チープに極楽。生きててよかった!

四国の激渋銭湯 【徳島県】
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養老湯 (鳴門市)
貞光温泉★ (美馬郡つるぎ町)(廃業)

養老湯

鳴門市撫養町林崎字北殿町130
TEL:088-686-4051
【営業時間】?
【定休日】?
【入浴料金】大人230円

 
どこにも屋号が書いてないが、電話帳には養老湯とあるから、そうなのだろう。
 JR鳴門駅から南東へ徒歩数分。小さな漁船がいっぱい係留された撫養川に出ると、対岸に白っぽい煙突が見える。文明橋を渡り、最初の信号の次の路地を左(北)に折れて2筋目を右へ。すぐ近くに醤油屋か何かの煙突もあってちょっとまぎらわしい。

 素朴な民家風の建物だが、水色に塗られた玄関周りがかわいらしい。暖簾は片側にだけかかっている。くぐると正面に熱帯魚の水槽が2つ。濃厚に藻類が繁茂している。そして木の下駄箱、鍵受けはあれど鍵はなし。

  
 (左)水槽はこの下にもう1つ  (右)靴泥棒なんていやしない、ていうか常連しか来ないだろ

 年季入りまくりの木のあがりがまちに上がって靴を入れ、木の戸を開けると、激しいタイムスリップ空間が当然のごとくに現れる。
 番台には90に手が届こうかという婆さん。こじんまりとした脱衣場に溶け込むように鎮座する黒ずんだ木のロッカー、体重計には貫目表示。聞いたこともない力士の名前が並んだ番付表がしっくい壁に貼られている。
 なんか、すげー。天井だけは真新しい板に張り替えられている。
 婆さんに300円を出すと、黙って70円のつり銭をくれた。230円とは安いなあ。

  
 (左)使い込まれた木のロッカーには漢数字  (右)番台周辺

 浴室へ。期待通り、石畳の床。まあ当然でしょう。石と石のスキマには1cm各の細かい群青タイルが詰め込まれているのが珍しい。
 湯船は仕切り側に深浅の主浴槽と、それに一部つながる形で隅にぬるめのサブ浴槽。奥にもう1つ小浴槽があるが、これは湯が張られていなかった。
 浴槽のへりは天然石で、外側の段も同じ。いいねえ〜。ええぞお〜。

 トプ〜ンと浸かる。ちょうどいい湯かげんだ。客は他にだあれもおらず、静寂そのもの。石の感触をじっくり楽しむ。
 こういういにしえ度の高い田舎銭湯はえてして天井のペンキが剥げまくってたりするが、ここは壁上部から天井にかけて、神戸・大阪でよく見る新しいパネルで改装されている。ほう、まだまだ続ける気があるようだな。なんかホッとするよ。

 ここで特筆すべきは、仕切り壁の上部に繁茂する観葉つる植物。湯気抜きからの光とお湯の熱でけっこう繁っており、プチ・ジャングル風呂のような感じになっている。玄関の熱帯魚といい、生命力に満ちた自然派銭湯だ。

 ひなびた小銭湯にしては脱衣所で牛乳などのドリンク販売もある。うれしいねぇ。  (03.12.13) →徳島旅行記
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貞光温泉

2011年12/31に廃業されました。
(シロヤギさん情報感謝!)
レポートは営業当時のものです。


美馬郡つるぎ町貞光字西浦1
TEL:0883-62-2227
【営業時間】15:50〜22:00
【定休日】日曜日
【入浴料金】大人340円

 ひたひたと満ちてくる幸福感。やられましたでヒサビサにぃ〜。

 ここどこやねん、と言わずにおれない美馬郡つるぎ町貞光。吉野川の中流域にある地味〜な町だが、南にそびえる剣山への参詣道に沿って「二重うだつ」の古い家並みが続いていて、それなりの風情が漂っている。

 JR徳島線貞光駅からその街道筋を2kmほど南へ下ってゆくと、道に突き出し看板が見えてくる。
 右に路地を入ると、さらに電飾看板が据えられている。「恵那温浴剤」とあるから人工温泉のようだが、こんな辺鄙な田舎町にあって、このやる気。胸がはずむわ〜。

 
(左)これが目印   (右)あれだな! やや殺風景な2階建て

 
(左)入口の戸に味がある(営業前)
  (右)夜には入口の看板が光る

 看板を左に狭い路地を入ると入口が開いている。暖簾はないけど、玄関内側に見える木製下駄箱が俺をさそっていやがるぜ。
 赤字で「男湯」と書かれた木のガラス戸を開けると、そこは期待通りのコンパクト木造空間だ。番台の男湯側に感じのいいおやじさんが立っている。

 
(左)番台周辺とおかみさん(浴後)   (右)簡素にして感涙の美空間


 特筆すべきは床板のツルスベっぷり、これはもうギネス級。即座に這いつくばって頬ずりしたくなる。ゾーキンがけの神がここに鎮座しておられることは間違いない。
 そして次に目をひかれるのは、脱衣所の隅に飾られた似顔絵群だ。政治家やスポーツ選手などで完成度は高い。おやじさんに聞くと、ご自身で描かれたものだとおっしゃる。これはぜひともラッキー植松氏に来てもらわねばいかん。

 ただものでなさに感じ入りつつ浴室へ。

 言うことなし

 出ました、細かいタイル張りのかわいらしい楕円湯船! やっぱり地方銭湯はこうでなきゃ。
 湯船内側の段の幅が腰をかけるには狭いけど、手前側だけ幅広になっている。そのさらに内側の底にぐるっとパイプが通され、全周から気泡がポコポコと噴出中。
 ていうかこの気泡、おまえは金魚の飼育水槽のくたびれたブクブクかと叫びたくなるユルさはいったいナニ。だがこのアンタわしをおちょくっとんのか的にフザケた具合の気泡が意外にも、大腿骨および恥骨さらには脊椎から肩甲骨までをユルユルコポコポとにくすぐり続けやがる。それによって、頭蓋内の空洞化を伴う絶対的脱力効果がじわりじわりと精神面に及んできやがるやないの。
 けっこうたまらんキショクよさがある。

 お湯は清澄にして42度強、俺的最適温。看板にあった「ラジウム泉」効果なのかなんなのか、じつに心地よい。
 奥隅に副浴槽あり、こちらは入浴剤入りでややぬるめ。こっちはこっちでくつろげる。

 カランは快調、シャワーもきっちりついていて使い勝手よし。男女隔壁は木枠にガラスブロックがはまっているというレトロな逸品だ。天井の形状もレア。
 壁下部などは新しいタイルに替えられているが、全体に古い浴室をピカピカに磨き上げてあって清潔度が高く、なんとも快適だ。お湯も気持ちいいし、上がるのが惜しくてついつい長風呂してしまう。

 ようやく上がったら番台はおかみさんに代わっていた。
 この銭湯は昭和35年からやっているそうだ。思ったより新しいが、男女壁の鏡に書かれた広告の電話番号は局番が「甲」とある、そんな時代のまんま大事に丁寧に使われてきたのだな。
 「この床が足の裏に気持ちいいですね〜」と言うと、「主人が毎日拭いてるんです」とおっしゃる。あの似顔絵描きのご主人だな。

 床にとどまらず、いたるところすべてが磨きこまれて文句のつけようがない。
 ご夫婦が愛情いっぱいにお湯を沸かし続ける、四国内陸に隠れた小さな名銭湯だ。銭湯好きならここに行かずして結願はならず。

 ちなみに、この町の隣には「うだつのまちなみ」で有名な脇町(美馬市)がある。そこをぶらぶら歩いていたら、下写真のようなのを見つけた。
 こうなってからでは遅い。今もがんばる貞光温泉を応援しよう! (09.9.16)

 
(左)倉庫みたいな建物前の路面にプレートが埋められている   (右)拡大
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