チープに極楽。生きててよかった!

関西の名銭湯 【泉州】
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大姉湯 ★ (堺市)(廃業)
深井中央温泉 ★ (堺市)
菊水温泉 ★ (和泉市) 08.5.5
朝日湯 (岸和田市)
桜湯 (岸和田市)
梅湯 (岸和田市)
大将軍湯 ★ (泉佐野市)
白水湯 (泉佐野市)
【大阪府】 大阪市北摂河内泉州

大姉湯

廃業されたもようです。
(2008年)
レポートは営業当時のものです。

堺市神石市之町238
0722-61-8990
【営業時間】 16:00〜20:00

【定休日】 毎週日曜日

 来たがな〜〜。おばあちゃんの家系ミニ銭湯だ。

 当HP読者のTackyさんという方から先月こんな情報が寄せられた。

 先日行ってきた銭湯が印象深かったのでメールした次第です。
 
特徴は、
  1、とにかく小さい(私の入った中では最小の部類)
  2、田舎の銭湯?のような雰囲気
  3、設備が古い(ボロい?貴殿の言うボロ銭かも)

 Tackyさんによると、この屋号は「だいしゆ」と読むらしい。
 ともかくこれはじっとしておれません。さっそく堺へと向かう。JR阪和線の津久野駅から北西に1kmちょい。
 交通量の多い府道30号に面しているが、その立地がじつはスゴイ。今をときめくスーパー銭湯「祥福の湯」から20bくらいしか離れてない!

 屋根はチープなアスファルト拭き。「外観重視」をヒソカなるポリシーとする本コーナーとしてはやや物足りない。
 でも見るがよい、この石橋および玄関の風情。

  
 (左)石橋を渡って・・・  (右)隠れているが下駄箱下のタイルも渋い

  
 (左)そしてこの正面タイル!  (右)靴を脱いだらもひとつ暖簾。戸は開け放たれている

 コンパクトな下足室からさらに暖簾をくぐると、年季の入った木の番台。湯銭は320円と、大阪協定料金より40円安い。

  低い番台に気さくなおかみ

 でこの脱衣場。板の間に木のロッカーがドンと置かれており、木のぬくもりに満ち溢れているんだが・・・せせ、狭い。
 これは確かにTackyさんの言うとおりの極小サイズだ。

  
 (左)言わずもがなの漢数字  (右)つるんつるんの板の間。脱衣場はほぼこの幅です

 浴室の戸を開けると、プーンとほのかないい香りが漂う。むっ、これはまぎれもなく薪を燃やすにおいだな。
 こじーんまりの浴室は、これまで訪れた中では鳥取県倉吉市の大社湯に次ぐ小ささ。床はもちろん石畳、スキマにタイルがはめこまれている。
 湯舟も当然のごとく御影石の深浅2槽、しっかり磨かれている。
 深いほうは43度くらいと熱め、浅いほうは40度くらいか。この規模でちゃんと湯温に差がつけられているとは感動だ。こないだ行った某日帰り温泉施設なんか、いっぱい湯舟があるのに全部同じ湯温だったし。
 暑い夏に熱い湯。じつはこれがものすごくキモチええ。

  ザッツ・オール・・・エンダイラヴユー。

 手前にカランがいくつか並ぶが、その部分は新しいタイルが張られている。天井は男女それぞれ四角錘に湯気抜きが開いている。
 早い時間でもあり、小さい空間ながらも明るくて清々しい。この日同行した堺市在住の湯友・ヒゲヤ氏が、湯舟に浸かりながらポツリとつぶやいた。
 「・・・すばらしい」

 湯上がり、玄関も窓も開け放たれ、扇風機のまわる脱衣場のたまらない爽快感。そしてとても市街地にあるとは思えない田舎っぽい脱力系フィーリング。
 さらに、こんなに小さいお風呂なのに、ちゃんとドリンク販売もしている。嬉しいねえ。

 おかみさんによると、ここは循環装置を設置していないという。
 なんと、驚愕の掛け流し銭湯だったのだ! 水を注いでは、どんどん薪を焚いて沸かす。湯はもちろん毎日すべて入れ替える。
 最近は掛け流し温泉でも塩素投入が問題になっているが、この大姉湯では塩素投入もなし
 「保健所の人が検査に来て、塩素が検出されないと言うんだけど、そりゃ入れてないんだから」

 しかもこの時は我々以外にお客はおらず、はじめからしまいまで貸切だった。経営的には厳しいだろうが、お湯はピッカピカ。そして薪で沸かされた湯はあくまでやわらかい。
 つまり、そのへんのバカ混み日帰り循環温泉よりもずっときれいでいい湯かも。

 スー銭に押されて厳しい状況ながらも、このお湯を守っているほがらかなおかみさん。小さいがきれいに管理されている(決してボロ銭ではない)、気持ちのいい郷愁のお風呂。

 みなさんに言うべき言葉はただひとつ。
 泣きなさい、笑いなさい、そして今すぐ大姉湯へ行きなさい。 (04.7.1)

 (Tackyさん、情報をありがとうございました)
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深井中央温泉

堺市深井北町757
0722-78-0556
【営業時間】 16:00〜22:00
【定休日】 月曜日

 南海高野線の堺東駅からバスに乗るか、歩きならJR阪和線の上野芝駅または泉北高速の深井駅から徒歩15分・・・というやや不便な場所にポツンとある、こじんまりした古い銭湯。
 だが、訪れる価値は高い。

  

 周囲は古くからの民家も残る、大阪近郊にしては味わいのある街並みだが、この銭湯の存在が地域の景観と風情をいっそう高めている。
 印象的な美しい玄関に、温泉マークの渋いオリジナル暖簾が揺れる。もうこれだけで胸がキューン・・・。
 そして中に入ると、これがお出迎えでございます。

  見よ、このツヤ!

 年季の入った木の番台。格子天井に古い扇風機(現役で動くらしい)。小さな庭の横には汲み取り式便所。どこもかしこも約50年前のままだが、ボロい感じはまったくなく、大事に使われてきた様子がうかがえる。
 安っぽいポスター類も貼られておらず、余計なものはなくて実にシンプル。男女の仕切り壁や戸棚も、木のロッカー同様のダークブラウンで統一され、ベージュの塗り壁に見事に映えている。
 美しい空間だ。

 
 脱衣場の男女仕切り壁。せっけん類のショーケースも木製。上の鏡にはロッカーが映っている

 特別に女風呂の脱衣場も見せていただいた。もうめったにお目にかかれない、木のベビーベッドが置かれている。
 「もうこれを使ってくれている赤ちゃんは1人しかいないんです」
 おかみさんはそう言うが、21世紀の今日、この骨董品のようなベビーベッドでオムツを換えられている赤ちゃんが日本に存在していること自体が奇跡に近い。
 毎日ここで体を拭かれた子どもは、間違いなくいい子に育つ。そう断言してしまいたいね、このさい。

 
 「これはおまえの場所だよ」・・・自分の子どもに言ってみたい

 タイル張りの浴室も、主浴槽と、棺桶サイズの浅い副浴槽だけ、というシンプルなもの。入口側の隅にかかり水槽がある。
 ジェットも気泡もなにもないから、とにかく静寂そのもの。沸かされた井戸水が、だまってそこに湧き上がっている。
 こういった小さな古い銭湯は、えてして地元のお年寄り客ばかり、しかも賑やかにしゃべっていたりして、外来者はなんとなく居ずらい雰囲気を感じたりすることがある。が、ここは僕が入った時には客の年齢層にも幅があり、しかも私語はなく、不思議なほどみんな静かに入っていた。
 チャプチャプ、カコーン、のみ。

 この静けさは、まったくもって貴重だ。こんな空間が今どき他にあるだろうか。
 とにかく、近くの人は一度行ってみるべきだろう(現役女子大生の娘さんが番台に座っていることもあるらしいぞ!)。
 南海高野線の堺東駅から南海バス(@番乗り場)に乗ると便利。「深井新町」バス停で下車してそのまま真っ直ぐ徒歩1分ちょい。バスは本数も多い。(04.1.18)

  こんな銭湯のある街角に住みたいねえ
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菊水温泉

和泉市伯太町6−8−13
【営業時間】 16:00〜21:30
【定休日】 木曜日

【入浴料】200円

 らんちゃんに「ここはいいですよ〜!」と強く薦められていた。
 JR阪和線・信太山駅を出て正面の道をまっすぐ(西)へ歩くと、3分くらいで「ゆ」という大きな赤い文字が見えてくる。
 建物はどこにでもありがちな昭和中期型だが、裏へ回るとゆったりした敷地に高い煙突が聳え、脇に積まれた廃材風景がなんとも三丁目の夕日。

 
(左)中央の「ゆ」の字が目印   (右)鯉のぼりでもくくりつけたくなるねぇ

 暖簾をくぐると下足室、なかなかの田舎風情。正面に宝船のモザイクタイル画があり、古い下駄箱の上には他で見たことのない傘入れがある。
 中に入るとけっこう広々している。番台に品のいいおかみさんが座っているが、200円とは嬉しいやおまへんか。

 と、ここで驚愕。この銭湯、違う! 並の風呂屋ではない!
 緑に彩色された格天井や柱などのイニシエ風情もよいが、それ以上に、壁に飾られたレトロな絵や物品の数々に目が奪われる。なんやここは!

 
(左)美しい格天井   (右)入口側の壁

 
(左)番台頭上の激渋ラヂヲ   (右)むむっ、これは・・・

 
(左)恐るべき化粧水広告   (右)マニア垂涎の初代ガッヅィーラ・ポスター

 
(左)バリ島で購入されたものらしい   (右)ロッカー上には明治頃の伊勢参拝絵図

 ほかにもいっぱいあるが、雑然とした感じはまったくない。選び抜かれた品々が、適切な場所にセンスよく配置されている。
 建物と調度品が見事に調和して、まるで脱衣所全体が小さなレトロ美術館のような趣を呈しているのである。もう俺、興奮してフルチンで三脚振り回しちゃったよ。合わせて6本が大暴れだ。

 さて、浴室は素朴な昔ながらの空間だが、ここもまたなにかと楽しめる。
 まず目に留まるのは、浴室の三角に配置された観葉植物コーナー。それぞれに信楽タヌキや大国様みたいな置物が添えられている。
 そして奥壁にはお寺の、男女壁には鯉のタイル絵がある。

 ぷくっと膨らんだ懐かしタイルの主浴槽はやや熱め、奥にある「中将湯」の薬湯はややぬるめ。壁には注意書きがマジックでじか書きだ。
 洗い場にシャワーはないが、カランの出がいいので問題なし。カランの水は冷たくて気持ちがよく、何度もかぶりたくなる。

 あがっておかみさんに聞くと、ここの井戸は300mも掘られたものだという。どうりでなあ。
 「この渋い品々を集められた方によろしく」と言うと、「いま釜で火を焚いてます」とのことだった。

 とにかく、イニシエ風情と趣味のいいコレクション展示がスパーク、しかも水質が抜群によいという、脱帽したくなるようなくつろぎの銭湯だ。 (08.5.1)
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朝日湯

岸和田市春木中町4-21
0724-23-1553
【営業時間】 15:00〜23:00
【定休日】 日曜日

 南海本線春木駅を下車し、駅の南側を東西に走るにぎやかな通りを西へ500メートルほど行ったところ。わりと新しい看板が目立つ。

 トタン屋根に破風造り

 暖簾をくぐると狭い下足室。正面の石のレリーフのようなものは初めて見るが、タイル絵がボロくなって張り替えたのだろうか。

 
(左)謎の石板   (右)玄関の格天井

 戸を開けると、新建材で改装された番台にほがらかなおかみさんが座る。
 天井はそこそこ高いが、壁や天井はビニルクロス張りで残念。ロッカーもほとんど新しいものに換えられていて、全体にこだわりなくパッパと改装してしまったような感じだな。
 が、うれしいことに16個だけ木製ロッカー、しかも「いろは」表示モノが残されている。もちろん僕はそこを使う。

 
(左)いろはにゆへと?  (右)ロッカー開けたらセコイ広告、でも丸正はもう存在しないそうな

 浴室へ。中型の広さ。 天井は男女統一カマボコ天井。
 おやっ、この感じ・・・。男女仕切り壁沿いに、1列にタイル張りの湯船がストーンとあるシンプル配置だが、どっかで見たような。なんとなく湯治場を思い出す・・・。
 わかったぞ、古さ加減といい、今はなき神戸の天王温泉にちょっと雰囲気が似てるんだ。

 手前の深い浴槽の底は薄緑タイルだが、隣の浅い浴槽の底には黄土色のタイルが張られている。黄土色だぞ黄土色、よりによって。そのために湯の色が土色に染まって見え、浴槽配置のみならず中まで天王温泉(含土類重曹泉)っぽいわけね。
 この浅い浴槽はかなり広々していて、気泡とジェット2連つき。奥には電気風呂もある。
 湯船外側の座り段には黒系の不揃い小石型タイル、ああ昭和中期。カラン上の段にはやさしい薄桃色タイル。他の部分も僕好みの渋い色使いだな。

 いや〜、やっぱり天王温泉はいいなぁ(違うって・・・)。
 しかし、こりゃしみじみとくつろぐよ。「トルマリン湯」と書いてあるが、すごくぬくもる感じ。僕が酔ってるせいかいな。カランの水も勢いよく、頭からかぶって冷やしちゃあ湯船に浸かる。出入り口の横に水鉢もあり。
 うむ。ここはなかなかエエ。

 上がりは飲み物販売もあり。感じのいいおかみさんとしゃべってたら、どういうわけか地震の話になり、さらにしみじみとなった。
 壁や天井がビニールクロスで★を逸したが、なんとも居心地のいい銭湯だ。  (04.10.29)

 しみじみ銭湯
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桜湯

岸和田市紙屋町1−1
0724-23-4985
【営業時間】 15:30〜23:00
【定休日】 土曜日

 南海本線岸和田駅を海側へ出て、徒歩10分ちょいかかるかな。正面のアーケード商店街を歩き、五軒家町交差点で左折。堺町交差点を超えて岸和田本町で右に入って200〜300メートルほど行くと、街角に小さな銭湯がひょっこり現れる。
 この、なんともいえない横丁の風呂屋感が実によろすい。この銭湯の最大の魅力はそこですな。

 

 
(左)横から。右が脱衣所、左が浴室   (右)煙突は途中までレンガ四角柱、上はステンレス製

 暖簾をくぐると狭い下足室。おや、正面には浴槽の底で泳いでいるはずのタイル鯉が。

 こんなところで何してる

 戸を開けると番台には50歳代おかみ。狭い脱衣所は味気なく改装済み。ただし便所は汲み取りのまま。

 浴室も全面改装で古さはまったくない。小さいながらもなかなかの設備だ。
 まず、奥にぬるめの薬湯があり、「今日はレモン風呂」と表示しつつ漢方系入浴剤(布袋なし)という騙し絵テクニック。
 そして男女隔壁沿いに電気(ゆるめ)、深、浅(ジェットつき)、小さな水風呂と、サウナ以外は一通り揃っている。この狭さでこれだけ揃うのは珍しい。

 鄙びた外観に似合わず浴室全面改装というのは、僕としてはちょい残念。
 でも、この近辺はちょっと前まで銭湯密集地帯だったのが最近ほとんどつぶれたようで、その中でここが生き残ったのは、この改装があってのものなんだろねえ。
 座り段などに丸い豆タイルが多用されているのが僕的には救いだ。

 平日の夕方だが、地元オヤジらでけっこう繁盛していた。あがりは飲み物もそこそこ揃っている。  (04.10.29)
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梅湯

岸和田市紙屋町4−1
0724-22-5640
【営業時間】 15:00〜23:00
【定休日】 金曜日

 上で紹介している桜湯から100mしか離れていない。まじで。
 しかも暖簾がかかっていなければ廃屋にしか見えない、凄みのある風貌。

 最初、定休日に通りかかったときは、てっきり廃業銭湯だと思い込んでいた。銭湯が次々に廃業している岸和田のこと、こんなに2軒が近接してたら無理だわな・・・。
 ところが次に前を通ったら、暖簾がかかっている!

 
(左)この外壁タイルが渋い   (右)2階は廃墟状態

 暖簾をくぐると、広めの玄関スペース。正面に梅湯らしく梅にウグイスのタイル絵がある。下駄箱は木のものが一部残っているが、多くはアルミ製に替えられている。

 
(左)じつは現役   (右)このタイル絵、ヨイではないか

 戸を開けて中に入ると、番台には誰もいない。呼んでも静寂のみ。番台にお金を置いとこか、でもこういうところは組合料金より安いことがあるしな。料金表もないし、ええわ先に入ったれ。
 脱衣所の壁や天井はチープな合板で貼りなおされている。ロッカーも木のものが一部残っているが、大半は高度成長期的な集製材モノ。だが、鍵がひとつもついていない。全部壊れてます。

 浴室へ。先客が3名いる。
 ありゃりゃ、ここはきれいなタイル張りに全面改装されていて、建物外観から想像した古さはない。深浅の主浴槽と、奥に気泡風呂。隅に水鉢。カマボコ天井も新しい。
 カランまわりも新しくてきれいだが・・・おや? 赤いほうを押しても水しか出えへん。こういうときはしばらく出してたらだんだんと・・・あかん、なんぼ出してもチベタイままやがな!
 仕方なく湯舟の湯をかい出して使う。他客も当然、みんなそうしている。まあ湯舟はなかなかいい湯が沸いている。

 上がると番台にほがらかなばあさんが座っている。湯銭は370円、大阪府料金より20円安い。
 この建物は、ばあさんによると「100年から経ってまっさかい」。隣家と密接しているため建て替えも難しく、今日に至っているとのこと。
 「岸和田も風呂屋が少のうなりました」
 飲み物販売あり。マッサージ器に座ってスコールをしみじみ飲んだ。 (05.11.8)

 玄関から外を見る
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大将軍湯

泉佐野市本町13-14
0724-62-0277
【営業時間】 16:00〜21:30
【定休日】 日、火、木

【料金】250円

 うえ〜んおかーちゃーん、渋いよぉ〜。

 南海電車泉佐野駅の西側から商店街奥の旧市街地へ。5分も歩くと、なにやらもうそのへんのまちなみからして時代がかってくる。
 迷路状の路地をぐにゃぐにゃ歩いていると、高速逆回転していた時計の針がついに振り切れたあたりで煙突発見。表へまわると・・・でででで出たぁ〜!

  
(左)裏の路地で煙突発見  (右)表へまわる。チョンマゲ結ってないのが不自然なまちなみ

 小さいけど懸魚つきの唐破風

 圧倒されるような激古建築物。心拍数がものすごいことになってくる。
 暖簾をくぐると狭い下足室。靴を脱いで中に入ると、番台の横に気さくなオヤジが立っている。360円を払おうとしたら、250円だと言う。ん、250円?
 「えらい安いですねぇ」
 「これも最近250円に上げたばっかしやねん」
 「なんでまたこないに安いん?」
 「いろいろおますのや」
 「商売なりたつんですか」
 「なりたたへん」
 いきなりの失礼な質問にも嫌そうな表情ひとつ見せないオヤジ。エクセレントな人柄だ。

 脱衣所は狭い。最小クラスのプチ銭湯。番台・壁・床・ロッカーなどはチープな合板系で適当に張り直されている。
 男女仕切り壁の上に、天井から大きな提灯がぶらさがっているのがおもしろい。奥に神棚もあり。

 裸になってコンパクトな浴室へ。
 かはーーっ、出ちゃったよー石畳、隙間コンクリ固め。
 湯舟は手前に深い主浴槽、奥に浅い子ども風呂があるが、フチも座り段もすべて素朴な白御影でドドーンと重量級。
 この狭さと石地獄ぶりは、岡山の柳湯あたりに並ぶものだ。わが脳内の渋銭ランキングボードで激しいドラムロールが鳴り響き、Aランクを示す赤ランプが狂ったように点滅している。

 壁上部や仕切りは板張りというのも貴重だ。
 カランは奥壁に2組と、手前にパイプむきだしで2組。「井戸水」と書いてある。シャワーなんかあるわけない。あるほうが不自然だろ。椅子もなし。あったらおかしいって。
 鏡は当然のごとく立った位置。その下にしつらえられた木の手作り棚がいい感じ。

 お湯はたっぷりざんざか、入るとザブーと溢れる。
 最初43度くらいだったがどんどん沸いて、あとから来た他客がうめると、ますますザブー。ていうかもう常時ザーザー流れていく状態だ。
 いや−しかし、これはぬくもるわあ。首までどっぷり浸かって、よく磨かれた石のフチからザバザバあふれる湯を見てるだけで幸せいっぱい気分になる。
 出入り口横に石造りの大きめ水鉢があるのもうれしい。水をかぶっては何度も浸かる。

 奥に釜場へのドアがあってオヤジが出入りしているので、フルチンのまま釜場を見せてもらう。
 そこは目まいを覚えるような年代空間だった。蒸気機関車のような釜口で、周囲はレンガ造り。中でハギレ材や、オガクズを固めたブロックなどが赤々と燃えている。
 「わしんとこはこの銭湯を昭和11年からやってるけど、建物はもっと昔からあった。たぶん大正時代やろ。設備はそのときのままや」
 オヤジは誇らしげにそう語る。

 お客はけっこう途切れずに来ていた。20代の若い客もいる。
 脱衣所に流しはないから、しっかり拭いて上がるべし。
 飲み物販売もなし。そうだろうとも。

 脱衣所はややそっけないが、周囲のまちなみと、オヤジの人柄、値段の安さも含めて、渋銭ファンなら感激確率100%釜場見て120%。
 まさに小さな大将軍だ。  (05.6.9)
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白水湯

泉佐野市鶴原2-6-25
0724-63-1588
【営業時間】 15:30〜24:00
【定休日】 日曜日

【料金】270円、洗髪10円

 南海電車の鶴原駅から西へ数分。車ではキツイ古路地の中に忽然と現われる、古式蒼然たる銭湯。なかなかどっしりとした貫禄で、「ほ〜残っとるなぁ〜」と思わず声が出てしまう。
 こういうのを見つけると嬉しいもんでっせ。ワカル? ワカルよね、こんなページを見ているアナタなら。

 玄関の左右に前栽を備えた伝統スタイル

 
(左)暖簾をくぐると正面ゴチャゴチャ  (右)古い木の下駄箱あり

 アルミサッシ戸を開けると、古くて立派な半円形の木の番台に、無表情なおかみが座る。
 湯銭を問うと、「270円、髪を洗うなら280円」とそっけなく返ってきた。大将軍湯も安いがここも安い。それは嬉しいけど、今どき洗髪10円をわざわざとるって・・・時代が止まっておりますな。

 中型の広さの脱衣所は合板系でそっけなく改装されている。天井は高いがベニヤ張り、前栽には大きな室外機があって風情イマイチ。
 脱衣所と浴室が少し離れていて、間につなぎスペースあり。ここに小さなステンレス流しがこれまたそっけなくポンと設置されている。

 浴室は昭和中期的な細かいタイル張りで、床は数箇所の排水口へ向かって大きく波打っている古いスタイル。
 湯舟は広めの深浴槽と、ジェット2連の浅浴槽。へりと座り段は白御影石で、なかなかよろすい。とくに浅風呂の底の不揃い小石型タイルと壁際の丸い豆タイルが目を引く。
 そして男女隔壁に、これはこれは、タイル6枚に描かれた富士山のタイル絵があるじゃありませんか。
 しかしまー、壁やカランまわりのタイルはかなりくたびれとるな。補修が素人仕事で仕上がりがまあなんちゅーか、あまり見栄えがよろしくありません。
 出入り口横に水鉢あり。
 午後8時前後に入ったが、先客1名、途中から貸切になった。

 上がりは飲み物いろいろあり。
 建物は渋いし、石造りの湯舟やタイル絵など、なかなか味わい深いものを持っている。だが脱衣所や浴室の印象がそっけないというか大雑把な感じがして残念。おかみさんのそっけなさも合わせて、経営モチベーション的にやや心配だ。立地的にもちょっと厳しいのかもしれん。
 それでも、がんばって生き残っている貴重な古銭湯であることは確か。近所の人はぜひ応援しませう。  (05.6.9)

 夜、浴舎を横から見ると一段と風情よし
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