・・・★  勝村久司  ★・・・

第6回 お盆の流れ星

 「流れ星を見たことがありますか」
 と聞くと、毎年、クラスの数名が手をあげます。詳しくたずねると、必ずと言ってよいほど「お盆で田舎に帰った時に見ました」と話してくれる生徒がいます。
 「どんな感じだった?」と、ついつい流れ星を見たことがある者同士で内輪の話を始めそうになります。
 そこで「見たことのない人も今年の夏休みはぜひ見てみましょう」ということになり、毎年、夏休みの宿題は『ペルセウス座流星群』の観測です。

 実は毎年、流れ星がたくさん出現する日が決まっています。それらを流星群といいます。
 日本を含む北半球では、8月12日頃のペルセウス座流星群、12月13日頃の双子座流星群、1月4日頃のりゅう座流星群が、3大流星群と呼ばれ、特に夏のペルセウス群は有名です。

 流れ星の正体は、意外でしょうが、大きさが砂粒程度しかない宇宙のゴミなんです。それが秒速数十kmの猛スピードで地球に衝突し、地上80〜120kmくらいのところで、大気との摩擦で燃え尽きる。
 そんな現象を「あっ、流れ星!」なんて叫んじゃってるわけです。
 だから、毎年たくさん流れ星が出現する日は、言い換えれば、宇宙のゴミが地球にたくさん降ってくる日です。

 地球は1年間で太陽を一周しますから、毎年同じ日には、宇宙空間の同じ場所を通過することになります。
 毎年8月12日頃に地球が通過する場所は、細長い楕円軌道で太陽の周りを120年かけて回っている『スイフトタットル彗星』の軌道との交差点になっています。彗星本体とはなかなか衝突しませんが、その軌道上には彗星がまき散らしたゴミがいっぱい回っていて、地球は8月12日にそのゴミの雨の中を通過しなければいけないのです。
 彗星は「汚れた雪だるま」と呼ばれていて、有名なハレー彗星でも何でもすべてそうですが、太陽に近づくたびに溶かされて小さくなる分、ゴミを軌道上にまき散らすのです。

 ゴミたちは、宇宙空間の同じ方向から地球にぶつかってきます。
 8月12日頃の流れ星は、母彗星(ぼすいせい)の軌道との関係から、夜空を見上げたときのペルセウス座のほうからぶつかってくることになります。その結果、その日の流れ星はペルセウス座から四方八方に飛び散るように流れるので『ペルセウス座流星群』と呼ばれているのです。

 8月初旬からお盆の頃まで、特に11〜13日頃は、本当によく流れ星が出現します。夜の9時頃から北東の空に注目し、11時頃からは寝転がって夜明けまで全天を観測してみてください。
 今年は大きなお月さんが出ているめぐり合わせなので、月明かりのために観測条件はあまりよくありませんが、ピーク時には1時間に数十個を肉眼で観測できるでしょう。

 流れ星は、母から別れ、孤独に宇宙を旅した小さな星が一生を終える瞬間の輝きです。とても願い事を唱える間もない一瞬の輝きですが、その後に、ゆっくりといろいろなことを考える時間を与えてくれるのです。


(月刊いのちジャーナル1998.8月号より)
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