チープに極楽。生きててよかった!

中国地方の名銭湯 【広島県西部】
広島県西部<名銭湯トップホーム
金星湯 (広島市西区) 
日の出湯 (広島市安芸区)★ 06.8.15
神原湯 (呉市)★ 06.8.9
谷乃湯 (呉市) 06.8.18
桜湯 (呉市 音戸) 
広島県東部はこちら

金星湯

広島市西区三篠町二丁目12−10
TEL : 082-237-4916

【営業時間】15:00〜23:00
【定休日】毎月1日6日16日26日
【入浴料金】大人350円

 さほどのイニシエっていうわけでもないが、原爆で古い建物が全滅した広島市街地で、昭和の風情を色濃く残す貴重な銭湯だろう。

 広島駅の隣のJR横川駅から北へ3分ほど歩くと、広島独特の丸い「ゆ」の看板あり。でも横の建物はどう見ても民家だ。
 看板横の路地をちょっと入ったところに煙突が立っているからここを入るのかな。でも、この家の裏庭に続くようにしか見えないなぁ・・・。

 
(左)「ゆ」の丸看板はあるけれど   (右)この奥? でも他にないし・・・

 不法侵入気分で恐る恐るその路地に入ると、浴室に反響する話し声が聞こえてくる。どうやら路地の右の建物が浴室らしい。
 さらに突き当りまで進み、裏側にまわりこんだら、よく茂った庭木に挟まれてやっと暖簾を発見。あーほっとした。
 しかしまあこの銭湯、どういうわけか表通りに完全に背を向けている。なぜなんだ!

 
(左)玄関前は狭くて全体が写真に入らない   (右)上部は戦後まもなく的モダンの看板建築

 ともあれ暖簾をくぐる。すぐにタタキがあり、番台におばちゃんが座っている典型的古銭湯だ。
 脱衣所に上がると、天井・壁・ロッカーなどは高度成長期的な合板系。
 特筆すべきはこの脱衣所の開放感だ。表通りに背を向けた路地裏だけあって外部の目は完璧無関係、表の窓は開けっ放しで、そこに据えられた大きな扇風機が豪快に外の風を送り込んでいる。
 あぁ〜、どうしようもなく銭湯じゃけん。

 浴室は・・・おや、どこか見覚えのある風景だな。
 カマボコ天井に大きな四角い湯気抜きが開いている。湯舟は隔壁沿いに深浅のみ。薄めのへりには細かい長方形の豆タイルが張りめぐらされている。清潔感があって、湯舟が少ないぶん広々した感じ。
 そう、床やカランまわりのタイルも含めて、京都か大津の古い銭湯によく似た感じなのだ。

 湯舟には湯がなみなみと満ち、入るとザブーっと溢れる。この贅沢感がたまらんね。湯温は42度弱か。
 男女隔壁にカラーのガラスブロックが使われているのがまた昭和じゃけん。

 あがりは飲み物販売あり。夕方6時半前後、常連客のじいさまが3人くらいいた。
 設備はなにもないが、のんびりリラックスできる秘湯じゃけん。とくに京都の人はそこはかとなく嬉しいかも。   (05.7.21)
このページの頭名銭湯トップホーム

日の出湯 

広島市安芸区矢野西5-19-28
TEL : 082-888-0180
【営業時間】17:00〜21:30
【定休日】第一・第二日曜日
【入浴料金】大人350円

 広島市の飛び地・矢野は、山陽本線の海田市から呉線に入って一つ目の駅だ。
 駅を出て左へ歩く。小さい川を渡って右を見ると、川沿いの道と、川からナナメ左に逸れていく道とがある。その逸れていく道のずっと先のほうに、四角いれんが煙突が見えるじゃないの。
 それを目指して3分ほど歩いたら、この美しい銭湯がきりっと現われる。

 辻に立つ洋館風の建物、外壁がきれいに塗られていて高感度高し。

 れんが積み角煙突が目印

 
(左)美しきレトロモダン調   (右)かわいい照明

 暖簾の奥はナナメ取っ手のついた年代物の戸。開けるとタタキにこれまた古い木の番台、ほがらかなおかみさんが座る。
 広島の銭湯料金は370円になったが、350円でいいとおっしゃる。

 こじんまりとした脱衣所は、中央にテーブルセット。壁や天井は新建材で改装されているが、木のロッカーが渋茶色。浴室入口は広島銭湯らしく水色に塗られ、上部に色ガラスが使われている。
 流しなどのにも渋いマジョリカ風のタイルが使われていて、なかなかのイニシエ空間だ。

 
(左)木の戸にはナナメ棒の取っ手   (右)木製ロッカー

 
(左)浴室入口、上部に色ガラス   (右)味わい深い流し

 大きな木の引き戸を開けて浴室へ。床は細かいタイルが敷き詰められ、壁上部から天井にかけては真っ青なペンキで塗られている。
 浴室中央に長方形の湯舟があり、深浅に分かれている。おっ、深いほうは広島名物の内側3段式だ。

 もう山歩きでクタクタ、さっそく浸かりましょう。深いほうは43度、浅いほうは41度くらいかな。ピカピカのお湯がなみなみと沸いて、入るとザバーっと溢れる。うっほー、これよこれっ!

 湯舟のフチには小さなピンクのカヤック型タイル、ほかにも昔ながらのタイルたちが生きている。回転式の木枠の窓も渋い。
 しかし古いけどよく磨かれていて、清潔度は高い。タイルつるつる。
 カランは手前と奥壁に並び、奥壁のみシャワーつき。手前の列はワイルドに鉛管むきだしだ。

 先客1名のみ、途中から貸切状態になった。
 そろそろ上がろうと思って身体を拭いたが、湯舟に沸く気持ちよさげな湯を見るうちに我慢できず、また浸かってしまう。そんな具合でなかなか上がれない。
 お客は少なくても、管理がよくて快適。いい銭湯だ。

 上がりは飲み物販売あり。
 おかみさんによると、お湯は廃材で沸かされているそうだ。「だから石油の値上げも関係ないから350円のままにしてるんです」・・・泣ける。  (06.8.3)
このページの頭名銭湯トップホーム

神原湯 

呉市宮原5-7-20
TEL : 0823-21-7576
【営業時間】16:00〜22:00
【定休日】月曜日
【入浴料金】大人370円

 こんなところに、イニシエの名銭湯が隠れていたとは。

 呉駅の南東に伸びる半島部、その斜面にへばりつくように宮原という地区がある。海岸部はすっかり埋め立てられて巨大な造船所がいかついハガネをむき出しにしているが、山側の急斜面を登ると、これでもかと狭い路地が網目状に入り組んでいる。かつては複雑な入り江に面した漁村だったんだろう。

 目的の銭湯は呉駅から約2km、バスなら宮原5丁目で降りて少し戻る。信号のある交差点から急坂を登ると左手に寺があり、そこから2本目の左の路地を覗くと、忽然と現われる「ゆ」の看板。

 さっそく近寄ると、レンガ塀に守られたそのただならぬ味わいに、心臓がビクン!と大きく波打った。

 
(左)狭い路地に   (右)風呂屋の中から吹きぬける風

 
(左)この正面タイル!   (右)この戸!

 たまらず暖簾をくぐる。狭いタタキに古い番台があり、ほがらかなおかみさんが座っている。
 靴を脱いだが下駄箱が見当たらない。下駄箱がありそうな場所は小さな床の間のように一段高くなっている。

 番台、タタキ、床の間?

 おかみさんに聞くと、「その鏡の下」とおっしゃる。男女仕切り壁には大きな鏡があるが、その下部に並ぶ激渋の木箱が下駄箱だと。これは初めてだ。
 靴を持って上がり、小さな下駄箱にトレッキングシューズを無理やり収納する。ああ今、俺はこの銭湯の歴史に参加した。

 
(左)鏡の下が下駄箱   (右)俺のハイカット靴ではフタがちゃんとしまらない

 鏡上部の装飾、言うまでもなく手彫り

 さわやかな板張り床はクリ材だそうだ。脱衣箱は言わずもがなのケヤキ一枚板、その端には磨き丸太の柱。
 古い高級素材に長年がっしりと包まれてきた空間独特のオーラが立ちのぼる。

 
(左)いぶし銀のケヤキ脱衣箱   (右)浴室を見る

 この時点でもう感動で胸いっぱいになりながら服を脱ぐ。浴室方面には、すでに奥壁のペンキ絵らしきものが見えている。討たれに行こう、裸になって。

 
(左)細かい床タイル   (右)のどかな風景のペンキ絵

 浴室は奥に長い小空間。壁上部から天井にかけてはきれいな水色の板張りだ。ゆるい四角錘天井に大きな湯気抜きが空いている。

 ブリキ地らしき板に描かれたペンキ絵は、一部が破れている。がこの低い山にユルイ川が流れる地味な風景、どこの農村かわからんが、なんとも心を穏やかにならしめる憩いの図じゃのう。
 おかみさんによると、10年ほど前(?)までは毎年書き換えてもらっていたそうだ。

 カランまわりにも、気になる造形があちこちに見られる。

 
(左)入って右手の中腰カラン   (右)フンデルト・ヴァッサーを髣髴とさせる芸術的な島カラン

 湯舟は男女壁寄りに1槽、大阪式座り段がある。細かい豆タイルで覆われているが、内側は新しいタイルに張り替えられていて清潔感がある。
 先客が一人いたがしばらくして貸切になった。お湯もちょうどよい加減、旅に疲れた身体をじっくりと癒す。ああ、よくもこんなところまではるばる来たよ。

 奥に、使われていない副浴槽がある。上に温泉の宣伝板が張ってあるから薬湯だったのだろう。木のフタをちょっとどけて中を見てみると・・・で、出たあーーっ!
 久々登場、この芸術的大判タイル!

 
(左)出ました、イスラム芸術タイル   (右)右は草津ハップ、左は「緑の温泉」だと!

 いやー、この浴槽で緑の薬湯に入りたかったなあ・・・残念。
 ほかにも、レトロ銭湯ファンにはおなじみのラーメン模様タイルなどが壁の要所に使われていたりする。
 カランは快調、シャワーもオッケー。
 とにかく古い風呂だが、主浴槽やカランなどはきちんと機能していてノープロブレムだ。

 浴室から脱衣所方面の眺め

 上がりは飲み物販売あり。

 おかみさんによると、昭和のはじめごろの建物とのこと。呉は軍港だったからさぞや激しい空襲があっただろうに、よくぞ残ったものだ。
 「そこの表の道まではみな空襲で焼けました。この一角だけが残ったんです」

 奇跡がこの味わい深い銭湯を救い、以来60年間、絶えることなく湯が湧かされ続けてきた。そして今、俺みたいなやつがこの湯に浸かることができる。
 持て余すほどの感動を、いったい俺はどうすればいいのか。  (06.8.2)

 永遠なれ神原湯
このページの頭名銭湯トップホーム

谷乃湯

呉市阿賀中央9-3-14
TEL : 0823-71-3568
【営業時間】15:15〜21:00
【定休日】月曜日と金曜日
【入浴料金】大人370円

 休山トンネルを挟んで呉の中心部と背中合わせの港町、阿賀。ここには松山からのフェリーが着く。
 船を下りて安芸阿賀駅へ向かう。交通量の多い幹線道路を避けて一筋山寄りの細い道を歩いていると、港から10分たらずでふいにこの渋い銭湯が現われる。

 
屋号まわりのレトロな造りが印象的

 戸を開けると内側にも暖簾がかかっており、狭いタタキに渋茶色の木の番台がある。そこに座るおかみさんに仕舞いの時刻だけ確認して、とりあえず呉の散策を続行。

 そして夜、この銭湯のために再び阿賀へと舞い戻った。
 駅から西に5分ほど歩き、川を渡って左へ曲がると、右手に小さな焼肉屋がある。谷乃湯はそのすぐ裏手だが、まずは焼肉屋の暖簾をくぐり、ここで飲み食いしながらボクシングの亀田タイトルマッチを全部見る。8時すぎに試合が終わり、不可解なジャッジに興奮しつつ店を出て、銭湯へ。

 脱衣所は板張り床に木のロッカー、もちろん漢数字。ほかには木の長椅子ひとつだけの古い小空間だ。

 しっとり、こじんまり

 浴室もこじんまり。南方系の先客が一人だけいる。

 男女隔壁に沿って深浅の主浴槽、フチには細かい長方形タイルがびっしり張られている。おっと、男女壁に小さなタイル絵があるぞ。12枚のタイルに、富士山・帆掛け舟・桜が描かれている。このサイズで前景に桜を配したものは珍しいかも。
 深風呂は43度くらいあって、俺的にはベスト湯温だ。湯に浸かりながら、亀田の試合を思い出して批判的に検討する。

 奥の副浴槽はややぬるめの気泡風呂で、お湯はラベンダーのような入浴剤入り。こいつはなかなかゴキゲンだ。

 昔ながらの浴室だが、ゆるいカマボコ型の天井は新しいパネルで覆われていて美しい。巨大な湯気抜きが意外な開放感を演出している。
 カランはシャワー圧もOKで、生活銭湯としての使い勝手は良好だ。

 11R、亀田の必死のクリンチにはちょっと感動したんだが・・・。その日の出来事をぼんやり反芻するのにもってこいの、静かなプチ銭湯だ。  (06.8.3)
このページの頭名銭湯トップホーム

桜湯

呉市音戸町鰯浜2-7-24
TEL : 0823-51-2895
【営業時間】14:20〜21:00
【定休日】月曜日と金曜日
【入浴料金】大人350円

 狭い「音戸の瀬戸」を隔てて呉半島と向き合う倉橋島。その北端の音戸町にある2軒の銭湯のうち、音戸大橋に近いほうがここ。
 集落内の細い通りを歩くとシズシズと現れる、なんとも風情ある門構え。

 
(左)京都ではありません   (右)「千と千尋」に出てきたな、こういうの

 暖簾は戸の内側にかかっていて、どっちが男湯かわかりにくい。じつは興奮のあまり、間違えて女湯の戸を開けてしまった。お着替え中のバーチャンごめん!
 そんなわけで暖簾の向こうはいきなりタタキに番台。番台と下駄箱は古い木のものだが、意外にも脱衣所は真新しく改装されており、ロッカーもアルミ製。脱衣所の中央には大きな切り株ベンチがデンと置かれている。

 浴室も全面改装のピッカピカ。床と湯舟はココア色のタイル、壁と天井は白で統一されている。なかなか落ち着いた色使い。
 湯舟は男女仕切り壁奥に1槽だけで、内側は尾道の寿湯と同じく3段の階段式になっている。

 ロケーションや外観からかなりの濃厚系を予想しただけに、まったくもって意表を突かれた。  (05.1.8)

 右手の松の木が目印
このページの頭名銭湯トップホーム