メ シ つ き 文 化 遺 産
激渋食堂メモ
兵庫県・播磨地方の渋~い大衆食堂
【姫路市】
大衆食堂あさひや(姫路市、姫路駅)
【閉店】
かどや食堂★(姫路市、播磨高岡駅)
澤田店(姫路市、白浜の宮駅)

大衆食堂 長谷川(姫路市、白浜の宮駅)
大安食堂(姫路市、飾磨駅)
志あんばし食堂(姫路市、西飾磨駅)【閉店】
ことぶき食堂★(姫路市、山陽網干駅)
【明石市】
みどり食堂(明石市、明石駅)
みなと食堂(明石市、明石駅)
大衆食堂 山田屋(明石市、西新町駅)
泉屋(明石市、林崎松江海岸駅)
阿波屋(明石市、山陽東二見駅)

【その他】
千成亭(加古川市、神野駅)
甘党の店オハラ★(三木市、三木駅)【閉店】
かつ美★(加西市、北条町駅)

だるま食堂 (相生市、相生駅)【閉店】

みどり食堂
明石市本町1丁目12−11
→地図

電話/078-911-3579

【営業時間】 07:00~19:30
【定休日】 月曜日&月2回ほど不定休


 明石と淡路島の岩屋を結ぶ高速艇ジェノバライン乗船場前には、かつて4軒の食堂が並んでいたが、今では2軒のみ。そのうち大きいほうがこのみどり食堂。

 店内は改装されて美しく、テーブルが10ほどもある。おかずの種類やメニューも多くて目移りする。値段の表示もわかりやすい。
 三角巾をかぶった女性店員さんに尋ねながら、なんやかやと皿を取ったり注文したり。

 
(左)右奥の黒いのがジェノバライン乗り場   (右)店内は広々、奥に厨房

 
(左)おかずの数々  (右)こっちにも並んでます

 値段は大衆食堂としては微妙にお高めかも……から揚げ定食790円、とんかつ定食900円。ビールは大瓶580円、生中500円。単品は焼サバor煮サバ410円、コロッケ135円などなど。
 しかしそれも許せる品数の豊富さだ。

 
(左)すずき味噌漬け490円、ウマイ!  (右)粕汁290円、卯の花225円

 
(左)明石といえば焼きアナゴ540円   (右)意外にうまい特製ラーメン500円

 港町らしく魚介類もいろいろあるから居酒屋づかいもよし。 
(2015年1月) 
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みなと食堂

明石市本町1丁目19−7
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電話/078-911-2681

【営業時間】 07:00~19:30
【定休日】 火曜日&第1、3月曜日


 ジェノバライン乗船場前の2軒の食堂のうち、港に近いほう。目の前は海だ。みどり食堂とは1軒おいてのお隣さんになる。
 こちらはこぢんまりとして、時間もだいぶ止まってる感がある。そのぶん昔ながらの漁港風情にひたることができる。

 
(左)店頭に今日のおすすめが出る  (右)テーブル3つと窓ぎわカウンター、2階席もあり

 メニューやオカズ数はみどり食堂には及ばないが、海のものもあるし、値段が少し安いのが嬉しいなー。

 
粕汁280円、めし小120円、焼サバ250円、計650円

 粕汁もみどり食堂(290円)より10円安い。
 気分に応じて2軒の食堂を使い分けられるとは、明石は贅沢な街やわ。 
(2015年2月)
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大衆食堂 山田屋
明石市硯町2-4-15
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電話/非公開

【営業時間】 06:30~20:50
【定休日】 日曜日


 山電の西新町駅から徒歩5分ほど、国道2号沿いにある。
 長テーブルと小テーブル一つ、カウンター数席だけの小さな食堂だが、なんといっても2つのガラスケースいっぱいに仕込まれたおかずの豊富さが嬉しい。

 しかも安いやん! 片っ端から食いたくなる。
 この業界としては若手の50代夫婦が次々におかずを作っては補充していく。

 
(左)店内  (右)豪華にいっとこ! 焼魚や煮付はほぼ300円

 壁メニューは、うどんや中華そば300~400円台、丼物400~500円台。めし大中小は170・150・120円、味噌汁100粕汁150豚汁200円。関東煮もあります1ヶ80円。文句なし。

 ただし昼間は忙しいため、炒め物や豚生姜焼(300円)、トンカツ(350円)などは「夕食限定メニュー」なのがちょい残念か。
 それでもどんどんお客が回転する、大衆食堂の鏡のような小気味よい人気店だ。
(2015年1月)
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泉屋
明石市 林2丁目15−15
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電話/078-922-8176

【営業時間】 10:00~19:00
【定休日】 火曜日、第一月曜日


 大衆食堂の来歴はさまざまだ。もともと大衆食堂として出発した店だけでなく、うどん屋、そば屋、洋食屋、寿司屋、中華料理屋、お好み焼き屋、居酒屋、餅屋、甘味処、喫茶店、ラーメン屋などがメニューを増やして大衆食堂化した店も多い。
 また、その地域ならではの食堂というのも存在する。ここ泉屋は明石名物・玉子焼(明石焼)屋の発展型食堂だ。

 山電の林崎松江海岸と西新町の間くらい、海に近い古くからの集落にある地味な店。ネットでは玉子焼とともに、中華そばの名店として人気のようだ。

 
(左)落ち着いた店内   (右)この仲良しコンビも来てるぞ…

 こぢんまりとした店内は清潔でとても落ち着いた雰囲気。玉子焼は玄関横の小部屋で焼かれ、それ以外のメニューは奥の厨房で作られる。
 こういった店としては意外にも若い夫婦が継いでおられて、先々安心だ。

 メニューを見ると、玉子焼20個で600円、特上650円。これは明石基準でかなり安いほうだ。
 そして、うどん・そば・丼物が400~700円台で食べられる。
 人気の中華そばは500円だが、ほかにも季節限定で「白胡麻担々麺」「海老野菜タンメン」「にゅうろう麺」「牛スタミナ丼」などが700円くらいで用意されている。どれも気になるぅーー!

 
(左)玉子焼の特上650円   (右)中華そば500円

 玉子焼、うんもぁあ~~。形もよく、ザ・玉子焼といえる逸品。一般的には三つ葉入りのだしに漬けて食べるが、粗塩をつけて食べるのもうんまいのよね~。
 んで、これまた王道のザ・中華そば。こうでなくっちゃ的なヨロコビに包まれる。

 泉屋のお楽しみはこれだけではない。奥の棚に、なにやら手作り和綴じの絵本帳みたいなのが20冊くらい並んでいる。
 これは今は亡き先代が書かれた昭和前期の明石~神戸の風景・風俗画集だ。その絵の素晴らしさとともに、先代の記憶力や情熱に感服させられる。歴史資料としても値打ちがある。
 この画集を見に行くだけでも価値がある。玉子焼や中華そばのうまさとともに、大いなる満足を得られる名店だ。ぜひ空いてる時間帯に行って、じっくり拝見しよう。

 
昔の魚ん棚。時間が経つのを忘れてしまう。マジです
(2015年2月)
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阿波屋
明石市二見町東二見388-1
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電話/078-943-5838

【営業時間】 11:30~21:00
【定休日】 日曜日


 山陽電車の東二見駅から北へ5分ほど歩くと、明姫幹線に出る手前のビル1階に小さな食堂がある。

 
狭い通りだが車がけっこう通る

 テーブル2卓とカウンター数席、奥に小上がり一つのミニサイズだが、食堂好きなら一目でピクンと感じるはず。
 まずカウンターに並ぶオカズ類のうまそうなこと。
 そして壁のメニューは丼物400~600円台、定食600~800円台だが、種類が多い。加古川名物かつめし680円もある。
 さらに馬刺しをはじめ一品ものも充実していて、「これは何べんも通わなあかんやん、夜9時までやってるから居酒屋づかいもしたいやん~」と顔がニマニマしてきてしまう。

 
(左)狭い店   (右)このおやじさんがナカナカやるで!

 
(左)イワシフライうまー!   (右)しょうが焼きウママー!

 揚げ物、炒め物、汁ものなどを複数人で頼んでも、手際よく料理されて全部ピターッと同時に出てくる見事さよ。おやじさんの職人芸、それを補佐するおかみさんとの呼吸がすばらしい。
 カウンターに座るとその有様をつぶさに見学できて、アツアツで出される料理が倍おいしく感じられる。
 東二見に直通特急を停めてくれてありがとう山陽電車!
(2015年1月) 
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千成亭

加古川市神野町西条416-3
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電話/079-438-4263

【営業時間】 11:00~18:00
【定休日】 金曜日


 ふしぎな店だ。
 まず場所が謎。加古川線の神野駅から徒歩数分だが、よくわからない。但陽信金の角を左折し、次の角をもう一度左折したら、死にかけの神野市場が現れる。
 何もないだろうと思われる廃墟状態のL字棟の一番奥に・・・。

 
(左)蝶つがい部分になんか見える  (右)何屋さん?

 勇気を出して近づくと、手前に「洋食・和食 千成亭」の箱看板、正面には「中華料理 千成亭」の看板と「ラーメン」の暖簾。そしておかずケースと惣菜販売ケースが表に出されている。
 それらガラスケースには、「とにかくうまい鍋焼きラーメン」とか「また食べたくなる五目チャーメン」などとマジックで書かれた紙がベタベタと貼り付けられている。五目チャーメンて何やねん。「オードブル5000円より」というのもある。5000円!
 そして最も信じがたいことに、「営業中」の札が下がっている。やってるぞ…。

 中に足を踏み入れた瞬間、「この店は通わなければ!」と直感した。
 とにかく狭い。その狭い空間が、食い物と張り紙で溢れている。すごいエントロピーの高さ。

 
(左)テーブル2つとL字カウンターのみ  (右)カウンター上はおかずだらけ

 カウンター上のおかずは全部うまそうで、片っ端から食いたくなる。店のおばちゃんが一人で作っているようだ。
 壁に貼られたメニュー群も気になってしょうがない。「皮くじら入り粕汁250円」「和牛を使ったかつめし800円」「海鮮汐っぺラーメン750円」「キムチ焼きそば700円」・・・くそう~、「汐っぺ」のネーミングセンスに嫉妬するほどだ。定食も700~800円台でいろいろある。
 しかしここはやはり五目チャーメンを頼まなければな~。

 
これが五目チャーメン680円

 それはあんかけ揚げ麺だった。エビや豚肉、イカの足などが入っている。なかなかいけるし、汗をかくくらい体が温もった。

 惣菜屋・弁当屋としても、一人暮らしのお年寄りなどに重宝されているようだ。
 カウンターのお惣菜で酒を飲むのも非常によさげだが、夜は営業してないらしい。
 「だって真っ暗になって怖いから、誰も来られへん」って、そやろな。

 とにかく、多種多様な料理を狭い厨房でガンガン作るおばちゃん。只者ではなさそうだ。
(2015年2月)
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大衆食堂 あさひや  
【閉店】
【2015年、閉店されました】
レポートは営業当時のものです。
(シロヤギさん情報感謝!)


姫路市駅前町238
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電話/079-282-8360

【営業時間】 11:00~21:00
【定休日】 月曜日


 姫路駅から徒歩2分! 駅前のアーケード商店街の中にある。店頭の電照看板も迫力の、姫路繁華街を代表する大衆食堂だ。
 店内は広い。テーブルは15くらいあって、二人掛け椅子の黒カバーが渋い。
 まず目立つのは壁の電照看板だ。味わい深い手書き文字が裏から照らされ、まこと古き良き昭和のオーラが静かに浮かび上がっておるではないか。

 出入口の正面にオカズのガラスケースあり。好きなのを取ってチンしてもらうもよし、壁の電照メニュー板から注文するもよし。

 
(左)ええ雰囲気やわ~  (右)こういうので昼間からチビチビやりまんねん

 うどん400円、ラーメン500円、玉子丼600円、ビール大瓶600円・・・値段は決して安いほうとはいえないが、狙いを絞ればさして高くもならないだろう。
 それより、この雰囲気の中でメシを食うということに意味がある。
(2013年10月)
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かどや食堂

姫路市今宿車崎1673-1
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電話/079-292-4572

【営業時間】 09:00~23:00
【定休日】 土曜日


 最寄駅は姫新線の播磨高岡だが、姫路駅から頻繁にバス便があるし、1.5kmやから散歩しながら行くもよし。
 国道2号線に北側からするどく道路が交わる、まさに角地にある。一目見て、時間が40~50年は止まっていることがわかる。

 
(左)正面、のぼり立つオーラ  (右)小上がりの座敷あり

 店に入るや、予想を裏切らない時代錯誤な情景が展開する。空気の沈滞っぷりが素晴らしい。
 6人掛けの大きなテーブルが6つほどと、小上がりの座敷。角地らしく、奥の厨房は三角形にゆがんでいるようだ。
 厨房との間のカウンターにおかずケースが乗っている。その右におでん(関東煮)器があり、常連客はみな勝手に好きなのを取って、姫路らしく生姜醤油をかけて食べる。

 テレビではNHK大河ドラマがかかっているが誰も見ていない。
 店主のおやじさんは座り込んで常連客と話し込んでいるし、エプロン姿のばあさん店員は盆を落として大きな音を立て、「手ぇがしびれてきてんねん頭もしびれてるけどなウキャキャキャキャ!」と愛嬌いっぱいに笑ってるし、常連客のタクシー運転手は誰も聞いてないのにデカイ声で人生論をぶっている。
 もはや舞台である。新喜劇の。

 ここでは誰もが俳優だ。一見客も観客になる必要はない。おやじどもの話をさえぎって注文すれば、店主が機敏に丁寧に対応してくれる。
 意外にも、上品なご婦人が一人めしを食いに来たりもする。

 
(左)関東煮すじ150円、ひろうず120円、あとみな100円  (右)とん汁170円

 丼物や麺類はほぼ400~500円台。ビール大瓶550円。一品ものも「生卵60円」「味のり70円」から「うなぎ600円」まであるので、居酒屋使いもよし。
 でもやっぱり関東煮をつつきながらチビチビやるのが一番しっくりくるだろう。

 
一味は「栗甘露煮」の瓶に入っている

 うるさいタクシー運転手が帰ってすぐに、厨房の奥から土建屋コンビが入ってきた。裏口があるようだ。
 新たな役者登場で舞台はさらに盛り上がり、夜は更けてゆく。23時までやっている。
(2015年2月)
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澤田店
駅前再開発のため、2016年3月末でここへ移転されました。
レポートは移転前のものです。


姫路市白浜町甲347-14
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電話/079-245-6355

【営業時間】 07:00~18:00
【定休日】 5のつく日


 白浜の宮駅から30秒、なのに発見が難しい路地奥にある。「さわだみせ」と読む。
 見た目の渋さにめまいがする。店内も強烈なタイムスリップ具合だが、海が近いせいか緊張感皆無の脱力ムードでリラックスできる。

 
(左)激レトロ空間   (右)継ぎ足し継ぎ足しのおでんだしが迫力

 近年「姫路おでん」が姫路のB級グルメとして売り出されているが、ようは関東煮(かんとだき)を生姜醤油で食べる。この店はそのダシが黒っぽく濁ってて独特の風味が感じられ、これに生姜醤油がじつに合うんよね。
 スジのみ150円、他は120円。ビール大瓶550円が進む進む。
 うどん・丼物は400円台~700円。いなり寿司や巻き寿司もある。

 
(左)この3本で390円   (右)肉うどん600円

 うどんのだしもまた独特の甘みがある。
 この手の食堂としては値段が微妙に高めだが、激渋食堂のディープな雰囲気を十二分に楽しめる。
(2015年5月)
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大衆食堂 長谷川
姫路市白浜町甲2154
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電話/079-245-9708

【営業時間】 10:00頃~18:00
【定休日】 日曜日


 白浜駅前ニューセンターという寂れたショッピングセンターの向かいにある。
 外観、内部、ともにヒナビ系大衆食堂のエエ感じがもわーんと漂っている。

 
(左)テレビの両脇に、白浜名物「灘のけんか祭」のシデが飾られている   (右)おかず群

 人当たりのいいおやじさんがやっている。
 おかずケースおよび横の台の上に作り置きおかずが多々あって、嬉しいやないの。
 もちろん姫路おでん(関東煮)もあるぞ。

 
(左)手前の左が生姜醤油、中が辛子   (右)灘のけんか祭りカレンダー全種類

 壁のメニューでは、うどん400円~600円台。焼そば・ラーメン450円。めしは少々~大の4段階、150~250円。味噌汁70円、豚汁200円。
 でも山歩きの後で腹ペコペコだったので一膳めし式はやめ、おかずケースから冷奴と鳥塩焼、キュウリと鱧の酢の物、シューマイと大盤振る舞いや。んでビール大瓶。
 値段みな忘れたけど、高くはない。

 
(左)どや、おかず祭り~   (右)すじうどん450円

 そして、スジうどん450円。これはおでんのスジをうどんに入れたもの。とろろ昆布いっぱい、めっちゃうまいわ~。

 奥のテーブルにメダカ水槽があり、その横に不思議な棒が置かれている。聞けば、祭りの太鼓のバチだそうた。木製のは軽いが、金属製のはずしりと重く、これは練習用とのこと。

 おかず豊富で安くて、土地柄も感じられる、居心地のいい食堂だ。
(2015年5月)
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大安食堂
もう食事は作ってない、そうです。
(なべちゃん情報感謝!)


姫路市飾磨区清水47
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電話/079-235-0369

【営業時間】 未確認~21:00
【定休日】 水曜日


 山陽電車の飾磨駅を出てすぐ左。駅から30秒の好立地に、見た目ド迫力の食堂がある。
 横長の間口を端から端まで覆い尽くす、サビの浮いた大文字看板。惚れ惚れする。

 
(左)左のビルの横が飾磨駅  (右)左側には「酒は龍力」と書かれている

 中に入ると、テーブル3つにカウンター3席ほど。ディープなオーラが色濃く漂っている。カウンター内のおでん類も色濃く煮詰まっている。
 おやじ客とおばさん客が一人ずついるが、店の人はいない。メニューらしきものも一切なし。

 「すんませーん」と叫ぶと、ストーブの前に座っていたおやじ客が立って厨房奥の店主自宅と思われる部分に入っていき、客が来たことを告げに行ってくれた。
 やがて、杖をついたおばあさんがゆっくりと出てきた。もはやグリム童話の世界。

 「おでんくらいしかないけど~」とおっしゃるので、ダイコンとスジとコンニャク、それに焼酎のお湯割りをもらう。

 
中央はおやじ客、左はおばちゃん客

 おばあさんの足元がおぼつかないので、おでんは自分で厨房入口までもらいに行った。
 横のおかずケースを見ると、イワシ煮つけととゲソ煮つけが一つずつあったので、それももらう。

 
(左)おでんと焼酎  (右)イワシとゲソ

 駅前の異空間で、お湯割りをチビチビやりながら過ごす意味不明なひととき。たまらん。妙な興奮が静かに満ちてきて、最高感に包まれる。

 どうやらおばあさんは息子さんと二人で店をしてるようだが、夜は常連客(たぶんこのときいた客+α)しか来ないので、一人で留守番をしているっぽかった。
 帰りしな、自分が飲み食いしたものを台所の流しへ運んでおいた。

 外観・内部ともに、もはや映画のロケも困難なほどのスーパーレトロ食堂。今度は息子さんがいる時間帯に来てみたい。
(2015年2月)
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大衆食堂 志あんばし 【閉店】
【2017年、閉店されました】
レポートは営業当時のものです。
(ナナさん情報感謝!)


姫路市飾磨区加茂南824-10
→地図
電話/079-235-1309

【営業時間】11:00~14:00
      17:00~20:00
【定休日】日祝


 西飾磨駅から10分くらい歩いたところに、なにやら怪しげなる食堂が。

 
(左)この左が入口よね…   (右)白布にマジック書き

 これまた・・・雨降りの夜ということもあって、ディープ感5割増し。慣れてない人は入りづらいだろう。

 中に入ると、車がバンバン通る表の幹線道路とは異質な小空間が迎えてくれる。
 大きなテーブル2つと、小さなテーブルがいくつか。隅のほうや壁ぎわは、古いテレビやら人形やらカレンダーやらスノボ板(なぜだ!)やらで雑然として、どことなく地下室的な雰囲気がただよっている。
 奥の厨房手前のテーブルでは、ガテン系の2人組がビールを飲みながらデカイ声でしゃべっている。

 壁メニューを見ると、カレーライス300円、焼そば・焼うどん350円、焼飯・オムライス400円、かつ丼・中華丼500円。やっすいなー。
 麺類はうどん200円、天ぷらうどん・カレーうどん300円、ラーメン250円、カレーラーメン・五目そば320円って、まじかいな!
 厨房前に小さなおかずケースもあり。

 席に着くと、丁寧で物静かで線の細いおばあさんが注文を聞きに来てくれたので、カレーラーメン320円を注文。ついでに焼酎お湯割りと、おでん盛りもあったのでそれも頼んだ。

 
(左)店内は独特のムード   (右)カレーラーメン、おでん盛り、焼酎

 料理は厨房の奥でおじいさんが作っている。
 やってきたカレーラーメンはちゃんと肉も乗ってて、すきっ腹には全然OK。320円とは思えん。
 おでん盛りは、ひとつひとうつは小ぶりなものの、5種類も乗ってた。

 おでんと焼酎は値段を確認せずにテキトーに頼んだ。たぶん安いやろとは思ったけど、帰るときのお勘定が合計770円やと! ホンマかいな。
 焼酎を300円として、おでん盛り5種で150円なんか!?・・・とにかく予想をはるかに下回る安さに驚愕。

 まあそれはよいが、二人組の客がビールを勝手に冷蔵庫から出して次々に飲んで、うるさい声で工事現場か何かの話を喋りっぱなし。マンボて何やねん。
 もの静かなお婆さんとじつに対照的であった。

 店の様相に似合わず、トイレはきれいで、トイレットペーパーは香りつき二重巻き、しかも三角折りにしてあった。
 ディープな穴場。また行ってみよう。

 
東側には巨大な「めし」
(2015年2月)
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ことぶき食堂
姫路市網干区新在家1366
→地図

電話/079-272-0013

【営業時間】11:30~14:30
      17:00~20:30
【定休日】日祝


 山電の終点、網干駅から南へ6~7分歩くと、漁船の並ぶ東雲橋の手前に古めかしくも立派な大衆食堂が現れる。

 
目がクギ付けになる・・・

 かつて繁栄を極めたであろう、地域の盟主的な立派な食堂。それが今、ここに残って、現役で営業している!

 内部は外観を超える奇跡っぷりだ。
 入ってすぐ正面におでん器とおかずケース。右側に広い厨房、中央には直角の背板で区切られたテーブル3卓。
 そして何と言っても目を引くのは左側の長テーブル。真ん中に1枚の衝立があって、向かい合った客どうしが顔を合わさないようカウンター状になっている。

 
(左)厨房前の垂れ壁にメニューがズラリ   (右)開店直後で、おかずはまだ少なかった

 
(左)長テーブルの中央に衝立が   (右)長テーブルの後ろには小上がりも2卓あり

 店は物腰やわらかなおやじさんとおかみさんの二人で切り回しておられる。
 長テーブルに座ると、おかみさんがおしぼりを出してくれた。大衆食堂ではレアなサービスだ。

 おかずケースから「あらだき280円」を選んでチンしてもらい、めし小230円と豚汁180円を注文した。計690円。
 めしは大と小しかなく、小で230円とはチト高いな。しかも大250円と20円しか違わない。
 でもそれ以外は、うどん350円、中華そば450円、親子丼・カレーライス600円など一般的な値段。

 
(左)衝立前のわがメシ   (右)わがメシ拡大

 それにしても、この映画のセットのような本物空間で食べるめし……感動プライスレスだ。

 この店でもう一つ特筆すべきことは、おでんの安さだ。
 大根、こんにゃく、玉子は60円。すじ120円。その他は全部80円。めしが高いことを考えると、おでんとオカズで一杯やるという使い方のほうがいいかも。
(2015年2月)
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甘党の店 オハラ  【閉店】
【2017年8月で閉店されました】
レポートは営業当時のものです。


三木市本町2-6-19
→地図

電話/0794-82-0618

【営業時間】 11:30~17:00
【定休日】 月曜日


 神戸電鉄三木駅から徒歩5~6分。古い街道沿いにある。年季の入ったモダンな外観にキュンとくる。店頭に餅などが並び、奥まったところに食堂の入口がある。

 甘味処が餅や赤飯を置き、その延長で大衆食堂化する場合がある。京都をはじめ関西各地にある力餅食堂などはその代表だが、ここもその系統といえるだろう。

 
(左)ストーブに干されたタオルが茶色くコゲている   (右)赤飯定食400円

 うどん類300~400円台、丼物が400~500円台。ぜんざい480円、ぞうに430円、赤飯150円などもあるのが甘味処らしい。
 店はおじいちゃんとおばあちゃん二人で切り盛りされている。

 
食べるミルクセーキ!

 この店の名物は何と言ってもミルクセーキ450円だ。フローズンだが、なぜか溶けない。練乳が決め手なのだろう。素朴な甘さであっさりしており、口に入れた瞬間、目を見開いて「おぉ、うまい!」とつぶやいてしまった。大手チェーンのナントカシェークなんかとは比べ物にならんね。
 これを真冬に、だるまストーブの横で食べる・・・贅沢なひとときだ。

 赤飯定食は赤飯に味噌汁と漬物がついただけだが、ちょうど良い塩味加減で、丁寧に作っておられることが察せられる味だった。
 「新沼けんじや森脇健二も来たよ」と話してくれる、おじいさんおばあさんお二人のお人柄も合わせて、「来てよかった~」としみじみ余韻の残る名店だ。
(2015年2月)
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かつ美

2017年頃に改装されたようです。
レポートは改装前のものです。
(タケちゃん情報感謝!)


加西市北条町北条42-2
→地図

電話/0790-43-0635

【営業時間】11:30~14:00
      17:00~20:00?
【定休日】日祝?


 北条鉄道の終点・北条町駅を出たら、正面に「アスティアかさい」とかいう大きな商業ビルがある。その左のほうを見たら・・・。

 
(左)ん? 古い民家のようなのがポツンと   (右)おおぉ!

 
(左)しぶい・・・   (右)ランチの定食4種類、各700円

 「かつよし」と読む。もう見ただけでピンとくる感じ、わかる~?
 中へ入ったら、テーブル二つに小上がり2卓、カウンター3席ほどの狭い店内ながら、期待通りの渋い空間だ。
 壁のメニュー板を見ると、ブリなどのお造り、うどん類、焼き魚、揚げ物などいろいろ書かれていてそそられるが・・・とりあえず、牡蠣と白身魚がついてるっちゅーミックスフライ定食700円。

 
(左)ええ感じやん~カレンダー多いけど   (右)フレームに入りきらん・・・

 んだらば! デカイ牡蠣フライが4つか5つ・・・それと白身魚フライ2つ、ほんで小鉢2品に漬物に味噌汁。小鉢ものや汁などにも死角なし。隅々まで行き届いている。
 これフツーは900円ぐらいは軽くいってまうやろが!

 豚カツ定食700円もすばらしい。このトンカツのデカさ、柔らかさナニ? これは元町やと980円クラスやろが!

 
(左)ミックスフライ、アップ   (右)エクセレントなるトンカツ

 モグモグ…いやもーこれホンマうまいわモグモグ…タマランわモグモグ…最高やん~、と食いながら勝手に口から喜びの言葉がこぼれ出てしまう。

 さらに食後には「インスタントですけど、よかったら・・・」とコーヒーまで出してくれはりまんがな。

 
チップ置いて帰ろかな

 この店をやっておられるご夫婦の気づかい、お人柄がまた最高。それがすべて丁寧な料理に表れている。
 この店を目的に北条まで行っても惜しくはないだろう。
(2015年2月)
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だるま食堂
【閉店】
※閉店されたとのことです。
angel de yabuさん情報感謝!)
レポートは営業当時のものです。2020.7.17


相生市相生3丁目2−3
→地図

電話/0791-22-2873

【営業時間】11:30~18:00
【定休日】金曜日


 相生駅から2.5kmほど離れているが、相生市で唯一の銭湯・都湯からは1分かからない旧相生地区にある。
 中は改装されて清潔で、テーブル4つほどとカウンター少々の小空間。70代のご夫婦でやっておられる。

 壁メニューを見ると、うどん380円~、丼物500~600円台のほか、寿司類がニギリ800円、巻き・箱・稲荷・チラシ各350円など充実。その他、トンカツ定食やオムライスその他、一品ものもリーズナブルに揃う。

 
(左)きれいでこぢんまり (右)メニュー

 カウンターの上に名札のようなものが散らばっている。聞けば、一人暮らし老人への弁当配達が多いのだという。その準備でテーブルが弁当でいっぱいになるらしい。
 どうやら今はこっちがメインのようで、壁メニューは全部すぐにできるとは
限らないようだ。

 
(左)宅配弁当の名札   (右)ひとつできた

 その準備にお忙しい中、カレーチャーハン500円を注文した。ご飯が若干ダマになってたかも…。
 そして八宝菜400円、和風だしっぽいぞ。アナゴが入っているのは土地柄か。

 カレーチャーハンと八宝菜

 駅から離れた辺鄙な場所に食堂があるのは助かる。しかも風呂屋の近くで嬉しいな~。
 この店の宅配弁当を待っている近隣の独居老人の方々にとっては、さらに有難いお店だろう。

(2015年5月)
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