・・・★  勝村久司  ★・・・

第16回 プラネタリウム

 「高校を卒業した頃、彼女と神戸ポートピア博覧会というのに出かけました。
 混雑の中、彼女は他に見たい所がたくさんあったのに、僕のわがままでプラネタリウムに並びました。確か夏の暑い中1時間くらい並ばされて、ようやく入ったらクーラーで涼しい、背もたれは大きく倒れる、暗い室内、心地よいBGM、僕は熟睡しちゃいました。
 ふと目覚めて、彼女に怒られるかとドキッとしたら、彼女も爆睡」

 「それでは雰囲気を出すために暗くするけど、眠ってしもたらあかんで」

 高校の地学の授業で、時々簡単なプラネタリウム番組を見せています。
 とは言っても、文化祭などでよくやるような半円形の大きなスクリーンへの投影ではなく、パソコンが40台入ったLAN教室(この教室だけクーラーがついている)で、蛍光灯を消し暗幕を閉め、市販のソフトを流すだけですけど。

 「もうすぐ夏休みなので、今日は7月から9月の3ヵ月を見ます。
 一般に7月の星座というのは、7月15日頃の夜8時頃に見えている星座のことです。1年は12ヵ月で、1日は24時間で少しずつ地球が回っていますから、夜空に見える星座が少しずつずれていきます。
 1ヵ月後の8月15日夜8時の星座というのは、7月15日では夜10時の星座と同じです。2ヶ月後の9月15日の星座は、7月15日では夜中の0時と同じです。
 だから例えば、7月に一晩中夜空を見ていたら、最初は夏の星座ですが、夜半すぎから秋の星座、夜明け前には冬の星座なんかも登場してくるわけです」

 そんな前置きをして10数分間上映しますが、体育の授業の次だったりすると、終わった後に蛍光灯をつけると、次々よだれを拭きながら顔を上げます。

 「それでは眠気覚ましに夏休みの宿題のプリントを配ります」
 「えー(ブーイング)」

 地学では、毎年同じ宿題を出しています。4つの課題から1つを選んでレポート提出です。
 1つ目は8月12日夜のペルセウス座流星群の観測。
 2つ目が「プラネタリウムに行こう」です。関西にあるプラネタリウムの一覧表も配布します。

 数年前、名古屋のプラネタリウムに行くと、おじさんがマイクを持って楽しく解説してくれていましたが、最後に「私は今月で引退となり、来月からは映画式の自動上映になります」ということでした。自動上映では、ドラエモンやアトムが登場したりしていますが、渋い味わいはなくなってきました。
 最近は、地方の天文台では天体観測前にプラネタリウムを見るように工夫したり、都会の各館でも色々な企画がされているようです。

 「ポートピア博覧会のプラネタリウムが、今、神戸青少年科学館になっています。
 その彼女と2年後に別れ、そのまた2年後に復活した頃、ここでプラネタリウムコンサートというのがあって、行きました。その時はふたりとも寝ませんでした。
 そのまま結婚しちゃいましたが、最近ではプラネタリウム結婚式をやっているところもあるみたいですよ」


(月刊いのちジャーナル1999年9月号より)
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