チープに極楽。生きててよかった!

韓国の名銭湯(もぎょ:沐浴湯)
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ふぁんなむたん (慶州市) 08.11.16
わんりむたん ★(慶州市) 08.11.19

ふぁ(皇南湯)

慶尚北道慶州市皇南洞
【営業時間】5:30〜?
【定休日】
【料金】4000ウォン
    (当時レートで約320円)

 韓国は日本とそっくりな銭湯が日本以上の密度で存在する銭湯天国だ。

 でも、これまで韓国西部のいくつかの町で探索した限りでは、銭湯文化が盛んであるがゆえにスーパー銭湯化したものや旅館併設のビル銭湯ばかりで、当サイトで紹介しているような激渋系は発見できていない。唯一、全羅道の鎮安という小さな町で瓦屋根のボロイ廃業銭湯を1軒見ただけだ。
 しかも、見かけは多少レトロっぽくても、内部はたいていサウナやアカスリコーナーが充実している。

 いずれにせよ、新しい町へ来ると、隅々まで歩いて銭湯を探し回ってしまう変態イルボンサラムな俺様だ。
 初めて来た古都キョンジュ(慶州)でもやはりボロ銭臭のする下町を徘徊していたら、極太のレンガ四角柱煙突を発見した。ここまで太いのは日本では見たことがない。

 
(左)あれにみゆるは   (右)すごくぶっとい

 前に回ってみると、おぉ! 瓦屋根の平屋建て、いわゆるハノク(韓屋)ふう銭湯だ。初めて遭遇したぞ。

 自転車で通う銭湯風景

 ただし外壁や装飾などはとてもきれいで新しく、どうも木造ではなさそう。壁沿いの松の木の大きさが、改装してさほど経っていないことを物語る。
 看板下の入口を入ると正面にフロント、病院の受付みたいな韓国スタンダード。早朝5時半からやっているのも韓国の標準だ。閉店時刻は書かれていなかったが、だいたいどこも夕方には閉まってしまう。韓国では風呂=朝、なのね。

 フロント右側に男湯の入口がある。日本式の引き戸ではなく、木製の豪華なドアだ。
 脱衣所の広さは、日本の普通の銭湯サイズ。床はベージュの大理石柄タイルで、天井も同柄の壁紙が貼られている。ともに新しく美しい。
 ロッカーは縦長スチール製、これも韓国標準。
 浴室の入口には御影石が敷かれ、自由に使用していいアカスリタオルと体拭きタオルが積まれている。

 浴室は日本でいうと、やや大きめの銭湯くらいの広さだ。ここもヒナビ感はまったくないが、床全面に肌色がちの御影石がびっしりと敷き詰められているのが関西人には嬉しいところ。
 入口横に立ちシャワーが3つ並んでいるが、こいつの勢いも最高だ。

 中央に主浴槽があり、周囲を大阪式の座り段が取り巻いている。フチは御影石、内部は青いタイル貼り。まったく大阪銭湯だ。
 湯は41度強で、やや白っぽく濁ってるぞ。朝の5時半からやってたらこんなもんか? もしかして循環装置がないか、弱いのかもしれん。
 でも大きな湯舟にゆったり浸かるのは当然ながら極楽だ。とくに旅先ではね。

 左手の壁近くには韓国名物、くみ出し洗い用の楕円槽がある。これは神戸のいくつかの銭湯にもある。フチのまわりをやはり座り段がとり囲み、人々はここに座って湯をくみ出して体を洗う。
 反対側の壁際にはカランが並ぶ。自動調温シャワーつきの最新式。カランを使っている人と、くみ出し洗いをしてる人は半々くらい。俺はとりあえずくみ出しで頭を洗い、カランで体を洗った。
 どちらにも石鹸が置かれている。タオルとせっけんが完備されているのは韓国銭湯の嬉しいところ。日本と同様、自分のお気に入りのシャンプーなどをごちゃごちゃ持ってきている人が多いけど、俺のようにタオル1本、せっけん1個しか使わない人なら完全に手ぶらで来れる。

 奥にアカスリスペースがあり、おっちゃんがアカスリしてもらっていた。
 その横っちょにはサウナが2室ある。片方は乾式サウナ、テレビつき。壁にはデコボコの天然石が貼られている。
 もう1つのサウナ室は使われていなかった。
 サウナの手前には広い水風呂。この広さも韓国標準だが、嬉しいねぇ。

 夕方5時前後、男湯の客は10人くらい。脱衣所では年寄りの背中をみんながかわるがわる拭いてやったりしていた。

 
(左)あがったら日暮れ   (右)看板のネオンが光っていた

 ふぁんなむたんのある通り

 場所は慶州中心部の南側、大陵苑の西にあたる。バスターミナルからだと、慶州工業高校の北側の道を大陵苑に向かって歩いていく。徒歩10分くらい。小さな市場の向かい。
 ちなみにこの皇南洞というところには古い韓屋がたくさん残っていて、ぶらつくとけっこう楽しい。まったく観光化されておらず、穴場かも。 (08.11.9)
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慶尚北道慶州市北部洞
【営業時間】
【定休日】
【料金】3000ウォン
    (当時レートで約240円)
 (ただし表示は4000ウォン)

 韓国の市街地は直線道路で碁盤目状に整備されているところが多いが、慶州にはうねうね曲がった細い路地がけっこう残っていておもしろい。

 そういうところを歩き回りながら、いくつかのビル銭湯をチェックしつつ、中心部の北へ足をのばす。
 バスターミナルから20分くらい歩いたかな。慶州文化園から鳳凰路を北へ数分のあたりで、路地の入口に温泉マークつきの看板ゲートを発見した。銭湯か?

 
(左)温泉マークと文末「タン」の文字が目印   (右)路地を入ってゆくと・・・

 「ワンリムタン」と読めるが、どういう意味かはわからない。「王臨湯」か?
 路地の奥に入ってみると、冒頭写真のような建物が現れた。また出ちゃったよ〜ん瓦屋根の平屋建て! ここも古い建物ではなさそうだけど、堂々たる韓屋型銭湯ぢゃありませんかい。

 しかもだ。テラス状の入口正面にフロントがあるが、驚いたことに、その左右に、「男湯」と書かれた青のれん、「女湯」と書かれた赤のれんがかかっているではないか。
 ハングル洪水に疲れた目を癒しまくる和の情景。ああ、なんてこったい。

 フロントには40代くらいの男性がいた。「4000ウォン」と書かれているが、3000ウォンでいいと言う。
 日本式ののれんはあるけど、入口はやっぱり韓国式のゴージャスな木製ドア。それを開けて靴を脱ぐ。下駄箱はなくて棚のみ。

 脱衣所は日本の平均的銭湯サイズで、真新しく木質系中心で改装されている。床は木製フローリング、ロッカーは縦長だがこれも珍しく木質系だ。そして中央には木の座り台が2つ設置されている。
 石とタイルとスチールが目立つ韓国銭湯にあって、ここは日本を意識しているのかもしれん。隅に飲み物自販機あり。
 浴室入口の右には韓国定番、自由使用可の布タオルとアカスリタオル、左には冷水器が備えられている。日本の一般銭湯より進んだ嬉しいサービスだ。

 でも使い終わったタオルなどが散乱しているのもまた韓国標準。なぜか笑いがこみ上げる。つい片付けたくなるけど、ここは韓流に従おう。

 
(左)脱衣所、中央が浴室入口  (右)日本では見られない風景、トイレの戸も開きっぱなし

 浴室へ入って、ちょっとたまげた。こんなの見たことないぞ。
 浴室の床に、ヒスイのような緑がかった石の板が隙間なく敷かれている。きめこまかでしっとりた、あまり見たことのない石だ。
 床だけではない。湯船といわずカラン周りといわず、すべてがこの石で覆い尽くされていて、浴室全体がヒスイの薄い緑色に染まっているのだ。俺は思わず立ちすくみ、しばしほれぼれと見渡した。

 浴室の中央に例のくみ出し洗い用の楕円形槽があり、これも全面ミドリ石。でも湯がだいぶ減って、ぬるくなっている。
 その右手に浴槽が2つ並ぶ。大阪式座り段つき、もちろんこれもフチから底まで徹底的にミドリ石。でも一つは湯がカラッポだ。壁に「ノクチャタン(緑茶湯)」と書いてある。入りたかったなあ。残念。
 もう一つの主浴槽(ウンタン=温湯)はちゃんと適温の湯が入っているが、お湯はやや白濁している。そういやこの湯舟、日本の銭湯のようにお湯が湧き上がってないぞ。ていうか穴が排水口しかない。循環装置がなさそうだ。

 ははーん、わかったぞ。営業時間はどこにも書いてなかったが、たぶんもう終わりの時刻が近づいているのだろう。まだ夕方5時台やけど。
 で、この時間になると緑茶湯は湯が汚れてくるから落としてしまい、そのかわりに値段を3000ウォンに下げていると、こういうわけではないだろうか。
 でもそれを確かめるには韓国語力が若干不足しているので真偽のほどはわからない。

 湯舟の手前には乾式サウナがある。中には座る台と寝ころぶ板が置かれている。ここでいつものように腕立て伏せをした。
 サウナの前には大きな水風呂(ネンタン=冷湯)、チベタくて気持ちええぞ。ここも当然のごとく全面ミドリ石だ。

 カランは自動調音の最新式、シャワーつき。どこでもこれが普及しているようだ。でもここでは「シャワー」と「バス(蛇口)」の切り替えが逆になっているのがご愛嬌。
 その奥にアカスリスペースがあり、湯舟と反対側には立ちシャワーが4つある。ここにも韓国らしく使用済みタオルやカミソリまで落ちている。

 5〜6時、他客は3〜4人ですいていた。中学生くらいの子が一人でのんびり長風呂を楽しんでいる。でも誰よりも俺が長くいた。

 そろそろ上がろうかと思っていると、微妙にアンモニア臭が漂ってきた。むっと思ってそっちを見ると、出入り口横にある小便器でじいさんが小便をしている。
 浴室の一角に小便器があるというのも韓国ではよく見かけるが、使用者を見たのは初めてだ。しかしなあ・・・。
 じいさんはそのまま脱衣所へ出て行った。出たところにも便所があるんやから、もうちょい我慢して体をきっちり拭いてからせえや・・・というのは日本人だけの理屈なのだろう。

 出入り口横、小便器の反対側には陶器の大きな壺が置かれ、中には水が入っていてひしゃくが置かれている。関西銭湯の水鉢に通じるものを感じる。小便用かもしれんけど。

 でも、なにかとおもしろかった。
 緑茶湯に入れなかったのは残念だが、銭湯ファンなら、ここのヒスイみたいな石造りの浴室は見る価値大だ。外観とこの石とで★つきだ。

 表に出たところには、木のベンチが置かれている。そこに腰かけて、暮れゆく銭湯風景をしばらくぼんやりと眺めた。 (08.11.11)


右の明るいところがフロント
 
(左)路地のベンチから   (右)煙突はれんが製の円柱
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