チープに極楽。生きててよかった!
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| 杉乃湯 (北九州市門司区) 黒田湯 (北九州市八幡西区) 寿湯 ★(大牟田市) |
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杉乃湯
観光地の「門司港」とはまた別に「門司」という港町があり、門司区としてはこっちが中心地。フェリーに乗るにはここから無料送迎バスで瀬戸内海側の新門司港へ行くのだが、その前に一風呂あびとこう。 JR門司駅から東へ徒歩10分、戸ノ上1丁目交差点からちょっと坂を下ったところに板張りの渋い銭湯あり。 ![]() (左)新門司港へ続く大通りに面している (右)さりげなくスチームサウナもあるらしい 玄関部分が中に引っ込んで、車が置けるようになっている。その周辺の外壁だけ改装されているが、暖簾の奥にはイニシエ感たっぷりな木の戸が。よか〜。 ![]() (左)ちょっと珍しい造り (右)この色合いがよかですたい 中へ入るとタタキに半円形の番台があり、人のよさげなばあさまが座っている。 年季の入った板張り床の脱衣所には、アラビア数字の書かれた木のロッカーがあり、籐の丸籠も積まれている。シンプルそしてオールド。力の抜けたような銭湯気圧がそこはかとなく漂う。 浴室もシンプルな白タイル、でもけっこう広々しているぞ。 天井はフラットだが高く、長方形の湯気抜きがスポーンと抜けている。 湯舟は真ん中に楕円形の主浴槽、2つに仕切られているのに両方深いのは珍しい。広いほうは43度強の湯でびしっとくる。狭いほうは41度くらいで、弱めの電気風呂になっている。 湯舟のフチには濃紺の細かい長方形タイルがびっしり張られている。 奥にスチームサウナ、強力だ。九州の旅で疲れた我がボデーをここで浄化する。 その横にジェット2連浴槽と、水風呂あり。ああ生き返る。 上がりは、おだやかで話し好きな番台のばあさんと語らう。 神戸から来たと言うと、「震災のときはTVニュースを見てショックで寝込みました」とおっしゃる。 火曜日6時半、先客3人、あとからイレズミ2人。 どこがどうということはないが、古い港町のちょっとくたびれた風情をしんみり味わえる銭湯だ。 (06.5.27) |
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黒田湯
黒崎駅の南側には扇状に商店街が広がるが、不規則に交差する道も多くややこしい。駅から東南東へ徒歩7〜8分、春日神社から南へ伸びる道沿いに「ゆ」の看板が・・・ん? おおっ、この古めかしいオーラはまさに! ブロック塀と庭木に包まれた木造モルタルの建物で、道路から6〜7段上がる。こういう構えの銭湯は関西では見られない。まったくもう、ゾクゾクッときちゃう。 ![]() (左)男女の入口が左右に分かれている (右)このへんはかつて黒田藩の領地だった 営業時間はたったの4時間暖簾の背後には、Uターンするような向きで入口がある。ガラス戸にはトイレの男子用・女子用マーク、これはこの地方ではわりと見かける。 中に入るとタタキに古い木の番台、年季の入ったおかみさんが座っている。 こじんまりした脱衣所だが、天井はけっこう高くて大枠の格子状。 壁や男女仕切りは白壁だが、腰高までは板張りで薄いオレンジ色に塗られている。そこへさらに古い木枠の窓から夕陽が差し込んで、部屋全体が強烈なセピア色だ。こりゃかなりの郷愁空間だぞ。隅に木のベンチとアナログ体重計がある。 ロッカーに戸はなく、一番上にはホコリが積もってたりする。隅にプラ籠や籐の丸籠が積んであり、お客はたいていそれを使っている様子。 小さな浴室へ入ると、床には青色の丸い豆タイルがびっしりと張られている。 湯舟は、真ん中に楕円形のが一つあるだけ。フチは白黒の砂利をクリーム色の材料で固めた洗い出しになっている。 湯舟は2つに仕切られ、狭い浅風呂はぬる目のバスクリン湯。広い深風呂は43度強の白湯。湯舟の底には緑色の丸い豆タイルがびっしり。こういったタイルづかいはマジでもう貴重だ。 今日もよく歩いた。疲れた足腰を熱い湯が黙ってジワ〜ッと癒してくれる。こういう古銭湯のよさがわからんやつは絶対損してるね。 見上げればフラットな天井だけ新しく、長方形の湯気抜きが広く開いている。 でも壁の窓枠などは相当キてる。浴室全体に苔むしたような古さが漂うが、湯舟はしっかり磨かれているようす。 カランにはシャワーなし。でも湯水の出はいいので問題ない。 夜7時前後、先客1人、あとから3人。 建物の老築ぶりや営業時間の短さからも、静かに余生を送っているかのような気配が漂う。 上がりは飲み物販売もなし。こういう場所でじんわり過ごす時間は何物にも代え難い。渋銭ファンは急げ。 (06.5.26) 住宅街で、ここだけ濃厚 |
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寿湯 ★
福岡県最南端、かつて三池炭鉱で栄えた大牟田へとやってきた。 山歩きでヘトヘトな上にJRのダイヤが大幅に遅れ、夜9時をまわって空腹のあまり目まいを覚えながらも、しぶとく銭湯を探して歩き回っている俺。もはや目がイッてるぜ。 大牟田駅から北北西に徒歩7〜8分。飲み屋などの集まる古い繁華街の真ん中に、レトロながらもモダンな香りが漂う古銭湯が忽然と現れた。 なんだかこの界隈の主のようなオーラだ。これはただごとじゃないぞ。細かいタイルの張り巡らされた正面姿にしばしクギヅケになる。 手前は角柱、奥は円柱が支える玄関部はやる気持ちを抑えて暖簾をくぐると、タタキ横の番台に穏やかな表情のおかみさんが座っている。 脱衣所はけっこう広々しているが、まあなんてことなく新建材でリニューアル済み。 それよりまず目についたのは、浴室入口のガラス戸が開けたままになってあることだ。 「開いてますけどいいんですか?」と聞くと、おかみさんはにっこり微笑んで、 「ええ、そのほうが湯気が抜けて涼しいでしょ」とおっしゃる。これは初めての経験かも。なんかちょっと感動。 でその開け放たれて丸見えの浴室だが・・・ああーもう俺今日ここに来てよかった! もうほんとこれはよかった来てすごいここに今日うまいこと来たほんとに何コレもう俺ここは・・・。 あ、あせるな俺、まず服を脱げそしてパンツを脱げさらにタオルとせっけんを持つんだコージ。そしてゆっくりと一歩一歩、前へ進め。 奥壁のモザイクタイル画、いー! ![]() (左)円形主浴槽、いー! (右)循環なしの給湯給水式、いー! これはたまらん。もうなにもかも。何この床タイルの美しさ。何この床の排水の切れ込みの美しさ。何この円形湯舟の美しさ。何この奥壁のモザイク画のデザインの美しさ。そこに貸し切り俺一人。 何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ! そして奥には美しい副浴槽に芳しいハップ湯。いやーもう涙が止まらん。俺、もしかしたらシヌ。涙の出すぎの脱水でシヌ可能性が86%くらいに達している。 た、たまらん・・・地方の古銭湯にしては広々とした空間だ。かつてはさぞや多くの人々が利用したことだろう。その過去の栄光をそのまま今に伝える浴室は、古いがよく手入れをされていて気持ちがいい。 男女仕切りはすりガラス。天井は新しいものに替えられてピカピカだ。 カランまわりも素晴らしく味わい深い。この肌色の石も初めて見たよ。 シャワーはなし。なしでいい。んなもんいりまっかいな。 とにかくもう完全無欠味わうように、ゆっくりと湯に浸かる。やわらかい湯が肌に染み込むようだ。さらに、くたびれ切った足腰にハップ湯とはあまりにも有難い。 しかしまあいかに言うてもなあ。この浴室。この湯舟。この湯。こんなところでこんな出会いがあるとは・・・だからやめられへんわけよ。 開けっ放しの浴室の戸から脱衣所を見ると、脱衣所の外側の窓も全開放で、向かいの飲み屋の2階廊下を行き来する若い男女が見えている。 ということは向こうからも丸見えか。ははは、よかよか! 上がっておかみさんに聞くと、この銭湯の歴史は80年に及ぶという。 空襲で焼けたあと、戦後ブームになったアイスキャンデー屋をするか迷ったが、町の人々の様子を見てやはり風呂が大事と感じ、この銭湯を再建されたそうだ。 「でも2人でないと維持できないので、(私か夫か)どちらかが倒れたら終わりです」 歴史を司るフェニックスよ。奇跡を起こすならば今、ここだ。この銭湯に永遠の命を与えよ。 それにしても、何の用事もない大牟田に宿泊してまで銭湯探索を強行し、ついにこんなに素晴らしい銭湯にめぐり会った俺は、もう無敵の銭湯キング・カズだな。あ、俺の名前はコージだけど。ははは、笑えるぜ。 と一人で悦に入っていたら、おかみさんがこんなことをおっしゃった。 「以前、銭湯研究家の町田忍さんという方が来られて、モザイクタイルの絵をスケッチして行かれました」 ひえ〜。今夜も俺のKO負け。 (07.8.15) 1泊してでも行く価値あり |
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