関西の激渋銭湯
チープに極楽。生きててよかった!
【長野県】の廃業した激渋銭湯
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鶴巻の湯 ★(小諸市)(廃業)
君が湯 △(千曲市)
(廃業)
衣温泉 (諏訪市)(廃業)
菊の湯 (伊那市)(廃業)
営業中の長野県の激渋銭湯

鶴巻の湯  《廃業》

廃業されたようです。
(2014年つかささん情報)
レポートは営業当時のものです。


小諸市鶴巻1−4−15
電話:0267-22-4662
【営業時間】15:00〜21:30ごろ
【定休日】日曜日と月曜日
【入浴料金】大人380円


 小諸駅から南東へ、約700mほどの旧市街。狭い通りの角に、さりげなくこいつが現れる。
 破風の玄関小屋根の下で、暖簾が揺れている。クギヅケ棒立ち金縛り。止まらない涙止まらない。

 
(左)問答無用のたたずまい   (右)何の印か知らねども

 
澄み切った空にいさぎよく

 
(左)この形たぶんサザエさん   (右)金色に屋号輝きて

 深呼吸そして戸を開ける。狭いタタキに古番台。
 若手の女将がほがらかに迎えてくれる。外観通りの郷愁空間だ。

 
(左)天井重厚こげ茶色   (右)鏡に映る脱衣箱

 服を脱いで丸籠へ放り込む。いにしえより年月を刻んだ重厚なる歴史的建造物に初めて足を踏み入れて、あっという間にスッポンポンのフルチン体操。この目まいを覚えるような異次元感がたまらない。

 と、浴室に入った瞬間、のけぞった体のけぞった。
 夕陽輝く聖空間、その男女壁に視線が金縛り状態となる。タタタタタタタタタタ、タイル絵がそこに一面に・・・止まりかけ心臓止まりかけ。

 
(左)光よ・・・銭湯よ・・・     (右)小諸なる古城のほとり・・・

 
緻密、見事、美品

 静寂の浴室に俺一人の貸切だ。落ち着けて心落ち着けて。
 とりあえず湯に浸かろう。湯舟は深浅が一つだけで、フチに渋い丸タイルが使われている。だが内側は白セメント塗りで、タイルは貼られていない。これは珍しや。
 例によって登山のあとなだけに、熱めのお湯が実にナイス。湯の感触が染みわたり、疲れが溶けてゆくさまが感動的だ。
 トタン張りの天井と四角い湯気抜きを見上げながら、深い深い溜息ひとつ。

 洗い場にシャワーはなくカランのみ。ここにシャワーなんか設置しようとしたら、絵に穴をあけることになる。だから当然なくてよし。

 上がっておかみさんに聞くと、男湯の絵はどこの城かわからないと言う。
 「長良川に似てると言った人がいますけど。女湯は奈良公園なんですよ」
 な、奈良公園? 信州小諸で何を思って奈良公園!?
 誰も入っておられないとのことで、見せていただいた。

 
禁断の女湯

 
かわいい、美しい

 奈良公園そのままではないが、モチーフとしてはまさしく奈良公園だろう。こっちのほうがカラフルで明るいイメージだ。
 数年前に若いカメラマンがこのタイル絵を撮影に来たそうだ。

 おかみさんによると、この建物は大正3年ごろのものらしい。玄関部分は雨漏りがするという。
 「毎年明けるたびに『今年はもうやめよう』と思いながらまだ続けている、という状態です」
 古い城下町・小諸に残った、たった1軒の古銭湯。そこにこんなタイル絵が息づいている。この素晴らしい事実にめぐり会えた喜びを、幻のコモロオオトカゲに捧げたい。
(2007.11.07)

 
いつまでも嗚呼いつまでも
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君が湯  《廃業》

廃業されたようです。
(時期不明)
レポートは営業当時のものです。


千曲市大字屋代1972
電話:026-273-2987
【営業時間】16:00〜20:30ごろ
【定休日】?
【入浴料金】大人200円


 き〜み〜が〜あ〜ゆ〜う〜は〜・・・

 しなの鉄道屋代駅で下車して北へ10分弱歩いたところにある。けっこう交通量が多い道路に面しているが、銭湯バカでもなければこれが銭湯だとは気づかないだろう。暖簾も出てないし。
 でも門の上に張り出した松の枝がかっこいい。

 
(左)煙突があるから気づく     (右)よく見たら入口が二つあるし

 
(左)古い看板もかかっているし     (右)やっぱり銭湯だ

 き〜み〜が〜あ〜ゆ〜う〜は〜・・・

 ひっそりとしている。激渋のすりガラス戸を開けると、狭いタタキに棚だけの木の靴棚があり、番台には苔むしたバーサマがお座りになっている。
 湯銭を払おうとしたら・・・200円だと!?

 き〜み〜が〜あ〜ゆ〜う〜は〜・・・

 脱衣所も狭く、新建材でチープに改装されている。それにしてもこの脱衣所、ロッカーのほかはなんもない。椅子もない。さっさと脱いで着るだけ。

 き〜み〜が〜あ〜ゆ〜う〜は〜・・・

 浴室もこじんまりしている。他客は誰もいない。
 床は不揃いの小石型タイルだが、あちこちハゲていて、白パテやセメントで補修されている。
 湯舟は男女壁に接して深浅一つ。だが深いほうもあまり深くない。湯はやたらと熱く、さすがの俺もうめて入った。
 湯舟の内側もタイルが剥げ、さらに補修のセメントまでハゲている状態。その粉で、底は少しざらついている。

 き〜み〜が〜あ〜ゆ〜う〜は〜・・・

 男女壁にモザイクタイル壁画がある。定番のアルプス湖水風景、白樺&白鳥。周囲のボロさの中、この壁画だけがくすみも剥げもなく、燦然と輝いている。
 その下にカランが並んでいる。シャワーはない。水はよく出るが、湯はぬるいのがチョロチョロ出るだけで、あまり役に立たない。
 桶に湯をくんで床に置いたら、前の溝をなにかが流れてゆく。よく見たら薄いセメントのカケラだ。桶を置いた拍子に剥がれたらしい・・・。

 き〜み〜が〜あ〜ゆ〜う〜は〜・・・

 千代に八千代に・・・とはいかないだろう、たぶん。
 それでも女湯からはバアサマたちがにぎやかに語らう声が聞こえてくる。商売度外視の200円といい、この熱い湯を楽しみにしているお年寄りのためだけに湯を沸かし続けておられるのだと思われる。
 これもまた日本の古い銭湯の姿だ。泣ける。

 なんとか体を洗い、熱い湯に浸かりながら天井を見上げた。菱形の、ちょっと変わった湯気抜きが開いている。
 壁上部から天井にかけてコンクリ打ちっぱなしのモダンな造り。だがそれが、くすんだ緑色に変色している。
 コケが生えているのだ全体的に。これぞまさしく。

 こぉ〜けぇ〜のぉ〜〜〜む〜う〜す〜う〜ま〜あ〜あ〜で〜〜  
(2007.11.8)

 
さて帰ろう(入口の戸を内側から)
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衣温泉《廃業》

2015年12月27日、廃業されました。
レポートは営業当時のものです。


諏訪市小和田南3−18
→地図

TEL:0266-52-3431
【営業時間】07:00〜20:30
【定休日】木曜日
【入浴料金】大人200円


 やー、ここはロケーションからしてもうくつろぎの極致を体現しとるね。上諏訪駅から徒歩10分ほど、諏訪湖へ注ぐユルーイ川のほとり。
 玄関脇のタンクが外観も景観もぶちこわし。でもそれが脱力ムード3割増しに貢献しているという珍しいパターンだ。

 
(左)あれかいな! わからんがな!   (右)ここを入れと

 狭いスキマに侵入すると、男湯と女湯の入口がある。向かいに受付の小窓があって値段が書かれているが、声をかけても誰もおらん。仕方ないので小窓を開けて200円を置いておく。
 小さなタタキに靴を脱いで脱衣場に上がると、こんな風呂が現れた。

 
(左)おお、このヒナビ…   (右)すばらすい…

 
(左)天井がすごい!   (右)カランが二つある

 
(左)小さな湯船   (右)こまかなタイル

 ほのかに香る、ふくよかな温泉。すでにもう脳内にアルファ―波が漂いはじめる。
 男女仕切り壁沿いに源泉と加水用の水パイプが走り、左浴槽に源泉が注がれていてやや熱い。43〜44度くらいか。右は少しぬるめで42度くらい。

 真夏の真っ昼間の真っ裸の真温泉、貸切。熱いくせに、まろっとソフトタッチでわが身を包みこむお湯ちゃん。
 なんで? なんで俺こんなに神様に祝福されまくってんの悪いことばっかりしてるのに。

 
(左)波板のスキマから外が見える   (右)さ、かき氷でも食べに行こっと

 大和温泉ともども、諏訪は俺をダメにする。 
(2015年8月)
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菊の湯《廃業》

2013年12月末、廃業されました。
(森田さん情報感謝!)
レポートは営業当時のものです。


伊那市伊那荒井元町3378  →地図
TEL:0265-72-2342
【営業時間】13:00〜22:00
【定休日】月曜日
【入浴料金】大人380円


 飯田線の伊那駅から西へ3分ほど。古い飲食店や旅館がひしめく、いわくありげな旧繁華街の一角に、「ラドン温泉 菊の湯」の大きな看板が上がっている。

 表に外壁や玄関まわりには濃い色のタイルが多用されているが、建物自体はちょっと旅館ぽい。隣の棟続きは玄関が広い土間になっており、その軒下にも「菊の湯」という木の看板が掲げられている。かつては旅館併設だったのかな。

 暖簾は石鹸メーカーの普及型ではなく、一般家庭で使うような地味な柄のやつが揺れている。
 中に入ると、横長広めのタタキにこげ茶色の古い下駄箱。激しく渋い摺りガラスの衝立で脱衣所が見えないようになっている。
 そして、これまた年代モノの大きな木製番台に、ばあさまが座っている。
 珍しいのは、番台と脱衣所の間にカーブのついた目隠し衝立があること。タオル干し場を兼ねているケハイもあるが、関西の古い銭湯よりよっぽどプライバシーに配慮されてるな。

 脱衣所はそこそこ広くて明るくて、それでいてイニシエ色の濃い、なんとも落ち着く空間だ。
 ロッカーはアルミ製だが、薫蒸されたように鈍い光を放つ板張りの床や天井、こげ茶に染め上げられた男女仕切りと大鏡、冷蔵庫が置かれたタナの支え、案内板や注意書きなど激渋アイテムの数々が、郷愁爆弾となって旅人を包み込む。
 とくに、タタキ&番台スペースと脱衣所とを分ける垂れ壁上部カーヴ処理が見事。これは見逃すでないぞぉ。

 浴槽は改装して10〜15年といったところかな。古いものは残っていない。
 中央奥に5人サイズほどの主浴槽、気泡が湧いている。あ〜こりゃ、じつに俺的適温のやわらかい湯だよ。
 そしてこの銭湯の売りは、右奥の一角を占めるガラス張りのラドン室。主浴槽とほぼ同サイズの湯舟がある。壁にラドン人工温泉のくわしい説明が掲げられているが、「13秒で全身の末梢まで行き渡る」など、物理学的っちゅーか具体的に書かれていて興味深い。たしかにぬくもるよねラドンは。

 両壁のカランにはちゃんとシャワーあり。島カラン(2列)にはシャワーなし。
 おっとぉ、カランの水が冷たくて、めっちゃイキイキしているぞ。こいつはまぎれもなく中央アルプスの伏流水だろう。
 男女壁は摺りガラスになっている。

 上がりは飲み物販売あり。
 かなりゆっくりとしゃべるばあさまに聞くと、「戦前の建物だろうが私はそんな前からおらんからわからん」とのことだった。
 夕方4時前後、相客2〜3人。

 伊那にたった1軒だけ残った銭湯は、脱衣所のイニシエとともに、ラドン温泉や良水をしっかり味わえる、なかなかのナイス銭湯だった。
(2008.7.26)
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