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御船山に登ったあと、武雄温泉に浸かろ〜っと思って温泉方面へ歩いていたら、前方に異様な岩山が出現した。なな、なによあれ!? ![]() とんがった岩がギザギザと突き立っている。低そうだけど、まるで針山だ。 国土地理院の地図では80mの等高線が輪になってるだけ。武雄温泉のパンフにも何も書かれていない。ともかく行ってみよう。 ![]() 温泉の旅館街に入ると、奇怪な山はすぐ横にそびえている。ランドマークとしてすごく目立つのに、なぜ観光資源になってないんだろう。 高級温泉旅館の玄関にいる和服の女将に「あの山へ登る道はありますか?」と聞くと、「元湯の楼門の左から・・・でも最近登る人もいないので道は通れなくなってると思いますよ」とおっしゃる。 楼門を左に曲がると風俗店があり、呼び込みのオッチャンが「観光ですか?」と声をかけてくる。そのオッチャンに聞くと、「細〜い道があります」とのことだったので、そのまま進む。 すぐに「桜山パーキング」に出た。真上にその山あり。つまりあれは桜山らしい。 ![]() ![]() (左)桜山パーキングから (右)頂上部拡大 桜山パーキングの横から石段が続く。あちこちに石仏が所狭しと並べられているが、今はほとんど訪れる人もないようで、ひっそりと寂れた感じがする。 登るに連れて石段の幅が狭くなるが、それとともにやたらと滑るキミドリ色の苔が生えてきて、油断ならない。 ![]() ![]() (左)荒れた石段を登る (右)石仏がいっぱい 数分の登りで石段は終わる。奥に細道があるが、完全にシダに埋もれている。呼び込みのオッチャンの言った通りだ。 そこを押し通ると、岩場の下に出る。 ![]() ![]() (左)シダに埋もれた道 (右)岩の砦が現れる 適当に岩の隙間をよじ登ると、ポンと頂稜の鞍部に出た。4.5畳ほどの広さがある。奇怪な岩塔に囲まれた、ちょっとした異世界の趣だ。 左側(南)には8〜10mくらいのいかつい岩塔が何本か突っ立っていて、そっちに最高点があるようだが、素手ではちょっと登れそうにない。 右側の5〜6メートルほどの岩は裂け目からなんとか登れそう。壁の上部にはボルダリングの古い固定リングが見える。 ![]() ![]() (左)左側(南)の大きな岩塔群 (右)右側(北東)のやや小さな岩塔 ![]() 裂け目から岩の背に上がると、この岩がまるで刃物のように薄っぺらいことがわかる。とても立ち上がれないので、馬乗りにまたがったまま前進し、頂点に至る。 この瞬間、まったく遮るもののない360度展望がドバーッと広がる。左足の下には武雄温泉の屋根があり、前方には武雄市街と佐賀平野が大々的に展開する。右手には大きな岩塔群と、その向こうには御船山が控えている。 100メートルに満たない小山だというのに、たいへんな高度感だ。高層ビルの屋上フェンスにまたがって片足をブランブランさせてるのと同じだな。はるか地上まで何もない虚空に左半身が飛び出しとるで俺。ははははは・・・。 しばらく景色を眺め、死なないうちに慎重に岩から下りた。 ![]() ![]() (左)東の温泉街、左下の靴先が指すのが楼門内の温泉 (右)南東の市街地方面 ![]() 下りは石段の苔がさらに滑るので要注意。だが、ゆっくり下りても10分ほどで楼門に戻って来られる。 市街地のすぐ横の目立つ場所にあって、有名な温泉からわずか10分ほどで登れて、ふしぎな岩が林立する景観はユニークで、適度なスリルもあって、素晴らしい展望も得られるという、小粒ながらもおもしろみがギュっと濃縮された山だ。 なのに、ほとんど登る人もなく苔がツルツルにはびこっているというのはまったく解せない。御船山もそうだが、武雄の人は山歩きにチイトモ興味がないんかな? たくさんの石仏が存在しながら、信仰対象として今やほとんど廃れた様子なのも不思議だ。 いずれにせよ、穴場と言っていいだろう。ちょっとした驚きの、小さなふしぎ山だった。 麓の武雄温泉の元湯(300円)もいいぞ。 (06.12.27) ![]() |
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