チープに極楽。生きててよかった!
| 九州の激渋銭湯 【福岡県】 |
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| 大学湯 (福岡市東区) 杉乃湯 (北九州市門司区) 黒田湯 (北九州市八幡西区) 敷島湯 (北九州市八幡西区) 2012.1.18 今泉湯 (北九州市若松区) だるま湯 ★(飯塚市) 2012.2.11 寿湯 ★(大牟田市) |
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大学湯
九州大学の近くだけど、俺が持ってる古い地図には載ってない大きな道路が新しくできててワケわからん。JR駅の位置まで変わってるし。 でもその道路沿いにこの銭湯を見つけた。JR箱崎駅から歩いて北西7〜8分、地下鉄箱崎九大前からなら5分とかからないだろう。 ただし煙突が目立たず、しかも道路からは側面しか見えないので、注意しないと見逃してしまう。 ![]() (左)道路に面した側面 (右)浴室下部にはレンガ塀が残る でも前に回ったら、植え込みの奥に控えた木造の建物がめっちゃステキ。なんか明治時代の小さな校舎みたい。 ![]() (左)ここだけ別世界 (右)銭湯界の最高学府 中に入ると、タタキに木の下駄箱と番台があるイニシエスタイル。 目の前の脱衣場にはスミッコに長椅子がひとつあるだけで、あとは高い天井の下に板張り床が広がるばかりの広々空間だ。木製の脱衣箱がレトロ風味をさらに引き立てる。 人柄素敵なおかみさんによると昭和7年築、床や天井も当時のままだそうだ。 浴室は、奥に深・浅・水の3槽が並び、手前両サイドにカランが配置された東京スタイル。中央に島カランもある。 床は細かいタイル張りで、天井の湯気抜きが横長のかたちをしているのがちょっとめずらしい。 上がりは、番台の手前に飲み物の小さな冷蔵庫がある。 普通は男女仕切り壁に大きな鏡があるが、ここの仕切りは板だけで、鏡は脱衣箱の横の狭いスペースにある。これも珍しいな。 夕方6時すぎ、そこそこお客が来ていた。 でも九州大学は郊外に移転しつつあるようで、大学生らしき若者の姿は見なかった。この歴史的な銭湯の灯を守るのは九大生の必修である、と言っておきたい。 (2010.12.27) 支柱も素敵 |
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杉乃湯
観光地の「門司港」とはまた別に「門司」という港町があり、門司区としてはこっちが中心地。フェリーに乗るにはここから無料送迎バスで瀬戸内海側の新門司港へ行くのだが、その前に一風呂あびとこう。 JR門司駅から東へ徒歩10分、戸ノ上1丁目交差点からちょっと坂を下ったところに板張りの渋い銭湯あり。 ![]() (左)新門司港へ続く大通りに面している (右)さりげなくスチームサウナもあるらしい 玄関部分が中に引っ込んで、車が置けるようになっている。その周辺の外壁だけ改装されているが、暖簾の奥にはイニシエ感たっぷりな木の戸が。よか〜。 ![]() (左)ちょっと珍しい造り (右)この色合いがよかですたい 中へ入るとタタキに半円形の番台があり、人のよさげなばあさまが座っている。 年季の入った板張り床の脱衣所には、アラビア数字の書かれた木のロッカーがあり、籐の丸籠も積まれている。シンプルそしてオールド。力の抜けたような銭湯気圧がそこはかとなく漂う。 浴室もシンプルな白タイル、でもけっこう広々しているぞ。 天井はフラットだが高く、長方形の湯気抜きがスポーンと抜けている。 湯舟は真ん中に楕円形の主浴槽、2つに仕切られているのに両方深いのは珍しい。広いほうは43度強の湯でびしっとくる。狭いほうは41度くらいで、弱めの電気風呂になっている。 湯舟のフチには濃紺の細かい長方形タイルがびっしり張られている。 奥にスチームサウナ、強力だ。九州の旅で疲れた我がボデーをここで浄化する。 その横にジェット2連浴槽と、水風呂あり。ああ生き返る。 上がりは、おだやかで話し好きな番台のばあさんと語らう。 神戸から来たと言うと、「震災のときはTVニュースを見てショックで寝込みました」とおっしゃる。 火曜日6時半、先客3人、あとからイレズミ2人。 どこがどうということはないが、古い港町のちょっとくたびれた風情をしんみり味わえる銭湯だ。 (06.5.27) →北九州旅行記 |
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黒田湯
黒崎駅の南側には扇状に商店街が広がるが、不規則に交差する道も多くややこしい。駅から東南東へ徒歩7〜8分、春日神社から南へ伸びる道沿いに「ゆ」の看板が・・・ん? おおっ、この古めかしいオーラはまさに! ブロック塀と庭木に包まれた木造モルタルの建物で、道路から6〜7段上がる。こういう構えの銭湯は関西では見られない。まったくもう、ゾクゾクッときちゃう。 ![]() (左)男女の入口が左右に分かれている (右)このへんはかつて黒田藩の領地だった 営業時間はたったの4時間暖簾の背後には、Uターンするような向きで入口がある。ガラス戸にはトイレの男子用・女子用マーク、これはこの地方ではわりと見かける。 中に入るとタタキに古い木の番台、年季の入ったおかみさんが座っている。 こじんまりした脱衣所だが、天井はけっこう高くて大枠の格子状。 壁や男女仕切りは白壁だが、腰高までは板張りで薄いオレンジ色に塗られている。そこへさらに古い木枠の窓から夕陽が差し込んで、部屋全体が強烈なセピア色だ。こりゃかなりの郷愁空間だぞ。隅に木のベンチとアナログ体重計がある。 ロッカーに戸はなく、一番上にはホコリが積もってたりする。隅にプラ籠や籐の丸籠が積んであり、お客はたいていそれを使っている様子。 小さな浴室へ入ると、床には青色の丸い豆タイルがびっしりと張られている。 湯舟は、真ん中に楕円形のが一つあるだけ。フチは白黒の砂利をクリーム色の材料で固めた洗い出しになっている。 湯舟は2つに仕切られ、狭い浅風呂はぬる目のバスクリン湯。広い深風呂は43度強の白湯。湯舟の底には緑色の丸い豆タイルがびっしり。こういったタイルづかいはマジでもう貴重だ。 今日もよく歩いた。疲れた足腰を熱い湯が黙ってジワ〜ッと癒してくれる。こういう古銭湯のよさがわからんやつは絶対損してるね。 見上げればフラットな天井だけ新しく、長方形の湯気抜きが広く開いている。 でも壁の窓枠などは相当キてる。浴室全体に苔むしたような古さが漂うが、湯舟はしっかり磨かれているようす。 カランにはシャワーなし。でも湯水の出はいいので問題ない。 夜7時前後、先客1人、あとから3人。 建物の老築ぶりや営業時間の短さからも、静かに余生を送っているかのような気配が漂う。 上がりは飲み物販売もなし。こういう場所でじんわり過ごす時間は何物にも代え難い。渋銭ファンは急げ。 (06.5.26) →北九州旅行記 住宅街で、ここだけ濃厚 |
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敷島湯
JR黒崎駅から東へ歩いて線路を北へくぐり、右折する。 ゆるくくねった狭い道を5分ほど歩いたところで突如、金縛り発作に見舞われた。 これは銭湯なのか? 百戦錬磨フロバカ野郎の俺様をして、過去に見たことのない風貌の銭湯が忽然と現れた。 小ぶりな建物全体がレンガ造りのようだが、ただのレンガではない。色は暗い灰色で、質感がゴチッとしてるのよゴチッと。 これが噂に聞く鉱滓レンガというやつか。 ぶつかったら骨折確実この硬質感と重量感、そして全面や側面に開けられた小さな窓など、まるでトーチカを思わせるような防衛力に身震いしそうな興奮を覚える。 建物の横奥に燃料の廃材が積んである。 ![]() (左)入口は玄関の両サイド (右)2段下がって入る ドアを開けて入ると正面に番台があって、柔和なおかみさんが座っている。脱衣場からは少し奥まったように見える位置だ。 小さなタタキに靴を脱いで脱衣場へ上がると、使い込まれた木の床が足裏に心地よい。外観とは異なって、見慣れた感じのこぢんまりとした素朴な脱衣場風景だ。 脱衣箱がないため、狭い感じがしない。 ![]() (左)番台とタタキ周辺 (右)タタキの床タイルと木の下駄箱が渋い ![]() (左)浴室入口は水色ペンキ広島風 (右)脱衣籠と貴重品ロッカーのコンビ ![]() (左)いにしえ〜な鏡 (右)そして浴室 浴室は意外に、といってはナンだけどカラフルですっきりしている。中央に角なし長方形の主湯がポンとあり、ちょうどエエ按配の湯が沸いている。奥の副浴槽は使われておらずカラッポ。 カランまわりは適度に改装され、6人分のうち4つにはハンドシャワーもついていて使い勝手は悪くない。 ![]() (左)この外側はあの鉱滓レンガ壁ね (中)男女壁上部は摺りガラス (右)奥から脱衣場方面 相客は最初2人いたが途中から貸切になった。 しかしまあ寒風吹きすさぶ玄界灘にほど近い九州黒崎の街外れ、ゴチッとした鉱滓れんがに徹底的に守られた小さなシェルターでぬくぬくお湯に浸かっているという異次元状況は何ともいえん。わしゃこんなとこで何しとる? 上がって聞くと、おかみさんは昭和34年にここに来られたのでそれ以前のことはわからんとおっしゃる。が、84歳の常連客が「小さい頃ここで遊んだ」とおっしゃっているらしいから、少なくとも80年くらい前からはあったんだろう。 「もうやめようと思って浴室も直してないんです」 おかみさんはそうおっしゃるが、フロバカとしては日本滅ぶともこの頑丈で貴重な銭湯だけは戦火を行き抜き、未来永劫ここでお湯を沸かし続け人々を暖め続けてくださることを願うばかりだ。 (2012.1.5) 脱衣場に飾られたステキ絵 |
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今泉湯
JR若松駅から北東へ徒歩5分ほどだが、若松へは戸畑から渡船に乗るほうが楽しいもんね。 若戸渡船の船着場から西へ10分たらず、アーケード商店街の1筋北の裏通りに、赤い「ゆ」の突き出し看板がかわいらしく見えてくる。 が近づくと、情緒ある出格子に不似合いに掲げられた「バスハウス今泉 営業種目」「軟水風呂」の大看板が銭湯魂のようなものを主張していて、ちょっとドキッとさせられる。 赤い看板の横から中へ一部屋分ほど掘り込んだようになっていて、その奥に左右分かれて男女別の入り口がある。 女湯入り口、ガラスの柄が素敵中へ入るとタタキに木の番台があるが、誰もいない。浴室の奥に着衣姿の男性の姿が見えるけど、もう掃除が始まっているのか。 その人は俺に気づくと脱衣場へ出てきて「どうぞ」とおっしゃる。時計を見ると8時50分、ぎりぎりだ。 少し遅れて母親らしきおかみさんも出てこられ、「いつもの最後の客が帰ったら閉めちゃうから」。 この時刻の飛び込み客は嫌がられることが多いけど、そんなそぶりもなく番台にお座りになった。 ![]() (左)番台周辺 (右)丸籠と小さな脱衣箱 さっさと脱いで丸籠に放り込み、湯気の立ち込める浴室へ。 ![]() (左)島シャワーとプランター? (中)ゆるいフチのカーブ (右)ガラスブロックの男女壁 中央にそびえるシャワー壁の存在感がなんとも不思議な感じだ。小石型ふぞろいタイルが細かく貼られている。 床も細かいタイル張り、奥にまとめられた湯船も豆タイル張りだが、そのフチが微妙に波打っている造形もじつにおもしろい。今どきの新しい入浴施設じゃこんな湯船は絶対に作られないもんなぁ。 その湯船は深・浅と、壁で仕切られた打たせ湯のようなスペースに分かれている。お湯はアッチッチがどんどん出てきて、隅の大正カランをひねって水で埋めずには入れない。だが軟水だけあって肌ざわりが心地よい。 小雨ぱらつく寒い冬の夜。小さな渡船で洞海湾を渡り、古い銭湯の誰もいない浴室でこんなアッチッチのお湯に浸かっている、この異次元感覚がたまらない。 疲れも霧散し、全身が湯気を発するポカポカ状態で上がる。閉店時間を15分もオーバーしてしまった。 「この建物は100年から経ってる。このへんは戦災もなかった」 あまり愛想のないおかみさんだが、俺が帰るまでずっと番台で話に付き合ってくれた。ごめんなさい、次回はもう少し早い時間にまいります。 (2011.1.5) 風呂上り、ひんやり雨上がり |
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だるま湯 ★
筑豊炭田が華やかなりし頃はさぞや栄えたであろう飯塚も今はレトロタウンとなり、銭湯もここ1軒のみとなった。 でその最後の1軒がアンタ。わしゃ泣いたね。 ちょっとさみしげなアーケード商店街の入口を通り過ぎて、狭い路地を覗いたらアンタ。 ![]() (左)古い建物に「だるま湯」との小さな看板あり (右)路地奥から、この渋さ! 暖簾は通りから見えないああこれこの銭湯この立地この風情この奥ゆかしくも清楚にして純朴なるしっとり感が美しくもだがしかし堂々とゆるぎなき構えの銭湯銭湯これやこの。 フツーに言うならね、雰囲気がね、エエわけよ。 んでまた中に入ったらタタキに番台のおばちゃん品があって温かく、郷愁感に満ち満ちた由緒正しき風呂屋のすっきり空間心地よし。 古そうだがずいぶんしっかり磨かれていて、清潔度きわめて高し。 ![]() (左)木製脱衣箱シビレル〜! (右)浴室方面 我慢できずマッハでマッパになって浴室へ。 と、、、、でたー、円形浴槽!! ![]() (左)完全無欠これひとつ (右)美・サイレント 清楚なタイル床の中央にしずしずと置かれた真ん丸い湯船。 フチや側面、内側底面の豆タイル。 美しい。まったくもって美しい。このまま背負って日本縦断の旅に出たい。 やや熱めのお湯もたまらなく気持ちがよい。なにこのお湯! カランまわりは新しく手を入れられ、シャワーも快調で使い勝手きわめてよい。 男女仕切りがスリガラスになっていて、そこはかとなくアチラの影が映ったりするのもまたよし。その突き当たりにある洋風タイルの謎な飛び出しもおもしろい。 天井が高く、のびのび感に包まれるのも最高。 さびれつつある町の最後の1軒だからもっとオンボロな感じを想像してたけど、その期待は裏切られた。もちろん完全によい意味で。 愛情をもって隅々まで磨き上げ、細心のメンテナンスを心がけておられることがひしひしと伝わってくる美しさ、快適さだ。 今はなき四国徳島の貞光温泉を思い出した。 惜しくてなかなか上がる気になれなかったが、きりがないので後ろ髪を引かれながら上がると、番台はおやじさんに代わっていた。 聞くと、昭和3年築だという。 水道水を重油で沸かしているが、天然石から作ったセラミック材で濾過しているから水質がいいんだよと教えてくれた。 このおやじさんもまた人当たりがよくて、ほっとするようなお人柄だ。 なんかもう万歳ね、だるま湯万歳! 水道水でこれだけ幸福な気分になれるんだから、もう温泉なんてどうでもいいや。 でもこのときは貸切状態の時間が長かったのでちょっと心配。 JR新飯塚駅から歩いたら15分くらいかかったけど、バスセンターからなら5〜6分。福岡市内へはバスのほうがばんばん出てるので便利よさげ。 とにかく、だるま湯へ行かざるは損。 (2012.1.5) |
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寿湯 ★
福岡県最南端、かつて三池炭鉱で栄えた大牟田へとやってきた。 山歩きでヘトヘトな上にJRのダイヤが大幅に遅れ、夜9時をまわって空腹のあまり目まいを覚えながらも、しぶとく銭湯を探して歩き回っている俺。もはや目がイッてるぜ。 大牟田駅から北北西に徒歩7〜8分。飲み屋などの集まる古い繁華街の真ん中に、レトロながらもモダンな香りが漂う古銭湯が忽然と現れた。 なんだかこの界隈の主のようなオーラだ。これはただごとじゃないぞ。細かいタイルの張り巡らされた正面姿にしばしクギヅケになる。 手前は角柱、奥は円柱が支える玄関部はやる気持ちを抑えて暖簾をくぐると、タタキ横の番台に穏やかな表情のおかみさんが座っている。 脱衣所はけっこう広々しているが、まあなんてことなく新建材でリニューアル済み。 それよりまず目についたのは、浴室入口のガラス戸が開けたままになってあることだ。 「開いてますけどいいんですか?」と聞くと、おかみさんはにっこり微笑んで、 「ええ、そのほうが湯気が抜けて涼しいでしょ」とおっしゃる。これは初めての経験かも。なんかちょっと感動。 でその開け放たれて丸見えの浴室だが・・・ああーもう俺今日ここに来てよかった! もうほんとこれはよかった来てすごいここに今日うまいこと来たほんとに何コレもう俺ここは・・・。 あ、あせるな俺、まず服を脱げそしてパンツを脱げさらにタオルとせっけんを持つんだコージ。そしてゆっくりと一歩一歩、前へ進め。 奥壁のモザイクタイル画、いー! ![]() (左)円形主浴槽、いー! (右)循環なしの給湯給水式、いー! これはたまらん。もうなにもかも。何この床タイルの美しさ。何この床の排水の切れ込みの美しさ。何この円形湯舟の美しさ。何この奥壁のモザイク画のデザインの美しさ。そこに貸し切り俺一人。 何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ何これ! そして奥には美しい副浴槽に芳しいハップ湯。いやーもう涙が止まらん。俺、もしかしたらシヌ。涙の出すぎの脱水でシヌ可能性が86%くらいに達している。 た、たまらん・・・地方の古銭湯にしては広々とした空間だ。かつてはさぞや多くの人々が利用したことだろう。その過去の栄光をそのまま今に伝える浴室は、古いがよく手入れをされていて気持ちがいい。 男女仕切りはすりガラス。天井は新しいものに替えられてピカピカだ。 カランまわりも素晴らしく味わい深い。この肌色の石も初めて見たよ。 シャワーはなし。なしでいい。んなもんいりまっかいな。 とにかくもう完全無欠味わうように、ゆっくりと湯に浸かる。やわらかい湯が肌に染み込むようだ。さらに、くたびれ切った足腰にハップ湯とはあまりにも有難い。 しかしまあいかに言うてもなあ。この浴室。この湯舟。この湯。こんなところでこんな出会いがあるとは・・・だからやめられへんわけよ。 開けっ放しの浴室の戸から脱衣所を見ると、脱衣所の外側の窓も全開放で、向かいの飲み屋の2階廊下を行き来する若い男女が見えている。 ということは向こうからも丸見えか。ははは、よかよか! 上がっておかみさんに聞くと、この銭湯の歴史は80年に及ぶという。 空襲で焼けたあと、戦後ブームになったアイスキャンデー屋をするか迷ったが、町の人々の様子を見てやはり風呂が大事と感じ、この銭湯を再建されたそうだ。 「でも2人でないと維持できないので、(私か夫か)どちらかが倒れたら終わりです」 歴史を司るフェニックスよ。奇跡を起こすならば今、ここだ。この銭湯に永遠の命を与えよ。 それにしても、何の用事もない大牟田に宿泊してまで銭湯探索を強行し、ついにこんなに素晴らしい銭湯にめぐり会った俺は、もう無敵の銭湯キング・カズだな。あ、俺の名前はコージだけど。ははは、笑えるぜ。 と一人で悦に入っていたら、おかみさんがこんなことをおっしゃった。 「以前、銭湯研究家の町田忍さんという方が来られて、モザイクタイルの絵をスケッチして行かれました」 ひえ〜。今夜も俺のKO負け。 (07.8.15) 1泊してでも行く価値あり |
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