・・・★  勝村久司  ★・・・

第9回 獅子座流星群

 第8回で、ジャコビニ流星群の活動によって、10月8日〜9日に大流星雨出現の可能性があることを書きました。
 僕はこの日、午後6時頃から高校で天体観測会をして、望遠鏡で木星の縞模様・土星のリング・月のクレーターなどを見ていました。流星は時折ちらほらと流れていました。
 9時過ぎに、
「今回のジャコビニ流星群は明け方のほうが出現確率が高いといわれています。流星群の出現予測はよくはずれるけど、もし起きられたら夜中の3時頃から夜明けまで観測してみましょう」
 なんて言って解散しました。

 そしてその結果ですが、日本流星研究会などによると8日の夜10時過ぎに、10分間あたり100個近く出現し、そこがピークだったようです。なんと僕はその頃、中華料理屋で同僚の先生と餃子でビールしてました。
 観測会の途中では、学生時代から天体観測には欠かさなかったカップラーメンを約30人みんなで食べたのですが、家へ帰る途中におなかが物足りなくなって中華料理屋に入ってしまったのが10時頃でした。
 大流星雨というほどではなかったとは言え、ピーク時にビールに手を出してしまった不覚を恥じます。

 しかし、ちょっと余裕なんです。ピークを見逃しても大きな落胆はありません。今年は1ヵ月後に、またすぐ獅子座流星群が来るからです。

 ジャコビニ流星群は13年毎、獅子座流星群は33年毎に、地球と流星物質をまき散らす母彗星が接近し、その際に、1時間あたり何万個という流星が降る可能性があります。
 現在、大流星雨の可能性を秘めている流星群はこの2つだけで、その13年ぶりと33年ぶりが、共に今年の秋に重なったのです。

 地球が獅子座流星群の母彗星の軌道に近づき、出現ピークを迎えるのは11月18日の夜明け前頃と推定されています。
 この種の予測はよくはずれますが、さすがに今度は夜の10時過ぎにピークを迎えるということはありませんので、その頃の餃子とビールはOKです。

 この時期、獅子座は0時頃にようやく東の地平線から顔を出します。この日、無数の流星物質たちは全て、夜空の獅子座の方向から地球に降ってきます。
 だから夜空を見上げると、この日の流星が、全て獅子座を中心にして四方八方に飛び散るように流れます。
 ちょうど、しんしんと雪が降るのをしばらく見上げていると、頭の真上の一点を中心に雪が四方八方に広がって降るように見えて、まるで自分が空に吸い込まれていくかのような錯覚をするのと同じです。

 今年は11月17日深夜〜18日の夜明けまで、ぜひ肉眼で空を見上げてみて下さい。さて、いくつ流れ星を見られるでしょうか。
 特にこの日は新月(月のない夜)なので、都会の光害さえ避ければ夜空は暗く、小さな流星まで浮かび上がって観測条件は最高です。もしかしたら33年毎に歴史に刻まれて来たような、数え切れないほどの大流星雨が降るかもしれません。

 もし、カップラーメンどころではないくらい降ったときには、僕はきっと、夜空に吸い込まれてしまっているでしょう。
 

(月刊いのちジャーナル1998.12月号より)
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