気で岩を登り始めた。おい、犬ってこんなところも登るのか? やがて岩尾根はさらに細く厳しくなり、右手に巻く道と、岩稜を忠実にたどる道とに別れる。このへんから恐竜の背びれだな。やせ尾根の西側はスパッと切れた数十メートルの断崖絶壁。高所恐怖症の人は迷わず右手の巻き道を通るべきだろう。 先を歩いていたシロはその別れ道で俺を待っていた。俺が岩稜に取り付くと、シロもついてくる。おい、無理するなよ! と声をかけるが、シロはまるでカモシカのごとく軽やかに岩とたわむれながら登ってゆく。 ![]() (左)巻き道と別れ、いよいよ細くなる背骨へわが影と (右)左右絶壁、幅1m未満の稜線 ![]() (左)嬉々としてヤセ尾根を歩くシロ (右)わざわざ端っこでスリルを楽しむ余裕 数メートルの風が吹いているが、これ以上強くなると、まじでこの道は危ない。落ちたら間違いなくあの世行きだ。 シロは見晴らしのいい場所でいちいち立ち止まり、キンタマ縮み上がりそうな岩の端っこに立ってポーズをとる。写真を撮れだと? ははーん、こいつは毎日これをやってるんだな。俺が今日の最初のお客様というわけか。 やがて岩尾根はますますシャレにならんくらいにけわしくなる。けっこうなスリル。 ![]() (左)思いっ切りステゴザウルス (右)この上が最高点(頂上) 6:15、歩き始めてわずか45分で山頂着。澄み切った朝の空気の中、360度の大展望だ。1000mを超える個性的な峰々が朝日に輝いている。 しかしこれ全部、札幌市に属しているとはな。日本の大都市でこれほど大きな山々があるところは他にないだろう。 意外に広い頂上には4人くらい滞在可能 ![]() (左)頂上から西を見る。右側の山はたぶん定山渓天狗岳 (右)南を見る。東の札幌市街が朝日でまぶしい でもなあ、立ち止まると寒いんだよね。 まだ温かい缶コーヒーを飲んで、早々に下山。来た道を戻るのはつまらないので西口へ下りることにする。シロはどうすんの? と聞くと、彼はまだ黙ってついて来る。 頂上ピークから北の背びれは峻険すぎて人間も犬も歩けず、東隣を北へ伸びる尾根に道がついている。こちらはこれまでと一変して樹林帯だが、ころげ落ちそうな急坂だ。道の脇にはロープが張られていて、その助けを借りずにはいられない。 しばらく下ると鞍部に出る。ここからは西の斜面をまっすぐ下る。こちらは急斜面なうえに湿った谷間で、足元がすべって歩きにくい。倒木にも何度か行く手を遮られる。 でも北海道らしい天然林が美しい。こういう樹種は西日本じゃ標高1000mくらいでないと見られない。 ![]() (左)鞍部から下りてきた尾根道を振り返る (右)西側斜面の天然林、カエデやミズナラ、カバノキが多い ![]() (左)ヤチダモの大木 (右)見上げる ![]() (左)僕が一番好きなカツラの木 (右)シラカバ群生 やがて平坦なササ原に出る。振り返ると、ちょうど山の北側に出たらしく、恐竜の背びれがタテになって見えている。あの上をソロソロとへづっていたんだな。 ![]() (左)恐竜の背骨を真横(北西)から見たところ (右)拡大、薄さとガケっぷりがわかる 突き当りを左へ行くと、「熊出没注意」の看板ゲート(西口登山口)の脇を通って舗装路に出る。あー楽しかった。下りは頂上から40分たらずだった。 あと1分ほどで出発地点に到着だ、シロよお前の家も近いぞ、というところで、前から大きな黒い犬を連れたおじさんがやってきた。俺は「おはようございます」と挨拶したが、シロは黒い犬に向かって「ウウウ〜」と低くうなっている。 毎日山を歩いて野生に返りかかっているようなシロのことだ、よそさまの犬にむやみにケンカ売るんじゃないぞ、と諌めようとしたその瞬間。 シロははじけるように体の向きを変えると、脱兎のごとく、今下りてきた山に向かって猛スピードで逃げ去った。その姿が見えなくなるまで0.8秒。 黒い犬が怖かったらしい・・・。 シロとはそれっきりだった。 八剣山は、低い標高にもかかわらず、見た目どおりにスリリングで楽しいひとときを味わわせてくれるナイスなふしぎ山だった。しかし、朝日を浴びながらその山を一緒に楽しんだガイド犬シロは、別れの言葉も言わせてくれず、ちょっぴりさみしかった。 (05.10.6) ![]() (左)八剣山の西にそびえる神威岳も不思議な山 (右)南側(札幌へ向かう国道)から眺めた八剣山 |
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| こんなメールをいただきました。ありがとうございます。 (07.7.27) はじめまして、こんにちは。突然のメール失礼します。 HPふしぎ山を拝見してメールしてます。 今日、札幌の八剣山に登ったんです。八剣山のふもとのトンネルを抜けて直ぐの家にシロがつながれてました!!連れと、あーっ!シロだぁ!と叫んだとともに大爆笑でしたよ(笑) シロは元気一杯でしたよ! なんだか、それだけ伝えたくてメールしてみました。はは。 |
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| シロの本当の名前は「太郎」だった!・・・飼い主様からメールいただきました。(08.07.29) はじめまして。 私は八剣山の麓にある八剣山果樹園の者(釣り堀があるところ)でして、“シロ”の飼い主であります。ちなみに本名は“太郎”です。 実はネットでたまたま“八剣山”で検索をかけたところ、たまたまコチラのHPを発見し、ウチの犬のことが書かれていてビックリしました! 「こちらにシロっていう犬いませんか?一緒に山に登りたいんですけど…」 と、しばしばにウチに問い合わせて来てたのは、きっとこのHPを見たからなんでしょうね〜(笑) あの当時は放し飼いにして自由にさせていたのですが、ある日、登山客から「あの、白い犬はこちらの犬ですか?頂上まで案内してくれましたよ。」という声を聞いて、その事実を知りました。 一度も飼い主とは一緒に山に登ったことがないのに、いつのまにか登山客の人に付いていって八剣山の頂上まで行くようになったのです。(その後、検証のため、飼い主も一緒に登りましたが…) で、何回も行くようになったのは、どうやら頂上についた時に同行した登山客からお菓子などの“ご褒美”もらっていたようで、それで味をしめてそれを目当てに登っていたのかも…。 でも、このHPを見て更に驚いたのは、めったに行かない崖っぷちコースを軽やかに歩いていったという事実……!!太郎、おまえはそんなところまで歩いていたのかーー! その節は太郎がお世話に(ご迷惑??)なりました…。 その後、太郎は行動範囲があまりにひろがり、近隣のパークゴルフ場で、ゲーム中の球をくわえて邪魔してしまったり、入ってはいけない畑に侵入してしまったりと、近所迷惑が度重なってしまったため、やむなく、“繋がれの身”となりました。 でも、相変わらず元気でやっていますよ〜。 機会があれば、ふしぎ山・八剣山にぜひお越しくださいね! 八剣山果樹園 http://www.hakkenzan.jp/ |
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