| メ シ つ き 文 化 遺 産 | ||
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| 岡山県の渋~い大衆食堂 | ||
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| ことぶき食堂 ★
岡山駅からすぐの賑やかなアーケード商店街。ふいに現れるレトロなたたずまいにムムッ!と立ち止まってしまう。 駅東口のスカイモール21を入って1分入ってすぐ左手に、角度のついたおかずケースがある。 店内は奥に長ぼそく、4人がけと2人がけのテーブルが3つずつ。年配のご夫婦でやっておられる。 ![]() (左)なぜか最上段に人形 (右) 店主のおやじさん この白い椅子は昭和36年にオープンした当時のものだそうで、背中が直角で座面の奥行きが狭く、今や珍しいものだ。 寒いので、まずは酒330円を燗で。そしておかずケースからままかり酢漬けとほうれん草を取り、卓上メニューからオムレツを焼いてもらう。 ![]() (左)岡山に来たらコレ! (右)オムレツ430円 麺類400円台、丼物500円台。中華そばやカレーライス、オムライスもある。 賑やかな駅前にありながら、この店内はウソみたいに別世界だ。時間の止まったひとときで、こちらのスイッチも別のところに切り替わってくる。 トイレは台所の奥にある。昔の厨房を垣間見れて興味深い。 ![]() (左)おかずケース上部のガラス! (右)6つ玉のそろばん おやじさんの腰は90度に曲がっているが、まだまだ意気軒昂だ。お勘定はおかみさんが骨とう品のようなソロバンを弾いて算出してくれる。 (2015年3月) |
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くろかわ食堂 ★ (閉店)
これもまた、ある種ウソみたいな話だ。 岡山駅西口、奉還町商店街の少し南に、まあ言っちゃナンだがボロンボロンの食堂がある。 ![]() (左)何が落ちて来たんだろう? (右)え、もうお終い? 入るには若干の勇気が必要だろう。しかし入るべきだ。俺はそう言いたい。 入ろうとしたら、ちょうど出てきた一人のおばあさんが、右上の紙をガラスに貼り付けた。 「すいません、もうご飯も材料も全部なくなってしもて・・・」 まだ6時ごろだが、もう売り切れなのだという。 「はー、そうですか・・・ラーメンぐらいでもエエんですけど~」 「はぁ、ラーメンやったらできますけど・・・」 「すんません! ホナそれでいいですので~」 そんな具合で入らせてもらった。ちょっと迷惑やったかも。 でもそのおばあちゃんの感じのよさがタマランのよ。やさしいというか、気遣いが一級品でかわいらしい。なんかもうビビビときてしもて、すんなり帰れんかったんです。 中に入ると、木のテーブル3つのミニ食堂。手前のテーブルで1組の家族連れが無心で定食ものをガツガツ食っている。 それよかナニこの空間、あぁもう田舎の家に帰ってきたみたい。古いけど清潔で、目に入るあらゆるものがヒジョーにエエ塩梅。そのすべてがおばあちゃんのぽたぽた焼きオーラで大事にくるみ込まれている。 これは舞台の大道具さんがコピーして作ったって無理やな。ここでロケするしかない。おばあちゃん付きで。 ![]() (左)コンクリ床、流し、最高 (右)年季のテーブル、最高 壁メニューを見てまず目に入るのは、「手作りジャンボハンバーグ並900円、大1000円」。このボロイ食堂でハンバーグ1000円やとう! どんだけジャンボやねん。 そういや家族連れはそれらしきものをハフハフ言いながら無心に食っとるで。 他のメニューもすべて並と大があり、大が100円高い。ラーメン、カレーライス、オムライス、唐揚げ、親子丼などは並550~650円、定食ものはほぼ並650~750円程度。 500円以下のものは「ボリュームたっぷり、くろかわ餃子6ヶ380円」だけだ。アルコール類は置いてない。 おばあちゃんがラーメンを作って持ってきてくれた。 ラーメン600円、最高いやこれはウマイわ! 味はご想像あれ。チャーシューもよい。 うーむ、これは・・・この店で、このおばあちゃんで、このラーメン。タマラン。次はもっと早い時間に来て絶対にジャンボハンバーグを食わねばならん。 岡山、深し! (2015年3月)※メニューからハンバーグがなくなったとの情報をいただきました。おかみさんが体力的にしんどくなったからだそうです。なべちゃん情報感謝!(2016年3月) |
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| みか月食堂 ★
駅は津山線の法界院が近いが、岡山駅でも清心温泉から幹線道路を北上すれば、総合運動場の向かいに見えてくる。 ![]() (左)古い建物 (右)激レトロな店内 暖簾をくぐるや濃厚なレトロ空間がお出迎え。 中央にある青いおかずケースの存在感がなんかすごいわ。「日曜は巻き寿司の日」ということで、巻きずし420円をはじめ、焼き魚や惣菜などが並んでいる。 巻きずしは太くてうまそうだけど、軽くアテで飲みたかったので漬物とフキのたいたんを取って、ビール(大瓶530円)。 壁のメニューは、うどん300円に始まって麺類・丼物はほとんどワンコイン以下の安さだ。 ![]() (左)漬物とフキ (右)豚肉炒め400円、うまいわ~ 豚肉炒めを注文すると、感じのいいおかみさんが料理して持ってきてくれた。おやじさんも中で料理している模様だが、途中からテレビの相撲に夢中になっている。 店内の壁には古いペナントや「1972年、新幹線岡山駅開業」のポスターなどが色あせたまま貼られている。 お世辞にもきれいな店内とは言えないが、歴史の累積空間でボーッと飲み食いすることに妙な安らぎを感じる。 目の前にある総合運動場はかつて練兵場だったそうだ。 みか月食堂は昭和26年から営業を続けているが、建物は明治3年のもので、奥の住居部分は当時のままらしい。 おかみさんは若い頃は忙しい食堂が嫌で東京に出たが、結局は戻ってきてここを継ぎ、はや40年になるという。戦後の岡山の変遷を見つめてきた貴重な食堂だ。 (2015年3月) |
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一休庵食堂
平日の昼下がりになぜか瀬戸という用もない駅で下りる。 道路に面して古さびた食堂ありて暖簾をくぐる。簡素な俺好みの店内、他に客なし。70歳くらいのスラッとしたばさあん一人でやっている。 緑の丸椅子が泣かせる小さなおかずケースに天ぷらと酢の物など3~4皿あり。メニューはうどんと中華そばに絞りこまれている。 ![]() (左)かわいいおかずケース (右)メニューこんだけ 中華そば450円を注文し、一皿だけあった天ぷらを取り、ビールをもらう。ビールはキリン中瓶が出てきた。 ![]() (左)こういう飲み方がいちばん気楽 (右)中華そば450円 中華そばは普通の醤油味で、汁はやや塩分多めながらも不思議とコクがあり、残りが汁だけになってもやめられない。 ご飯ものはないんかと聞くと、白飯はあるという。それとおかずで食ってもよいとのこと。 今やこの手の脱力系食堂は極めてレアだ。なかなか悪くない。(2016年9月) |
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食堂たにや
倉敷駅から南へ7分、かつて遊郭があったエリアの川西町の南寄り1軒の地味な食堂がある。 ![]() (左)外のショーケース (右)右奥におかずケースが見えるけど、からっぽ 中に入るとわりと広々した空間にテーブルが並ぶ。チョコンと3つだけカウンター席もある。 壁に貼られたメニューの数が多い。めし150円に始まって、麺類・丼物・洋食はほぼ400~500円台、定食もののほか一品ものもいろいろで目移りする。 おばあさんとおばちゃんがやっていて、おばちゃんのほうはしっかり者な印象。 まずはビールと野菜炒め550円、そしてざるそば650円(小は550円)。どちらもボリュームたっぷり。サービスで若竹煮も出してくれた。 ![]() (左)野菜炒め550円、ボリューム大 (右)ざるそば650円、えらい山盛り 常連のお客さんが来て、鍋焼きを食べながらおばさんやおばあちゃんと話しこんでいる。語尾は全部「~じゃろう」。 地方の片田舎、幸福なのどかな午後のひと時だ。 食後にコーヒーも出してくれたよ嬉しいねぇ。 愛のサービスピンクのカスミソウがきれいに飾ってあるから、聞いてみたら、お客さんからもらったそうだ。 よき店じゃろう。倉敷だからといって観光客向けの取ってつけたようなもん食わんでもええじゃろう。(2017年5月) |
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奴
倉敷駅前から東に延びる商店街を歩き、アーケードが切れてもさらに進むと、左手に「倉敷デパート」という、およそデパートには見えない廃墟一歩手前的な建物が現れる。 個人の小売店が集まったイチバやね昔の。 でも決して廃墟ではなく、営業しているお店もそこそこある。その中の1軒がここ。表に幟を立てておられるのでわかりやすい。 ![]() (左)幟のある所を入る (右)内側から見たところ ![]() (左)通路は暗いけど看板たくさん (右)歴史を感じる 暖簾が出て「営業中」の札も下がってるけど、引き戸が開かない。鍵がかかっている。 と思ったら、60代後半~70代くらいのおやじさんが内側から開けてくれた。「ちょっと出かけようと思ってたけど、いいよ」とのことで入れてもらう。 テーブル4つとテレビだけの狭い店。古いけど清潔に整えられている。 壁に貼られたお品書きを見ると、うどん・そば類350~500円、丼物400~800円。「出前迅速、味で勝負する店」と、きっぱりと書かれている。 ![]() (左)小さなお店 (右)カウンターの向こうでおやじさんが作る 親子丼450円を注文した。俺の経験によると、この手の店の親子丼は間違いない。 おやじさんは寡黙だ。親子丼に集中しておられる。 親子丼450円、来たぞーうーむ、親子丼うまし! 汁と漬物も付いててお得だ。 なんかねー、こういう小さい店でこの道何十年のプロフェッショナルに自分だけの料理を作ってもらうと、たった450円ではもったいないようなスペシャル感がいただけるのよねー。満足。(2016年9月) |
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かっぱ食堂 ★
駅から徒歩10分ほどの津山中心部近く、津山城の西側に、古めかしい小さな食堂がある。 この一塊の建物群全体が激渋暖簾が出ていないけど、中に人のケハイがする。 念のため少し戸を開けてのぞいてみたら、ずらっと並んだオカズ群と、カウンターで食事をしているお客が目に入る。 めっちゃ営業してるやん! おおぉ! なんかスバラシー!店内はウナギの寝床的に細長く、カウンターと、奥にテーブル一つ。10人入れるかどうかくらい。 そしてカウンターの出入り口寄りに、おかずの入ったバットが13種類も並んでいる。 鯛の南蛮漬・鯖煮・里芋・きんぴら・揚げ出し豆腐・玉子焼き・ほうれん草…。 ここから好きなおかずを1つか2つ注文して、めしと味噌汁を頼むのかなと思ったら、そうではなかった。 皿にどれでも好きなのを好きなだけ取り、それにめしと味噌汁がついて550円だという。バイキングやん! でも、おかずのおかわりはしないのがルール。 それにしても安い。安すぎる。 カウンター内では70代の寡黙なおやじさんとおかみさんが働いていて、次々におかずができてくる。 ![]() (左)俺が取ったオカズ (右)どれもウマソー! できたての料理を皿に好きなだけ取る。全部ウマイ。なんちゅー豊かな昼飯光景や! ちなみに、この550円定食以外にも、麺類や丼物など一般的なメニューもある。 「暖簾が出てませんけど」と言うと、おかみさんが「体を悪くして手が届かない」とおっしゃる。客はみんな常連だから、暖簾が出ようが出まいがあまり関係ないのだろう。 朝からやってるというので、「明日の朝も来ます!」と宣言した。 そして翌朝再訪。玄関先にゴミ箱が出しっぱなしになっている。 店内には昨日とは違うおかず群でまたまた幸福に包まれる。 朝からもうこの店が紹介された新聞記事の切り抜きがあった。創業から半世紀、店主夫妻が体を壊してからは、客がご飯を自分でよそったり、食べたものを運んだりして営業が続いているのだという。 そういえば、あとから来た若い人がカウンター内まで入って何かしているので、店員かと思ったら客だった。 また別の高齢女性が入ってきたと思ったら、玄関先にあったゴミ箱を「入れときますね」と言って店内の置き場に置いて、出て行った。めしを食いに来た客ではない。通行人だ。 みんなに大事にされている。みんな、この店がなくなると困るのだ。 きのう初めて来たばかりの俺も、「困る! かっぱ食堂がなくなったら困る」と強く思った。 そして食後は俺も、使った食器をカウンター内の洗い場まで持って行った。 脳梗塞を患ってからも黙々と働くおやじさんいつまでも心に残る、かっぱ食堂。1食550円+感動プライスレス。1日も長く続けてくださいますように。 (2014年12月) |
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橋野食堂 ★
東津山駅から徒歩7~8分。「城東町並み保存地区」の古めかしいまちなみの東口にあたる三叉路に、一発でハートを打ち抜かれるような激渋い外観の食堂あり。 ![]() (左)ガソリンスタンドの向こうに・・・ (右)暖簾がタマラン! B-1グランプリで有名になったホルモンうどんの人気店で、ピーク時は長い行列ができるらしい。 内部も外観同様の昔ながらっぷり。大きめのテーブルが3つと、奥に座敷もある。 うどんや丼物など一般的な食堂メニューもあるが、ここはやっぱり……気さくなおやじさんにホルモンうどんとセンマイ炒めを作ってもらう。 ![]() (左)だるまストーブもエエ味だしとんで (右)おやじさん ![]() (左)名物ホルモンうどん790円 (右)センマイ670円は味噌炒め。否応なくビールがすすむ 壁のあちこちにテレビ取材時の写真やサインが飾られている。こういうのがベタベタ貼ってある店はイマイチ好きではないが、ここは店の雰囲気が勝っている。 B級グルメで人気が出てから取材が多く、おやじさんは「90回テレビに出た」という。中田英寿も「自分探しの旅の途中に」来たそうだ。 ビールでホルモンに舌鼓を打っていると、若いカップルが車でホルモンうどんを食べに来た。 「B級グルメブームがなけりゃ、この店もなくなってたやろなぁ」とおやじさんはおっしゃる。 俺自身はそういったコンテストなどにはあまり関心がないが、地域起こしの戦略としては有効なようだ。 俺としては、あちこちで食えるホルモンうどんよりも、この店の存在自体に唯一無二の価値があると感じる。 津山駅からバスもあり(2014年12月) |
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双葉食堂
JR赤穂線の伊部(いんべ)駅で降りてすぐ、徒歩30秒の便利な立地。 しかも線路と反対側には国道が走っていて、そっち側にも入口がある。どっちが正式な入口なのかはわからない。 ![]() (左)右側に駅側入口、左側に道路側入口がある (右)駅側入口 道路側から。ナナメ階段下が入口そして見ての通り、1階はあるけど2階のない建物と、2階はあるけど1階のない建物とが合体している。本来の食堂は1階部分で、2階の棟は宴会場として増設されたものだろう。 中に入ると、タイル床の小空間にテーブルが3つか4つ。横を見ると広めの座敷に4卓ほど。2階棟の宴会場は見ていない。 手前に広い厨房があるが、テーブル席エリアに飛び出したように島状の鉄板調理コーナーがある。おかずの入った冷蔵庫もあり。 ![]() (左)メニューが非常に多い (右)冷蔵庫の向こうに座敷もある 若い女性店員が無表情に、「座敷ですかテーブルですか? お茶は熱いのですか冷たいのですか、ビールはアサヒですかキリンですか」とテキパキ聞いてくる。 この店はホルモンうどんが有名なようだ。B級グルメブームでそれ目当ての客が増え、客席をつぶして大きな鉄板を設置し、そのぶん宴会場を増設したということかもしれん。 せっかくなのでホルモンうどんを注文し、ついでにビールとおでん。 ![]() (左)おでん豆腐90円すじ160円、ビール中瓶530円 (右)ホルモンうどん750円、うまし! ホルモンうどんはエエ値段しとるけど、ソースの香りがめっちゃよい。わりとあっさりしていてウンマウマ。許さざるを得ませんなぁ。 一品ものも充実していて、居酒屋づかいも楽しそうなメニュー。唐揚げあたりも気になる。座敷の家族連れはお好み焼きや焼きそばを頼んでいたが、ごっつー大盛りだった。 帰りには「I LOVE 双葉食堂」のシールステッカーがもらえる。 (2015年3月) |
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| 銀河食堂 《閉店》
西片上駅から海のほうへ5分ほど歩き、250号線に出る角に古い食堂がある。 一見客を躊躇させるディープなオーラがむんむんくる。それでも「営業中」と大きな立て看板が出ているぞ。 ![]() (左)テントもボロボロ、かろうじて屋号が読める (右)店内も数十年前から時間停止 燕の巣と暖簾とをくぐって扉を開けると、くたびれた赤いエプロンに白いシェフ帽をかぶったおやじさんが出迎えてくれる。エプロンは汚れてるが、よく見るとキティちゃんがついている。 店内はそこそこの広さだが、レトロ・・・というか正直、薄汚れている。相客はいない。 壁メニューは、うどんや丼物が400~500円。奥のほうにおかずケースがあり、焼シャケ、揚カレイ、アジフライ、サバ煮などが並んでいる。 そこから焼ジャケ(ポテサラつき)を取ってチンしてもらい、めし小と味噌汁を頼んだ。 ![]() (左)おかずケース (右)傾いたカウンター上はモノだらけ、厨房の戸棚は歪んでいる ![]() (左)窓際に水と金魚だけの水槽 (右)お茶のポット・・・拭こうよね これで400円!店はぼろいが、めしは普通にうまい。 食べながら周囲を眺めると、窓の角が丸みを帯びていたり、小さな給湯ブースみたいなのがあったりして、店内の造形がちょっと変わっている。 「この部分は何に使われてたんですかね?」などと尋ねるや、おやじさんは客席の椅子に座り込んでいろいろなことを身振り手振りで教えてくれた。 ![]() (左)謎の小部屋 (右)昔のカフエー銀河 壁に、「昭和6年撮影」と書かれた昔の銀河食堂の写真がかけられている。 看板は横文字で「CABARET」、そして縦にカタカナで「ミスキンカ」?いや、「ミスギンガ」だ。 そう、昔ここは女給さんがいるようなカフェーだった。 いま銀河食堂がある場所は、かつての片上鉄道の終着駅の真正面だった。当時それは賑わっていたという。 カフェー時代は2階に宴会場があって、出征する人の壮行会なども行われたそうだ。 ![]() (左)かつての駅側から。左端はおやじさん (右)銀河食堂の向かい、駅と貨物の引き込み線があった場所 「銀河」と名付けたのはおやじさんの祖父。宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」からとったのではないかとおやじさんは言う。 そんな文学の香りにつられてか、直木賞作家の藤原審爾もカフェーの客だった。彼の自伝的小説「愛と孤独の昼と夜」(のち『愛の夜、孤独の夜』)には、この食堂らしき店が登場しているという。 あとで調べてみると、「片谷」駅前の「銀星」という名前で出ていた。 田舎の古ぼけた食堂にも歴史あり。人の世は深い。 (2015年3月) |
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| 十銭食堂
西片上駅は、1時間に1本の列車を待つ高校生らでごったがえしていた。かなわんので1時間遅らせることにした。 駅から南東へ徒歩5分ほどのところに、商売気をほとんど感じさせない地味な外観の食堂がある。暖簾が出てないけど、ちょっと覗くと営業しているようだ。 ![]() (左)入口、これで営業中 (右)店内は美しい ディープな店名・外観とは異なり、中に入ると清潔で整然とした雰囲気だ。 レンジフードはピカピカだし、店内にヨゴレらしきものが皆無。壁の上部には「食品衛生 優秀店」の賞状が額に入ってずらりと並んでいる。 土産物なのだろう、おびただしい数のご当地提灯もきれいに飾られている。 ![]() (左)南蛮漬け300円 (右)焼豚500円 母と娘っぽい女性2人でやっている様子。 カウンターに小さなおかずケースがある。定食ものもいろいろあるようだ。 店の雰囲気から、料理が相当うまいだろうと想像された。でもさほど腹が減ってなかったので、一品ものでビール。うまし! かかっているテレビの音が最初うるさかったが、消してもらって以後はまったくもって静かになった。昼下がりの時間がのんびり過ぎてゆく。 銀河食堂と同様に建物は古そうだが、内部は対照的。磨けばこうなる、のビフォーアフターみたいだった。 (2015年3月) |
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