メ シ つ き 文 化 遺 産 | ||
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兵庫県下の渋~い大衆食堂 (神戸市内の渋~い大衆食堂はこちら) |
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大手橋食堂
三和本通り商店街の中に、えらい古風な面持ちの食堂がある。 暖簾だけ見ると一杯呑み屋のようでもあるが、右手のショーケースには丼物やうどんなどの和食、左手のガラスケースは洋食と中華で飾られている。どことなく食堂界の横綱相撲を思い起こさせる。 ![]() ![]() (左)商店街で独自オーラを放つ (右)郷愁風景 中は昭和の風情満点だが、古いものも磨かれて清潔。大衆食堂ながらも気品を感じる。作り置きのおかずケースはなし。 メニューは和食洋食のほか、八宝菜や中華丼など中華系も充実。おや、オムライスと中華そばのセット1000円などがあるが・・・単品やとオムライス600円、中華そば400円、おんなじやないかーい。 デザートには「クリームみつ豆」もある。昭和40年代にデパート最上階の大食堂で出てたのと同じやつなんやろなぁ。 ハンバーグとエビフライのランチ800円を頼んだら、フォークとナイフをちゃんと紙ナプキンで巻いて出してくれる。めしは大衆食堂的ドカ盛りではなく、福神漬けが添えられていて、これは「ライス」と呼ぶべきものだろう。味噌汁もついてこない。 ![]() 値段的には特別安いわけではないけど、何といってもこの雰囲気は貴重だ。テレビもなくて静かなひとときを過ごせる。 (2015年1月) |
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竹生そば
阪神尼崎と大物駅の中間くらいにある。どっちからでも徒歩7~8分。 大衆食堂にはいろんなルーツがある。ここは看板の通り、そば屋の発展型だ。 ![]() ![]() (左)入口の風情も蕎麦屋 (右)カウンターと、テーブル3つ 中は狭いが、年輪を重ねた、落ち着いた風情が溢れている。 おかずケースこそないが、メニューはそばはもちろん、丼物、定食、うどん、中華そば、カレーチャーシューまで相当多い。 店のおやじさん、おかみさんのお人柄も絶品だ。 ![]() ![]() (左)なたね定食750円 (右)肉そば550円、お肉たっぷり! なたね定食は、木の葉丼に似た具材(カマボコ、しいたけ、野菜などの卵とじ)を皿に盛って定食化したもの。本来は味噌汁付きだが、上写真はご厚意でミニそばに代えてくださった。 ちなみに、これにカツを入れると竹生定食850円になる。カツをカシワに替えてそばに乗せたら竹生そば550円。 どれも味わい深く、かなりボリュームがある。値段以上のオトク感がハンパない。 オッサンの一人客が、二人連続して「焼豚定食850円」を注文した。別の家族連れも。くそ~気になる、次回はそれを食べよっと。 ![]() (2015.1.14) |
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トリエ食堂
香櫨園駅から南へ、43号線を越えて酒蔵通りを少し東へ行ったとこ。閑静な住宅街に、そこだけ40年くらい時代を遡ったような波板アーケードがある。 その角地にある、1軒の時代がかった食堂。空想を呼ぶ名前もよい。 ![]() ![]() (左)角地のため窓が多くて明るい (右)めし小150円、豚汁250円、シャケ300円で計700円 中は意外に広い。入口近くのテーブルと、横のガラスケースにおかずが並んでいる。シャケを選んで、おばちゃんに「これチンしてください」と言う。しばらくすると、温めたシャケに葉っぱとレモンと大根おろしを添えて持ってきてくれた。 他の丼物や定食、麺類は一般的なメニューと値段だ。 午前中から鶏唐でビールをチビチビやりつつ新聞を読んでいるおやじもいる。 何がどうっちゅーこともないけど、明るく広い店内は、土地柄もあるのか、のんびりとした空気が流れている。この界隈では貴重な存在だろう。 ![]() (2015.2.2) |
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味吉食堂
甲子園駅から徒歩5分ほどの穴場的食堂。お昼の2時間しかやってない。 激しい交通量の43号線に面しているが、一歩店内に入ると鄙びた昭和の別世界だ。 店には駐車場もないし付近は普通の住宅地なので、さして混み合うわけでもない。 なので、昔ながらの店内でボーッと昼飯を食うことができる。 ![]() ![]() (左)おちつける店内 (右)目玉200円、豚汁250円、めし小140円、合計590円 2時間しかやってないけど、丼物からうどん、そば、カレーライス、中華そばまで揃うし、焼魚や煮付のおかずケースもちゃんとある。 めしは大でも170円と良心的。 ただしアルコール類は置いていない。それが最大の特徴かも。 おだやかなおかみさんと、おやじさんのお人柄がじつによい。ここがすっかり気に入って通っているおじさん客もニコニコしてて、とても和める。 (2014.5.8) |
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ひさご
甲子園球場から南へ。住宅地の角にポツンと小さな民家風の店がある。 看板には「お好み焼・焼そば・うどん」とあるが、メニューを見ると丼物500~600円台からトンカツ定食750円までとにかく多種多様。めしも大・中・小・半と4段階ある。 ![]() ![]() (左)下町風情がエエ感じ (右)テーブル5つ お好み焼き屋からの発展型食堂らしくテーブルには鉄板が仕込んであるが、普通のテーブルもある。 ビール大550円を頼むと、なんと豆腐とチクワがついてきた。 ![]() ![]() (左)これはポイント高いぞぅ! (右)昼間っからビールと焼きそば(豚イカ)500円、これぞ幸福 一人でやっているおかみさんは、寡黙だが感じよい。小さい店ながらも、これだけ多彩なメニューをこなし切るプロ根性に敬服だ。 ![]() 俺は個人的に、「ハムエッグ」を大衆食堂の指標メニューの一つと考えている。玉子2つハム2枚にレタス・キューリ・プチトマトもついて200円という価格は、ひさご=超優良店であることを示している。 もう少し近ければ通うこと間違いなし。 (2015年3月) |
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丸美食堂
阪急伊丹駅から駅前ひがし商店街を徒歩3分の小さな大衆食堂。。 ショーケースがない代わり、メニューと値段が大きく貼り出されている。かけうどん・そば280円をはじめ、丼物ほぼ550円、定食ほぼ600円など、どれも安い。 さらに店頭には「サービス定食420円」のサンプルが出ている。 ![]() ![]() (左)ひがし商店街 (右)入って右におかずケース 店内は改装されて明るく清潔。テーブル6つのこぢんまりサイズだが、11時すぎでも5つは埋まっている。 大きなおかずケースは1皿200円、下段の魚のみ300円とわかりやすい。 厨房はおやじさん、ホールはおばちゃん一人で切り回している。 あとからあとからやってくる昼の客。その多くは「サービス」「サービスごはん小」「サービス粕汁で」などと言いながら入ってくる。 ![]() サービス定食420円は注文して15秒以内に来る。みなそれを10分以内で食って出ていく。 余計な会話もなく流れるような風景。ファーストフード食堂といえるかもしれない。いや、出てくる速さはそのへんの大手ファーストフード店を確実に凌いでいるだろう。 昼さがりから夜には普通の食堂のようなのんびりした光景が見られるのかもしれないが、ともかく速さと高いコスト・パフォーマンスで大人気、小さいながらも存在感のある食堂だ。 (2015年3月) |
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小川食堂
川西能勢口の駅近くに1軒の小さな食堂あり。店の構えがなかなかよろしがな。 ![]() ![]() (左)年季の入った看板 (右)店内は改装されている 清潔に整えられた、テーブル4つほどのこぢんまり空間。飾り気もなくあっさりしている。 メニューは左右の壁に短冊が貼ってある。麺類・丼物が400~500円台で、看板メニューのカレーライスは530円、中華そば430円。 真面目で寡黙なおやじさんが一人でやっているようだ。ビールも大瓶490円と良心的。 何しょーかなー、カレーも食いたし麺類も・・・というときは必殺カレーうどんね。450円、安いなぁ~。 ![]() テレビのニュースを片耳で聞きながら、ハフハフすすってポッカポカ。 何が特別どうということもないが、食堂の原型を感じさせるシンプルさが魅力。安くておいしく食べられるミニ食堂だ。 (2015年2月) |
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みどり食堂
明石と淡路島の岩屋を結ぶ高速艇ジェノバライン乗船場前には、かつて4軒の食堂が並んでいたが、今では2軒のみ。そのうち大きいほうがこのみどり食堂。 店内は改装されて美しく、テーブルが10ほどもある。おかずの種類やメニューも多くて目移りする。値段の表示もわかりやすい。 三角巾をかぶった女性店員さんに尋ねながら、なんやかやと皿を取ったり注文したり。 ![]() ![]() (左)右奥の黒いのがジェノバライン乗り場 (右)店内は広々、奥に厨房 ![]() ![]() (左)おかずの数々 (右)こっちにも並んでます 値段は大衆食堂としては微妙にお高めかも……から揚げ定食790円、とんかつ定食900円。ビールは大瓶580円、生中500円。単品は焼サバor煮サバ410円、コロッケ135円などなど。 しかしそれも許せる品数の豊富さだ。 ![]() ![]() (左)すずき味噌漬け490円、ウマイ! (右)粕汁290円、卯の花225円 ![]() ![]() (左)明石といえば焼きアナゴ540円 (右)意外にうまい特製ラーメン500円 港町らしく魚介類もいろいろあるから居酒屋づかいもよし。 (2015年1月) |
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みなと食堂
ジェノバライン乗船場前の2軒の食堂のうち、港に近いほう。目の前は海だ。みどり食堂とは1軒おいてのお隣さんになる。 こちらはこぢんまりとして、時間もだいぶ止まってる感がある。そのぶん昔ながらの漁港風情にひたることができる。 ![]() ![]() (左)店頭に今日のおすすめが出る (右)テーブル3つと窓ぎわカウンター、2階席もあり メニューやオカズ数はみどり食堂には及ばないが、海のものもあるし、値段が少し安いのが嬉しいなー。 ![]() 粕汁もみどり食堂(290円)より10円安い。 気分に応じて2軒の食堂を使い分けられるとは、明石は贅沢な街やわ。 (2015年2月) |
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大衆食堂 山田屋
山電の西新町駅から徒歩5分ほど、国道2号沿いにある。 長テーブルと小テーブル一つ、カウンター数席だけの小さな食堂だが、なんといっても2つのガラスケースいっぱいに仕込まれたおかずの豊富さが嬉しい。 しかも安いやん! 片っ端から食いたくなる。 この業界としては若手の50代夫婦が次々におかずを作っては補充していく。 ![]() ![]() (左)店内 (右)豪華にいっとこ! 焼魚や煮付はほぼ300円 壁メニューは、うどんや中華そば300~400円台、丼物400~500円台。めし大中小は170・150・120円、味噌汁100粕汁150豚汁200円。関東煮もあります1ヶ80円。文句なし。 ただし昼間は忙しいため、炒め物や豚生姜焼(300円)、トンカツ(350円)などは「夕食限定メニュー」なのがちょい残念か。 それでもどんどんお客が回転する、大衆食堂の鏡のような小気味よい人気店だ。 (2015年1月) |
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阿波屋
山陽電車の東二見駅から北へ5分ほど歩くと、明姫幹線に出る手前のビル1階に小さな食堂がある。 ![]() テーブル2卓とカウンター数席、奥に小上がり一つのミニサイズだが、食堂好きなら一目でピクンと感じるはず。 まずカウンターに並ぶオカズ類のうまそうなこと。 そして壁のメニューは丼物400~600円台、定食600~800円台だが、種類が多い。加古川名物かつめし680円もある。 さらに馬刺しをはじめ一品ものも充実していて、「これは何べんも通わなあかんやん、夜9時までやってるから居酒屋づかいもしたいやん~」と顔がニマニマしてきてしまう。 ![]() ![]() (左)狭い店 (右)このおやじさんがナカナカやるで! ![]() ![]() (左)イワシフライうまー! (右)しょうが焼きウママー! 揚げ物、炒め物、汁ものなどを複数人で頼んでも、手際よく料理されて全部ピターッと同時に出てくる見事さよ。おやじさんの職人芸、それを補佐するおかみさんとの呼吸がすばらしい。 カウンターに座るとその有様をつぶさに見学できて、アツアツで出される料理が倍おいしく感じられる。 東二見に直通特急を停めてくれてありがとう山陽電車! (2015年1月) |
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千成亭
ふしぎな店だ。 まず場所が謎。加古川線の神野駅から徒歩数分だが、よくわからない。但陽信金の角を左折し、次の角をもう一度左折したら、死にかけの神野市場が現れる。 何もないだろうと思われる廃墟状態のL字棟の一番奥に・・・。 ![]() ![]() (左)蝶つがい部分になんか見える (右)何屋さん? 勇気を出して近づくと、手前に「洋食・和食 千成亭」の箱看板、正面には「中華料理 千成亭」の看板と「ラーメン」の暖簾。そしておかずケースと惣菜販売ケースが表に出されている。 それらガラスケースには、「とにかくうまい鍋焼きラーメン」とか「また食べたくなる五目チャーメン」などとマジックで書かれた紙がベタベタと貼り付けられている。五目チャーメンて何やねん。「オードブル5000円より」というのもある。5000円! そして最も信じがたいことに、「営業中」の札が下がっている。やってるぞ…。 中に足を踏み入れた瞬間、「この店は通わなければ!」と直感した。 とにかく狭い。その狭い空間が、食い物と張り紙で溢れている。すごいエントロピーの高さ。 ![]() ![]() (左)テーブル2つとL字カウンターのみ (右)カウンター上はおかずだらけ カウンター上のおかずは全部うまそうで、片っ端から食いたくなる。店のおばちゃんが一人で作っているようだ。 壁に貼られたメニュー群も気になってしょうがない。「皮くじら入り粕汁250円」「和牛を使ったかつめし800円」「海鮮汐っぺラーメン750円」「キムチ焼きそば700円」・・・くそう~、「汐っぺ」のネーミングセンスに嫉妬するほどだ。定食も700~800円台でいろいろある。 しかしここはやはり五目チャーメンを頼まなければな~。 ![]() それはあんかけ揚げ麺だった。エビや豚肉、イカの足などが入っている。なかなかいけるし、汗をかくくらい体が温もった。 惣菜屋・弁当屋としても、一人暮らしのお年寄りなどに重宝されているようだ。 カウンターのお惣菜で酒を飲むのも非常によさげだが、夜は営業してないらしい。 「だって真っ暗になって怖いから、誰も来られへん」って、そやろな。 とにかく、多種多様な料理を狭い厨房でガンガン作るおばちゃん。只者ではなさそうだ。 (2015年2月) |
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大衆食堂 あさひや 【閉店】
姫路駅から徒歩2分! 駅前のアーケード商店街の中にある。店頭の電照看板も迫力の、姫路繁華街を代表する大衆食堂だ。 店内は広い。テーブルは15くらいあって、二人掛け椅子の黒カバーが渋い。 まず目立つのは壁の電照看板だ。味わい深い手書き文字が裏から照らされ、まこと古き良き昭和のオーラが静かに浮かび上がっておるではないか。 出入口の正面にオカズのガラスケースあり。好きなのを取ってチンしてもらうもよし、壁の電照メニュー板から注文するもよし。 ![]() ![]() (左)ええ雰囲気やわ~ (右)こういうので昼間からチビチビやりまんねん うどん400円、ラーメン500円、玉子丼600円、ビール大瓶600円・・・値段は決して安いほうとはいえないが、狙いを絞ればさして高くもならないだろう。 それより、この雰囲気の中でメシを食うということに意味がある。 (2013年10月) |
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かどや食堂 ★
最寄駅は姫新線の播磨高岡だが、姫路駅から頻繁にバス便があるし、1.5kmやから散歩しながら行くもよし。 国道2号線に北側からするどく道路が交わる、まさに角地にある。一目見て、時間が40~50年は止まっていることがわかる。 ![]() ![]() (左)正面、のぼり立つオーラ (右)小上がりの座敷あり 店に入るや、予想を裏切らない時代錯誤な情景が展開する。空気の沈滞っぷりが素晴らしい。 6人掛けの大きなテーブルが6つほどと、小上がりの座敷。角地らしく、奥の厨房は三角形にゆがんでいるようだ。 厨房との間のカウンターにおかずケースが乗っている。その右におでん(関東煮)器があり、常連客はみな勝手に好きなのを取って、姫路らしく生姜醤油をかけて食べる。 テレビではNHK大河ドラマがかかっているが誰も見ていない。 店主のおやじさんは座り込んで常連客と話し込んでいるし、エプロン姿のばあさん店員は盆を落として大きな音を立て、「手ぇがしびれてきてんねん頭もしびれてるけどなウキャキャキャキャ!」と愛嬌いっぱいに笑ってるし、常連客のタクシー運転手は誰も聞いてないのにデカイ声で人生論をぶっている。 もはや舞台である。新喜劇の。 ここでは誰もが俳優だ。一見客も観客になる必要はない。おやじどもの話をさえぎって注文すれば、店主が機敏に丁寧に対応してくれる。 意外にも、上品なご婦人が一人めしを食いに来たりもする。 ![]() ![]() (左)関東煮すじ150円、ひろうず120円、あとみな100円 (右)とん汁170円 丼物や麺類はほぼ400~500円台。ビール大瓶550円。一品ものも「生卵60円」「味のり70円」から「うなぎ600円」まであるので、居酒屋使いもよし。 でもやっぱり関東煮をつつきながらチビチビやるのが一番しっくりくるだろう。 ![]() うるさいタクシー運転手が帰ってすぐに、厨房の奥から土建屋コンビが入ってきた。裏口があるようだ。 新たな役者登場で舞台はさらに盛り上がり、夜は更けてゆく。23時までやっている。 (2015年2月) |
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大安食堂
山陽電車の飾磨駅を出てすぐ左。駅から30秒の好立地に、見た目ド迫力の食堂がある。 横長の間口を端から端まで覆い尽くす、サビの浮いた大文字看板。惚れ惚れする。 ![]() ![]() (左)左のビルの横が飾磨駅 (右)左側には「酒は龍力」と書かれている 中に入ると、テーブル3つにカウンター3席ほど。ディープなオーラが色濃く漂っている。カウンター内のおでん類も色濃く煮詰まっている。 おやじ客とおばさん客が一人ずついるが、店の人はいない。メニューらしきものも一切なし。 「すんませーん」と叫ぶと、ストーブの前に座っていたおやじ客が立って厨房奥の店主自宅と思われる部分に入っていき、客が来たことを告げに行ってくれた。 やがて、杖をついたおばあさんがゆっくりと出てきた。もはやグリム童話の世界。 「おでんくらいしかないけど~」とおっしゃるので、ダイコンとスジとコンニャク、それに焼酎のお湯割りをもらう。 ![]() おばあさんの足元がおぼつかないので、おでんは自分で厨房入口までもらいに行った。 横のおかずケースを見ると、イワシ煮つけととゲソ煮つけが一つずつあったので、それももらう。 ![]() ![]() (左)おでんと焼酎 (右)イワシとゲソ 駅前の異空間で、お湯割りをチビチビやりながら過ごす意味不明なひととき。たまらん。妙な興奮が静かに満ちてきて、最高感に包まれる。 どうやらおばあさんは息子さんと二人で店をしてるようだが、夜は常連客(たぶんこのときいた客+α)しか来ないので、一人で留守番をしているっぽかった。 帰りしな、自分が飲み食いしたものを台所の流しへ運んでおいた。 外観・内部ともに、もはや映画のロケも困難なほどのスーパーレトロ食堂。今度は息子さんがいる時間帯に来てみたい。 (2015年2月) |
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ことぶき食堂 ★
山電の終点、網干駅から南へ6~7分歩くと、漁船の並ぶ東雲橋の手前に古めかしくも立派な大衆食堂が現れる。 ![]() かつて繁栄を極めたであろう、地域の盟主的な立派な食堂。それが今、ここに残って、現役で営業している! 内部は外観を超える奇跡っぷりだ。 入ってすぐ正面におでん器とおかずケース。右側に広い厨房、中央には直角の背板で区切られたテーブル3卓。 そして何と言っても目を引くのは左側の長テーブル。真ん中に1枚の衝立があって、向かい合った客どうしが顔を合わさないようカウンター状になっている。 ![]() ![]() (左)厨房前の垂れ壁にメニューがズラリ (右)開店直後で、おかずはまだ少なかった ![]() ![]() (左)長テーブルの中央に衝立が (右)長テーブルの後ろには小上がりも2卓あり 店は物腰やわらかなおやじさんとおかみさんの二人で切り回しておられる。 長テーブルに座ると、おかみさんがおしぼりを出してくれた。大衆食堂ではレアなサービスだ。 おかずケースから「あらだき280円」を選んでチンしてもらい、めし小230円と豚汁180円を注文した。計690円。 めしは大と小しかなく、小で230円とはチト高いな。しかも大250円と20円しか違わない。 でもそれ以外は、うどん350円、中華そば450円、親子丼・カレーライス600円など一般的な値段。 ![]() ![]() (左)衝立前のわがメシ (右)わがメシ拡大 それにしても、この映画のセットのような本物空間で食べるめし……感動プライスレスだ。 この店でもう一つ特筆すべきことは、おでんの安さだ。 大根、こんにゃく、玉子は60円。すじ120円。その他は全部80円。めしが高いことを考えると、おでんとオカズで一杯やるという使い方のほうがいいかも。 (2015年2月) |
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甘党の店 オハラ ★
神戸電鉄三木駅から徒歩5~6分。古い街道沿いにある。年季の入ったモダンな外観にキュンとくる。店頭に餅などが並び、奥まったところに食堂の入口がある。 甘味処が餅や赤飯を置き、その延長で大衆食堂化する場合がある。京都をはじめ関西各地にある力餅食堂などはその代表だが、ここもその系統といえるだろう。 ![]() ![]() (左)ストーブに干されたタオルが茶色くコゲている (右)赤飯定食400円 うどん類300~400円台、丼物が400~500円台。ぜんざい480円、ぞうに430円、赤飯150円などもあるのが甘味処らしい。 店はおじいちゃんとおばあちゃん二人で切り盛りされている。 ![]() この店の名物は何と言ってもミルクセーキ450円だ。フローズンだが、なぜか溶けない。練乳が決め手なのだろう。素朴な甘さであっさりしており、口に入れた瞬間、目を見開いて「おぉ、うまい!」とつぶやいてしまった。大手チェーンのナントカシェークなんかとは比べ物にならんね。 これを真冬に、だるまストーブの横で食べる・・・贅沢なひとときだ。 赤飯定食は赤飯に味噌汁と漬物がついただけだが、ちょうど良い塩味加減で、丁寧に作っておられることが察せられる味だった。 「新沼けんじや森脇健二も来たよ」と話してくれる、おじいさんおばあさんお二人のお人柄も合わせて、「来てよかった~」としみじみ余韻の残る名店だ。 (2015年2月) |
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かつ美 ★
北条鉄道の終点・北条町駅を出たら、正面に「アスティアかさい」とかいう大きな商業ビルがある。その左のほうを見たら・・・。 ![]() ![]() (左)ん? 古い民家のようなのがポツンと (右)おおぉ! ![]() ![]() (左)し、しぶい・・・ (右)ランチの定食4種類、各700円 「かつよし」と読む。もう見ただけでピンとくる感じ、わかる~? 中へ入ったら、テーブル二つに小上がり2卓、カウンター3席ほどの狭い店内ながら、期待通りの渋い空間だ。 壁のメニュー板を見ると、ブリなどのお造り、うどん類、焼き魚、揚げ物などいろいろ書かれていてそそられるが・・・とりあえず、牡蠣と白身魚がついてるっちゅーミックスフライ定食700円。 ![]() ![]() (左)ええ感じやん~カレンダー多いけど (右)フレームに入りきらん・・・ んだらば! デカイ牡蠣フライが4つか5つ・・・それと白身魚フライ2つ、ほんで小鉢2品に漬物に味噌汁。小鉢ものや汁などにも死角なし。隅々まで行き届いている。 これフツーは900円ぐらいは軽くいってまうやろが! 豚カツ定食700円もすばらしい。このトンカツのデカさ、柔らかさナニ? これは元町やと980円クラスやろが! ![]() ![]() (左)ミックスフライ、アップ (右)エクセレントなるトンカツ モグモグ…いやもーこれホンマうまいわモグモグ…タマランわモグモグ…最高やん~、と食いながら勝手に口から喜びの言葉がこぼれ出てしまう。 さらに食後には「インスタントですけど、よかったら・・・」とコーヒーまで出してくれはりまんがな。 ![]() この店をやっておられるご夫婦の気づかい、お人柄がまた最高。それがすべて丁寧な料理に表れている。 この店を目的に北条まで行っても惜しくはないだろう。 (2015年2月) |
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