チープに極楽。生きててよかった!
| 東海の激渋銭湯 【三重県】 |
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| 霊泉湯 (伊勢市) 2011.8.1 辰巳温泉 (伊勢市)(廃業) 一乃湯 ★(伊賀市) 旭湯 (伊賀市) 玉乃湯 (名張市)(廃業) 常盤湯 (名張市)(廃業) 松の湯 ★(尾鷲市)(廃業) 新生湯 (尾鷲市) 五月湯 (尾鷲市) みはま湯 (熊野市) |
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霊泉湯
あーキモチエ〜。湯上りに表に出て思わず口走った。 JR伊勢市駅から徒歩7〜8分、近鉄駅の北口からなら5分かからんかも。 遠くから見える煙突に近づいてゆくにつれ、周囲の昔ながらの風景を圧して、一つ目小僧のごとき看板建築の威容が迫ってくる。 ![]() (左)瓦屋根の体躯に異形の顔貌 (右)ネオンだ! 夜に見たい! この迫力。俺は湯屋だと強烈に主張する水色ペンキはメンテもよく、しみひとつない。しかし本体は瓦屋根の昔ながら系建物のようだ。 このとってつけた感こそが銭湯建築の醍醐味ね。 しばし眺めてから入ろうとしてビックラこいた自動ドアだ。しかも入って正面フロント&ロビー式に改装されている。 ここまでは大型のリニューアル銭湯を思わせたが、でもそれより奥は昔ながらサイズ。フロントは脱衣場を仕切っただけなのね。 脱衣場の隅にある扇形の手水鉢にイニシエな味わいがある。 浴室も玄関までの迫力に比べてこぢんまりしている。中央に深浅の楕円形主湯、奥に気泡とジェットの副浴槽という一般的な地方銭湯スタイルだ。 だが! このコンパクト空間は非常にスグレモノやおまへんか。 まず湯船を彩るピンクやレンガ色の細かいタイル群、床に敷き詰められた青ときどきピンクのくっきりしたタイル群がなかなかよろすい。 奥壁にはタイル6枚分の小ぶりなタイル絵が2点(金魚と鯉)ある。 男女壁はレンガ調で、上部はカマボコカーブ処理されて豆タイルが貼られ、さらにそこへ観葉植物の鉢がしっかり固定されているという凝った造りになっている。 派手さはないが、ワカル人にはワカルというセンスのいい浴室だ。 見た目だけではない。床全体が主湯を頂点としてカラン下の溝へ向けて傾斜があり、排水速度が小気味よい。 またカラン・シャワーともに水圧よろしく、鏡下の台まわりも余裕があって使い勝手がきわめてよい。 そして最も特筆すべきは、これらすべてが、これ以上は無理というほどに徹底的に磨き上げられている。清潔度の高さに経営者の愛情と執念を感じないわけにはいかない。 脱衣場の棕櫚マットも新品状態くすみゼロ。 ほんでまたお湯がエエんだわ。いきいき、やわらか。 上がって70手前くらいのおかみさんに聞くと、水は井戸水と水道水の混合で、それを薪とオガクズで沸かしているそうだ。 ひとことで言って、気持ちのいい風呂。やっぱりお風呂はこうでなくっちゃね。 今度はネオンの光る夜にぜひ来たい。 (2011.7.24) |
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辰巳温泉
伊勢市駅から西へ徒歩10分たらず。新町商店街の2筋北のさびれた飲食店街を歩くと「ゆ」の行灯が目に入る。 道からちょっと奥まって、真新しい玄関が目立つ。でも建物本体は古い木造だ。入母屋破風の左右に小さな千鳥破風が乗っていて、笑っているようにも見える。 ![]() 暖簾をくぐって戸を開けると、間口分のタタキ。年季ばりばりの木の番台に愛想のいいおばちゃんが座っている。 ![]() (左)玄関と番台、帰りはおっちゃんに交替 (右)下駄箱関係もこの味わい と、この脱衣所、スパーンと広々しとるわ。しかも和のいにしえ風情がそのまま維持されている。「これぞ銭湯!」というような空間。 板張りの床板がまたよろし。帰りに番台オヤジに聞くと、板の厚さは3cm、昭和27年の創業以来タワミも痛みもなし。しっくい壁も、伊勢湾台風でもひび割れひとつしなかった。高い板張り天井も創業当時のままとのことだ。 ソファ周辺にはスポーツ新聞や漫画雑誌などが置かれ、下町銭湯らしい庶民的ムードに包まれている。いろいろ物が多いけど、広いからゴチャゴチャ感はあまりない。 ![]() (左)この床、最高 (右)モノは多いが空間は広い ロッカーは木製の古いものだが、その上の壁になにやらパネル入りの浮世絵が飾られている。オヤジに聞くと、歌麿がお伊勢参りに来たときに書いたものらしい。 ![]() (左)渋いロッカーの上に (右)フルチンで眺める裸婦の行水 脱衣所と浴室は別棟になっていて、4mほどの渡り廊下を歩いてゆく。ここに流しスペースがあり、横は中庭になっている。 渡り廊下はなぜかパステルカラー浴室の戸は珍しくヒラキ戸。入るとなかなかの広さだが、まず目に入るのは男女仕切り壁に並ぶ電光広告だ。いやー、浴室内にこんなのがあるのは初めて見た。 すさまじい広告効果が期待できる湯舟は中央に楕円形の深浅主浴槽。隅に電気風呂+ジェット1本と、ぬるめのバスクリン風呂が並んでいる。 浴槽フチには初めて見るカヤック型の細かいタイル、一部損壊でセメント補修施工。床と一部の壁は新しいタイルに換えられているが、全体的な統一感なく各種タイルがあれこれ使われている印象あり。カランまわりは鏡の位置が微妙に使いづらい。 おっ、意表を突いて電気風呂の上の壁に鯉のタイル絵だ。タイル12枚の小さなものだが、そこに「電気風呂」の丸いシールがペタンと貼られている。おしい。 統一感なきタイルワーク、そしてタイル絵午後6時ごろ、先客1名、あとは貸切だった。 上がりはビールほか飲み物いろいろあり。 広々した脱衣所でのんびりと和みタイムを過ごせる、古いけど現役感十分な生活銭湯だ。 (05.5.14) ![]() |
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一乃湯 ★
クソ暑い日に長い距離を歩き、バテ気味の子らを連れてやっとたどり着いた1軒の古い銭湯。子どもらが渋銭ファンのはずもない。これは賭けだ。不評を買うと帰路が思いやられる。 だが、ここ一乃湯はそんな不安を吹き飛ばしてくれた。 近鉄伊賀線上野市駅から銀座通りを南へ10分ほど歩き、シェル石油の手前路地を右へ。田舎丸出しののんびりした路地をゆくと、お寺の向こうに煙突が見えてくる。 正面には自販機に挟まれて石門があるが、その上に何やら・・・なんと、ネオン! 温泉マークの中に屋号が書かれている。これは珍しい。 そしてぐぐっと奥に貫禄の日本建築。小学生も思わず「おおーっ」と声を出す渋さだ。 ![]() (左)銭湯に興味のない人でも思わず立ち止まる (右)夜にも来ないといけません ![]() (左)門からのアプローチ右には石塔も (右)堂々の唐破風、上にちょこんと雑草萌え 暖簾をめくると、まだ屋外なのにいきなり下駄箱が並んでいる。このパターンは初めて。トイレも右手の庭先にある。 ![]() (左)わりと新しい下駄箱 (右)トイレ方面から暖簾の内側を見る 正面に伐り株オブジェ戸を開けて入るとタタキに番台があるが、愛想のいいおやじはそこには座らず男湯側で迎えてくれる。料金は値上げ前のまま300円、嬉しいねえ。 そして目の前には、広々としたイニシエ脱衣所が気持ちよく広がる。天井、床、壁、柱、すべてが人の心を和ませるために存在するかのごときくつろぎ空間。 おやじによると、「大正15年の建物」だそうだ。「この欄間は変わってますねー」と言うと、「これは値打ちもんでっせ。でもところどころフシが自然に抜け落ちてしもうて、あそことあそこと・・・」と顔をほころばせる。 おやじがこの銭湯を我が子のようにかわいがっていることをこの時点で確信した。そのことイコール激渋銭湯の証。 ![]() (左)ロッカーは新しい (右)木目の隙間を抜いて透かし彫りのように仕上げられた欄間 ![]() (左)堂々の折り上げ格天井 (右)浴室との間に中庭がある。この風情がたまらん 浴室への渡り廊下に流しがあり、横の中庭には池があって鯉が泳いでいる。まったくもってすばらしい。 古いけど、どこもきれいです浴室は一転して改装済みでピッカピカ。 だが、湯舟ヘリや座り段、カランまわりなど要所には御影石や大理石が使われていて、安っぽくなくセンスがいい。タイルも小さめのものが多用され、21世紀もなんのその、丸い豆タイルも登場だ。じつに僕好み。 湯舟は手前から浅、深、電気と並び、42度くらいの湯がなみなみと満ちている。 電気風呂から湯が順に流れてくるパターンだが、大阪兵庫によくある大手工務店の「流れ風呂」とはやや異なって、最後は滝式にすべての湯を回収するのではなく、浴槽内側の喫水線に並んだ穴に吸い込まれる式。しかしその穴が小ぶりなため吸収には限度があり、人が浸かるとかなりな量がオーバーフローして排水溝に流れ去る。 素晴らしい贅沢感。しかもこのほうが滝式みたいに手鼻なんかを流されずにすむ。 さらに奥には気泡寝湯、ジェット2連、水風呂が並び、手前には立ちシャワー。サウナと露天以外はフルセット装備だ。この古銭湯にして、これは嬉しい誤算。子どもらは水風呂に入りっぱなしだ。 どこもよく磨かれていて気持ちがいい。いちばん気に入ったのは深風呂内の奥にある腰掛け部分。お尻が接するカーブと豆タイルの感触がたまらん。 窓は低い位置にあって明るく、外から網戸にツタがからんでいる。窓の外は野草ボーボーの庭、これまた田舎風情でよい。 上がりは牛乳などあり。 おやじいわく、「昔は湯舟は全部石だった」とのこと。 「それはそれで風情があったでしょうね」と言うと、おやじはうなづきながらも、しみじみとこう言う。 「でも掃除が大変やった。タワシでこすらんと、人の脂いうのんはなかなか落ちへんから」 子どもらは脱衣所のソファーで牛乳を飲んですっかりくつろぎ、僕が「そろそろ帰ろか」と言っても「もうちょっとのんびりしていきたい」と言ってなかなか立たなかった。 その気持ちはよくわかる。この建物は伊賀市の「まちかど博物館」にも選ばれているらしい。落ち着いた伝統空間に、各種揃った設備と清潔管理。店主の愛情がビンビン伝わる激渋銭湯だ。 すっかり元気を取り戻した子どもらと口笛ふきふき家路についた。 (05.7.17) |
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旭湯
ニンニン忍者の町、伊賀上野。んでさらに町名が「忍町」ときたもんでごじゃるよニンニ〜ン。 とにかくこの町並みでござる。 にんにんでここにござるは旭湯でござる。2階部分の外壁はトタン張りになっているが、建物は伊賀流ニンニン建築のまま。 しかしこのあたりの通り一帯がもう全部ニンニン化して手裏剣が飛び交ってるもんだから危なくてしょうがニンニン。こういうときはとにかく素早く暖簾の内側へ飛び込むでござる。 別にからくり屋敷ではない狭い土間の内側で、靴を脱がないまま男女に素早く分かれる。 中に入ると間口分のタタキに番台が据えられ、眼前に脱衣場が広がる濃厚イニシエ系でござる。 漢数字の書かれた木の脱衣箱が古い。手前のやつも古いが奥の12箱はもっと古くて、フタの真ん中に金具つきの鍵穴が開いている。 番台のおやじさんに、「これは古いですね。どうやって使う鍵穴ですか」と聞いたれば、「大正時代の中頃のものだ。使い方はわからない」とのたまうではないか。 忍術を使わずしてこの鍵を開けるのは不可能で御座候。 番台近くの男女仕切りに何やら色紙が飾ってあると思ったら、去年あたりからのリバイバル的なフィーバーぶりが懐かしい反面若干痛々しくもある水谷豊のサインではござらぬか。10年ほど前にここへ風呂に入りに来たんだと。はやりあの熱中時代の身のこなしは忍法であったのか。んなわけない。 浴室は中くらいの広さ。床と天井はきれいに改装されている。 湯船は男女壁寄りに半円形の深浅、奥にバスクリン系薬湯&ジェット3連。へりのタイルは1×2cmくらいの細かい長方形タイルがニンニンでござる。 装飾は何もなくシンプルそのもの。 でもそれでよい。余計なものがあると甲賀者に気づかれてしまう。古いが清潔に磨きこまれているでござる。 おやじさんによると、ここはかつて石屋を営んでいたため、建物の下全面に石が敷かれているらしい。「石の上に建物が乗っているんですわ」とのことでござる。 よその忍者が穴を掘って侵入することは不可能だ。安心して水とんの術の修練に励むでござる。ニンニン。 (09.1.18) |
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玉乃湯
近鉄名張駅の横の観光案内所でもらった地図を見ながら、南西へ数分の「水路のあるまちなみ」を目指す。 するとその水路脇の細い路地に面して、うひゃー、こここここれは素晴らしい! 周囲のまちなみといい、建物のレトロモダンな造形といい、白壁の美しさといい・・・銭湯ファンなら間違いなく3分間はその場に凍りつくだろう。 しかもよく見たら寄せ棟造りだよ。これは珍しい。 ![]() (左)細い水路に沿って歩いてゆくと・・・ (右)前栽の松の枝ぶりも見事じゃ 風情の剛速球、これでもかとそのあと山を歩き、日が暮れてからヘトヘトになって戻ってきた。絶好の銭湯体質が完成し、あとは極楽に身を委ねるのみ。 さっそく暖簾をくぐる。そこは期待に違わぬ古い木の世界。 ![]() (左)玄関先の意匠 (右)下駄箱の年季、ガラス戸の職人芸、そして「おい、小池!」 番台背後の突出すりガラスの渋い戸を開けると、古い骨格に新建材を貼り付けた番台があり、おやじが座っている。 脱衣所はこじんまりしているが、天井が高くてのびのびしている。見上げれば格天井、端のほうは白塗りだが折り上げふうにカーブしている。 床は板張りにヨシ敷き、隔壁も古いもので、さらに浴室の手前の欄間にもイニシエの職人技が光る。ナカナカのもんじゃないですか。ただしロッカーはアルミものに替えられている。 裸になって浴室に入ると、雰囲気は一転する。全面改装されて間もないようで古さはまったくなく、清潔で快適。 天井は、中央部(男女仕切り壁の上部分)で端から端まで湯気抜きが開いているのが珍しい。 湯舟は東京的に奥にあり、深浅(やや熱め)と薬湯(ややぬるめ、じっこう)。深の一部は座浴ジェット、薬湯は気泡になっている。あ〜今の全身疲労には座浴ジェットや薬湯がことのほか嬉しいねえ。しかも、やわらかで水質のよさを感じさせられる。 奥壁に1点だけ、黒ずんだ丸いブリキ板の鯉レリーフが取り付けられている。これだけ古くからあるものを大事に使っているみたい。 カランは島カランも含めて数たっぷり、水圧バッチリ。使い勝手も文句なしの優良銭湯だ。 上がりは飲み物販売あり。マッサージ椅子のほか、ラタン安楽椅子が2つあってくつろげる。 浴室は新しいが、とにかくこの立地と外観の渋さがたまらない。玄関・脱衣所の造りも見ごたえがある。 (06.3.7) |
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常盤湯
近鉄名張駅から西の旧市街へ。ゆるやかな丘を越えてゆくと、下り坂の正面に立派な煙突がそびえている。 近づくと、そのあたりから「サンロード」というアーケード商店街が始まっている。中途半端な場所にある商店街だが、かつては初瀬街道の宿場町の中心部だったようだ。 そこを入ってすぐ、このいかめしくも古めかしい銭湯が現われる。小ぶりだが無骨なコンクリ壁がストイックだ。 ![]() (左)今は寂しきサンロード (右)ガチッと三角、屋号は木彫り 夜になると、さらに商店街全体が歴史に押しつぶされたようなオーラに包まれる。そんな中、あたたかく光るサカサクラゲの電光看板。入るしかない。 ![]() (左)黄泉の国に揺れる暖簾 (右)玉乃湯と似た意匠 暖簾をくぐると狭い下足スペース、番台背後の突出や戸などがこの上の玉乃湯と共通している。 すりガラスの戸を開けると、古い番台にほがらかなおかみさん。えっ、280円? 「えらい安いですね」と言うと、「うちはきたないから」とおっしゃる。 番台も戸もワンダホー、おかみさんもグーこじんまりした脱衣所は、白壁と木のぬくもりに満ちた、みごとに古めかしい空間。天井は玉乃湯と同じで、格天井の隅が折り上げふうにカーブしている。 床は板張り、欄間も玉乃湯と同じだが、こっちのほうが全体にほとんど手を加えられておらず、昔ながらの姿がほぼ完全に保存されている。 おかみさんによると、「創業は明治ナン年、昭和7年(だったかな)に建て替えたまま」とのこと。スマヌ、酔ってたので正確な数字は忘れたけど、とにかく昭和ヒトケタの建物だ。「ハイキング帰りの人が来て、けっこう写真を撮っていく」そうだ。 そして出ました、便所は汲み取り式だ。 ![]() (左)格天井、プロペラは今も夏には活躍する (右)隅のカーヴ ![]() (左)ロッカーはガラス張り (右)上品な欄間 浴室もこじんまりとシンプルな空間。四角錘天井に四角い湯気抜きがある。 湯舟はタイル張りの主浴槽と、ややっ、奥に御影石の副浴槽があるぞ。こいつは古そうだ。 主浴槽の湯はやや熱め。あー、いい湯やのぉ。奥の石の浴槽には「森林浴」の青い湯が張られており、ややぬるめ。交互にゆっくりと浸かる。 ジェットもなにもなく、静寂そのものだ。 ![]() (左)主浴槽の周囲には低い座り段がある (右)石の湯舟には青い湯 カラン付近にはブドウ柄タイルカランにはシャワーがついてない場所もある。シャワーのあるカランを選んで座ったが、シャワー栓をひねるとジョワーっと・・・付け根から半分吹きこぼれとるがな。 だが、ここはこれでいい。営業が続けられているだけで感動。思わず微笑がこぼれる。 上がりはちゃんと飲み物あり、トマトジュース100円を飲む。 なんとも落ち着く空間だ。 「井戸水を薪で沸かしてます。あとつぎはいてません」 おかみさんはそう語る。 でもこのおかみさん、73歳だそうだがそんな歳にはとうてい見えない。肌にもハリがあるし。まだまだがんばってくださることを願う。 (06.3.7) |
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松の湯 ★
はぁぁ・・・涙が出るような場所に、涙が出るような銭湯。冥利に尽きるとはこのことだ。 世界遺産に指定された熊野古道の中でも特に人気の高い馬越峠。その美しい石畳道を下りてくると、尾鷲市街地の北川橋にポンと出る。 で、橋を渡ったところに、1軒の古い銭湯が。 おい、これも世界遺産なのか !? だってこれ見てよ、玄関先のこの立派な富士山のタイル絵。これが外にあるんだぜ。こんなの初めて見たぞ! ![]() (左)超伝統系の香りプンプン (右)真正面で強烈に誘う ![]() (左)俺を待っていたんだね (右)湯気抜きも芸術的 山道を歩いてきた足の疲れが、この外観を見ただけでとろけていくのがわかる。 吸い込まれるように暖簾をくぐる。 古い木の戸を開けると間口分のタタキ。年輪を重ねた番台におばちゃんが座っているが、え? 入浴料200円だと! 古めかしい下駄箱にはちゃんと鍵がついている。引っ張ってみたらなんと引き出し式、これも初めて見るなぁ。ウォーキングシューズを横にして収納する。 薬箱みたい脱衣所は伝統的な木造しっくい空間、高〜い格天井が並の銭湯との格の違いを見せつける。床だけは学校教室のような合板正方形フローリングで改装されている。木のロッカーはやや縦長で、そのぶん奥行きがやや浅い。 よけいなものがなくてじつにシンプル、広々とした空間がもうタマラン。 先客が一人いたが、そのオヤジがいきなり話しかけてくる。 「わしも15年ほど前まで神戸の福原におったんや。そっち関係の仕事しとったんやけど、今でも〇〇とか〇〇いう店、ある?」 ・・・知らんがな。 ![]() (左)高い天井からさわやかな風を送るプロペラ (右)ロッカー 最も感動したのが浴室の戸。東京銭湯のように全面ガラス戸だが、すべてイニシエの木枠がそっくりそのまま使われている。その質感、色合いがまことにすばらしく、手をかけて引くとずっしりと重い。まさしく歴史の重みだ。 しずしずと浴室へ。中型の広さに誰もいない。貸切だ。 板張りの四角垂天井。水色のペンキがややハゲているが、湯気抜きがスポーンと高くてなかなかの造形美。床は細かい柄の入った感じのいいタイルが張られている。壁は白タイルで飾り気ナンモなし。 湯舟は、中央に長方形の深浅がポンとあるのみ。フチは味わい深い白御影石で、内側は水色タイル。気泡などの仕掛けは一切なし。 ストイックなまでにシンプルな熊野巡礼的浴室だ。 湯は43度くらい。山歩きでくたびれた足が、あぁ・・・じんわりと。もう声を出さずにはいられない。静寂の空間に何度もこだまする、俺の深い深いため息。言い尽くせない満足感がすべての毛穴からしみこんでくる。 よかったなぁ。はるばる尾鷲くんだりまで来て、本当によかったよ。 カランは高さや下の溝まわりなどに余裕があって、使い勝手はいい。 古いけど清潔に、大切に管理されている感じが嬉しい。 上がりは、脱衣所に飲み物の自販機あり。 おばちゃんに聞くと、築80年とのこと。建物や備品のほとんどがその頃のままだそうだ。この銭湯が世界遺産のコアゾーンに含まれていないとは、ユネスコも語るに足りん。 さてと。駅近くの居酒屋へ、とれとれのカツオでも食いに行くとしよう。松の湯から尾鷲駅まで歩いて10分たらず。 (05.5.13) ついさっき登った天狗倉山をバックに |
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新生湯
尾鷲駅から商店街を海へ向かってまっすぐ歩き、突き当りで1筋左へずれてさらに進む。そのまま行けば1分ちょいで尾鷲漁港に出るあたり、少し曲がった狭い道沿いに青塗りの木造小家屋あり。 この色と暖簾がなければ銭湯とは気づきにくいたたずまいだけど、玄関上の小屋根と正面タイルがタダ者でないな。 ![]() (左)浴室屋根まで青く塗られている (右)チープに灯る 暖簾をくぐって渋い木のガラス戸を開けると、狭いタタキに番台がある。誰もいないのでコゼニを置いて勝手に上がる。 狭い脱衣所は漢数字の書かれた木のロッカーとマッサージ椅子だけのシンプル空間だ。隅にある流し台の細かなタイルがかわいい。 ![]() (左)番台周辺 (右)脱衣箱周辺 浴室入り口の少し手前で天井が一段高くなっていて、そこから先は壁も天井も外観と同じ青色に塗られている。浴室も同様だ。 三重の銭湯マニア・桶太郎さんによると、これらはすべてここのおかみさんが一人で塗られたものらしい。天井や屋根も脚立やハシゴを立てて塗った苦心作。扇風機の裏まできれいに塗ってあるぞ。仕上がりは素人仕事には見えない。 むー、タダ者でないのはおかみさんであったか。 ハバナブルーなプチ銭湯浴室も小さくて、家庭風呂みたい。壁に接してタイル張りの湯船がひとつポンとあるだけで、気泡もジェットもなんもなし。 だが、かかり湯をした瞬間ちょっと驚いた。 湯はやや熱めだが、ひじょーにまろやかだ。そして新鮮さを感じる。これは名水ではないか。うほっ、心地よか〜。 いくつかあるカランにはシャワーもついていて、コンパクトながら風呂としては十分だ。いろいろ設備が揃った銭湯もいいが、こういう小さなシンプル銭湯もこれはこれで全然よい。 それにしても、いい湯だ。尾鷲は屋久島と並んで降水量が多い土地だから、地下水も森のミネラルをたっぷり含んで常に新鮮なのかもしれないな。 あがるとおかみさんがいた。ここを一人で切り盛りしているらしいが、小柄で細身ながらもめっちゃ元気。よく動きよくしゃべる、港町のざっくばらん系オカーチャンだ。 (2011.2.10) |
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五月湯
駅から一つ目の信号を左(北)へ徒歩数分。突き当たりの右手に煙突が見える。でも建物は道路に面しているのに玄関はナナメ後ろを向いているぞ。ハニカミすぎではないか。 道路拡幅前は家々が建て込む狭い路地の中にあったのかな。 道路から入り込んだ路地に玄関しかしまあここも尾鷲の他2軒に負けず劣らず渋い面構えだ。ただならぬオーラを感じる。 戸を開けると木の番台におかみさんがいて、「300万円」とおっしゃる。「はい、300億円」と言って300円を渡すと、たいそう喜んでくださった。 ![]() (左)番台周辺、男女を分かつカーテンを吊るじゃばらが素敵 (右)タタキと上がりがまち そこそこ広い脱衣場はクラシック一色。板張りが素足に心地よい。格天井の3枚羽プロペラはぶっ壊れたのか紙でくるまれている。 これくらいのレトロ加減は尾鷲標準だが、都会にあったらチャンピオンクラスよね。 ![]() (左)脱衣箱 (右)格天井 ガラスに屋号あり裸になって浴室へ進むと、奥にタイル張りの2槽が並ぶスタイル。 どちらも深くて、左は43度くらいでジェット1本あり。右はかなり熱くて45〜46度くらいはありそう。横に湯もみ棒があって、それで混ぜたら底の湯はさほどでもなかったようで、1度は下がった感じだ。 この日は朝から尾鷲には珍しく雪が積もって、その中を歩き回ったから全身ヒエヒエ。だから熱い湯がうれしいねぇ。 アツアツに湯立って、カランの冷水をかぶる。この反復で寒さを感じないカダラになるんだよ。 上がって聞くと、おかみさんがここへ来た40年前には浴室中央に楕円形の湯船があり、シャワー設備もなかったそうだ。そのため湯船の周囲で頭を洗う人が多く、湯船にどうしても泡や髪の毛が入る。 「それが嫌で今みたいに改装したんよ」 大阪じゃ今でも湯船まわりで頭を洗うけど・・・そのための座り段までおます。 清く熱き尾鷲の湯に乾杯。(2011.2.11) 天狗倉山をバックに煙を吐く |
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みはま湯
熊野市駅の正面に要害山という小高い丘がある。その丘に沿って左手へまわりこんでいくと、駅から徒歩7分ほどでこの銭湯が現れる。その名のとおり、浜辺がすぐそこだ。 無表情な白モルタル塗りだが、門柱のアーチや外塀の裾に残るタイルに昔ながらの銭湯らしい味わいあり。 ![]() (左)アーチくるくる (右)このタイル! この日はもー寒すぎて体がおかしくなりかけているんだよ〜。 さっそく中へ入るとタタキに木の番台があり、美人のおかみさんがいる。 寒い夜にホッとしますコンパクトな脱衣所はそこそこ改装されて、あまり古いものはない。ロッカーは縦長のステンレス製だ。 男女壁の上にT字型の白い金属支柱が左右に伸び、その先に扇風機を取り付けてあるのがユニーク。支柱には造花が巻かれていてかわいらしい。 ![]() (左)扇風機の取り付け方に注目 (右)会社の更衣室的ロッカー 浴室も改装されてピカピカ。湯船は男女壁に沿って、手前から気泡・深・デンキ・水・スチーム(強力)と一列に並んでいる。気泡風呂も深風呂と同じ深さがある。 最近の改装は無表情な淡色の大判タイルでスッキリまとめられてしまうことが多いが、ここは湯船のヘリやカランまわりなどに珍しい濃色の細かなタイルが多用されていて、それが非常にヨイ。やっぱこういうアクセントは大事ね。 こまかいタイル使い最高寒い夜、真っ暗な中をたどりついた熊野の風呂はピチピチと清潔な快適風呂だった。銭湯よければ旅もよし。 (2011.2.11) |
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