・・・★  勝村久司  ★・・・

第1回 小惑星から

 「サン・テグジュペリの『星の王子さま』にこんな一節があります。
 通行人にとってはたくさん咲いているバラの花はどれも同じに見えますが、王子さまにとってはそのバラは特別に大切なバラでした。なぜなら、王子さまはそのバラに毎日水をあげ、風の日には覆いをかけてあげ、ケムシを取ってやったり、不平や自慢話も聞き、だまっているときにはどうしたのだろう、と心配もしたバラだからです。
 新郎新婦のおふたりは、10年間の交際でお互い王子様とバラの関係になられました。これからは、僕のバラ、私のバラ、というだけでなく、お2人で力を合わせバラの花を育てていっていただきたいと思います。」

 これは、僕たちの結婚式で仲人が話の最後にしめくくった言葉です。
 僕が地学教師で、流れ星が専門ということは知っていても、「星の王子さま」のファンだということは話していなかったので少しびっくりしました。

 星の王子さまは小惑星に住んでいました。
 火星と木星の間には軌道が確定してるだけでも約7千個の小惑星が実際に回っています。おそらく全部あわせれば惑星1個分はあります。
 太陽系の惑星が、軌道半径の小さい方から順に「すい、きん、ちかもく、どてん、かいめー」と一般に覚えられています。年輩の人にはなぜか「すいきん、ちかもく、どってん、かいめー」と4文字ずつでリズムをとる人が多い、なんてどうでもいいことを僕は授業でいっぱい言ってしまいます。
 が、どっちにしても、これでは太陽系を正しく認識できていません。「ちかもく」の「か」と「もく」の間に「小惑星帯」を入れるべきです。
 そもそも水金地火と木土天海はそれぞれ別の4人兄弟とされていて、太陽系は2種類の兄弟の同居で、火星と木星の間の小惑星帯で一線を画しています。また、月よりも小さい冥王星は、どちらの兄弟にも入らず、海王星の衛星だったんじゃないか、くらいに思われて惑星扱いされていません。
 だから、太陽系の概観は「すい、きん、ちか、しょう、もく、どて、かい」ぐらいがおすすめです。

 肉眼で見える惑星は、水金火木土の5つです。今月は、ちょうど夕暮れの後、南の空高くに土星がよく見えています。オリオンなどのにぎやかな冬の星座たちがまだ東の低い空にいる頃だからわかりやすいと思います。
 惑星は星座を作る恒星たちと違って、またたかないのも特徴です。仕事を終えての帰宅途中にぜひ見上げてみられてはいかがでしょう。

 「地球には威張る王様やお金を数えてばかりの実業家、それに呑んだくれやうぬぼれた大人がたくさん住んでいる」と『星の王子さま』に書かれています。
 私たちも含め、生命はみな宇宙の中で生まれ、宇宙という環境に包まれて生きてきました。しかし毎日忙しい大人たちは、そのことを忘れてしまいがちかも知れません。
 こどもでも新郎でもなくなってしまった僕も、ひととき、小惑星から地球を眺める夢を見たいのです。


(月刊いのちジャーナル1998年2月号より)
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