チープ&ディープな男の旅路
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| 【後編(2日目)】 まるごと一望---眉山に登る 平和に一体化---吉野川河口に立つ 東へ西へ---自転車でもがく 終わりよし---鳴門で成就 |
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まるごと一望---眉山に登る 8時起床、8時半出発。いつになく健全だ。 まだ風は強いが、気持ちよく晴れた。コンビニでパンと缶コーヒーを買って、眉山へ向かう。 眉山は徳島中心部のきわに聳える山。きっと眺望がいいに違いない。 大通りの突き当たり、あわおどり会館兼ロープウェイ乗り場駅前大通の突き当たりに「あわおどり会館」がある。そこからロープウェイが出ているが、往復1000円もする。言うまでもなく、わがチープ&ディープな旅では迷わず徒歩だ。 あわおどり会館の裏手から山道が始まる。けっこうな急坂だ。尾根道を直登だなこりゃ。できるだけ汗をかかないようにセーブして登るが、とっくりを着ているので早くもムレムレ。 ![]() (左)はじめは階段道 (右)やがてこんな緑のトンネル道 40分ほどで頂上についた。276.7メートル。 いや〜期待通りの素晴らしい眺めだ。冬の朝の陽光に輝く、雄大な景色。 冷たい強風がちょっと寒いが、休憩所に入るのがもったいなくて、展望台で震えながらパンと缶コーヒーの朝食をとった。人は他に2組ほどチラホラ。 コンパクトな徳島市街のまるごと全部が一望のもと。この景色だけでも徳島に来た甲斐があったなあ。 ![]() 中央のこんもりした森(徳島中央公園)の手前が徳島駅、その向こうに吉野川の河口 上の写真ではわかりにくいが、中央公園や駅のあるゾウリムシ島の下流側市街地は吉野川の分流でいくつかのクラスターに分けられ、パッチワークのようになっている。 そしてバカでかい吉野川が紀淡海峡に向かって口を開けている。ウム〜、ごついぞ吉野川。 都市部を流れる川の河口付近はたいてい埋立地が作られて原型を留めていないことが多いが、この川は加工なしにズドーンと海に合体しているなあ。 見ているうちに河口フェチの血が騒ぎ、その川が海とつながる場所へ行ってみようと思い立った。 ちなみにこの頂上には、こんな塔が立っている。ビルマ戦線の生き残りの「徳島ビルマ会」の人々が平和を祈願して建てたというパゴダだ。 中にはビルマ関連の資料が展示されているまたパゴダの隣には、徳島ゆかりのポルトガル人を記念した「モラエス館」という建物もあった。 入口にあったタイル絵。こんなのに魅かれてしまう僕って・・・平和に一体化---吉野川河口に立つ 下りは、登ってきたときより足元が滑って危ない。低山のくせに、普通のスニーカーで登るには角度が急なので、下まで降りるころにはすでに膝が笑っていた。 あわおどり会館を覗いてから徳島駅前へ。この街は徒歩では面白くないことが昨日判明したので、ここで無料レンタサイクルを借りる。 ペダルを漕いで東へ。いくつかの川(というか水路)を越えて30分ほど行くと、海岸の堤防に突き当たる。北へ進路を変えて堤防上を走ると、数分で道が左へ直角に曲がる。 そこが、西からまっすぐ流れてくる吉野川の河口だった。 この看板の位置が川と海の境界大きな眺めだ。 上の写真のちょうど中央あたりで、対岸が切れているのがおわかりか。あそこまで1km以上はあるだろう。遠くの山は淡路島だ。 このあたりは干潮時には干潟が出現するようだが、この時は潮が満ちていて、海と川が完全に融和・合一していた。 吉野川は古来、坂東太郎(利根川)、筑紫次郎(筑後川)と並んで「四国三郎」と呼ばれた大河だが、それにふさわしい立派な河口だ。 堤防上をジョギングする人が数人いたが、ほかには誰もいない。 とりあえず立小便でマーキングした。 河口から上流方向の眺め西へ東へ---自転車でもがく そこから西へ堤防を走る。でも風がきつくてたまらないので、堤防から離れて内陸の道路へ。周囲は砂地を利用したネギ畑が多い。 徳島駅の北側、助任町あたりは、徳島ではじめて見る下町っぽい街並み。例によって銭湯をつなぎながらさらに西へ数キロ走り、徳島大学医学部あたり(徳島駅から2駅)で再び東へ向きを変えて市の中心部に戻る。 ダメだ、やはり趣のある街並みは見当たらない。銭湯も伝統系はなし。 腹が減ったので、道沿いにあったラーメン屋「いのたに」へ。ここはどうやら有名な徳島ラーメンの店だったようで、そっけない外観とは対照的に、広〜い店内は超満員だった。おじさん軍団からギャルまで50人くらい客がいただろうか。 こくのあるしょうゆ味に、チャーシューではなく焼肉が乗っているのがこの店の特徴らしい。個性的な味で、なかなかうまかった。ま、びっくりするほどではないが。 いのたに食後、お寺の集まった寺町を通る。寺には寺の雰囲気があるが、やはり不思議なほど街並みに風情が感じられない。なんだろなぁ・・・。 時間もあるし、中心街を走り抜けて今度は南東へ向かう。地図を見ると、津田という地区は古い漁港っぽい。漁港には細い路地とシブ銭あり、と相場が決まっている。 4kmほど走って津田地区到着。思ったとおり路地なども残ってはいるが、しかしさほどの風情はない。ここにある「昭和湯」はなかなか味のある外観だったが、残念ながら休みだった。 西南まわりで殺風景な郊外道路を約5km、再び徳島駅へ戻る。午後3時。 帰りの高速バスは7時半発なのでまだ時間があるが、朝から山を歩き自転車を漕いで、かなり足が疲れたな。強風で髪もバサバサ、鼻水タラタラ。とりあえず自転車を帰す。 そろそろ渋い銭湯にめぐり合って、足腰をじゅわ〜っと癒すとともに心も和みたいねぇ。でも徳島の銭湯はもうほとんどまわっちゃったし・・・。 終わりよし---鳴門で成就 駅の電話帳で見たら、鳴門に銭湯が4軒。どれも中心部の撫養(むや)地区だ。 行くか・・・。 JR鳴門線で約45分。終点の鳴門駅に着いたら4時すぎだった。 地図はない。徳島駅ビルの書店で地図を立ち読みしておおよその目星をつけておいたので、あとは勘をたよりに歩く。 鳴門は徳島とは一転して、かなりディープに鄙びた味わいの残る街だ。迷路のような路地がくねくねと続く。うーむ、徳島市なんかやめて、はじめからこっちを旅しとけばよかったよ。 でも残念ながら、あまり時間がない。日暮れにせかされつつ、撫養川の西側の3軒のうち2軒を発見。いずれも徳島では見られなかった味わい深さ。特に八幡湯は田舎度全開の超ジミ銭湯でそそられたが、しかしこのとき僕は疲れた心身を癒す、見た目からホッとできる名銭湯を狂おしく求めていた。 もう5時だ。そろそろ日が暮れる。最後の1軒、撫養川の向こう岸に煙突を発見。そこを目がけて足を速める。橋を見つけて、漁船がぎっしり停泊する撫養川を渡り、川の東側の林崎地区へ。いやはや、川のこっち側はさらにディープだな・・・。 路地をくねくねと曲がるうち、煙突を見失ってしまう。 と、そのとき・・・ついに出たーー!! ![]() 屋号はどこにも出てないが、電話帳では「養老湯」 やっとめぐり合えました。いかがですこの味わい。中もよかった。くわしくは「名銭湯・徳島県」編をご覧くだされ。 貸切の湯船に、足をずいーーーっと伸ばす。ここは四国、鳴門林崎。アハハンっと。しみじみ、なごみなごみ。 あがって鳴門駅へ戻る。徳島駅発の高速バスはどうせ鳴門を通るので、それまでここで飲んでるとするか。 駅近くの居酒屋へ。カツオのタタキなどをつつく。うみゃー。 そのあと市バスで高速バス乗り場まで移動し、無事に予定のバスに乗車。あっという間に神戸に帰ってきましたとさ。 以上、徳島は味気ない街だった。きっと夏の阿波踊りのときに思い切りはじけるかわりに、それ以外のことはどうでもよくなっちゃったのだろう。 でも眉山の景色と、吉野川の河口の風景はよかった。とくに、この雄大な吉野川を観光に活かしていないのは実にもったいないねぇ。 それとは対照的に、わずかな滞在だったが鳴門にはまたゆっくり行ってみたいと思った。 おしまい。 |
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