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【京都市西部】の激渋銭湯 (今出川通り以南、堀川通り以西、京都駅以北) |
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花の湯 (北区)★ (廃業) 椿湯 (北区)(廃業) 源湯 (上京区) 長者湯 (上京区)★ 京極湯 (上京区)★ 田原湯 (中京区) 芋松温泉 (中京区)★ 名倉湯 (下京区) 稲住湯 (下京区)★ 昭和湯 (右京区) (廃業) 鹿王湯 (右京区) 桂湯 (西京区) |
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京都市北部/京都市東部/京都市西部/京都市南部/京都府下の銭湯 | ||||||||||||
花の湯★ (廃業)
わが出身校の近くやけど、なぜか入ったことなかったなあ。らんでん北野線の等持院駅の真ん前。踏み切り渡って3秒で暖簾ですのや。 ![]() ![]() (左)北側から。右が駅ホーム、電車の背後の▲屋根ね (右)すぐ右側が駅横の踏み切り 2階建て町屋に玄関部分だけ増設した外観。その玄関先のステンドガラスがいかしてるやないの。 ![]() ![]() (左)踏切を渡ったところから (右)正面から、て書かんでもわかるっちゅーの 玄関を入ると狭い下足スペース。で脱衣所への入口は、170cm以上の人はちょっとしゃがんで入るような、不思議の国のアリスちっくなサイズですのや。 中に入ると番台があるが、おやっさんは遠慮して男湯のほうに椅子を置いて座っている。そういう時代なのね。 脱衣所は狭いが、なかなかのイニシエ色やないの。パステルグリーンと白に彩色された立派な折り上げ格天井。男女壁も古いし、神棚もある。 そして浴室入口の上部には天橋立のタイル絵がずーっと女側まで続いてるぞ。女湯のほうは厳島神社の鳥居のようだ。すばらしい。 アルミ製の脱衣箱は15個くらいしかなく、下2段はタナのみ。そのかわり長方形の黄色いプラ籠がどっさり積んである。 浴室もコンパクトだが、おっと京都には珍しく、ど真ん中に深浅の主浴槽(ジェット&ブクブクあり)だ。その奥にはデンキ湯と薬湯(緑)が並んでいる。 そしてこの奥壁にも一面に壁画、今度はモザイクタイルで富士山と湖がデデーン。いやーよろしおす。 手前には乾式サウナと水風呂もあって京都らしい充実装備。もうなんぼでも長風呂できますのや。 ただおもしろいのは、タイル床面の凹凸。排水口に向かって傾斜があるのは普通だが、ここはそれとは無関係に、微妙に盛り上がったりへこんだりしているところがある。 じつにおもしろい。これはぜひとも直さないでほしいものだ。 上がりは飲み物販売あり。身長計やぶら下がり健康器もあるし新聞雑誌漫画も設置されてますのや。 というわけでレトロ感ありつつ設備もサービスもよし、ナイス。 (2009.2.28) ※2012年6/9、関西てくてく銭湯開催! |
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椿湯 (廃業)
JR円町と嵐電の北野白梅町の間くらいの交差点、大将軍。 西へ曲がると、突出した唐破風がすぐに見えてくる。でも2台の自販機が邪魔で、真ん前まで行かないと暖簾が出ているかどうかはわからへん…やってておくれ〜。 ![]() ![]() (左)唐破風は見えるが (右)正面に来てやっと営業がわかる ![]() ![]() (左)なんとなく京都らしい靴揃え (右)入口 中に入ると、番台に70近いおかみさんが座っておられる。 脱衣場は伝統的な格天井だが、そのすぐ下の壁には力士の手形サイン色紙がズラリと並んでいて壮観だ。 おかみさんに聞くと、京都巡業のときにみんなで入りに来たという。若乃花がこの銭湯家の子どもを抱っこしている写真があるが、その子はもう20歳だそうだ。 脱いだ服は黄色いプラ籠に入れ、次いで籠ごと脱衣箱に入れる京都式。 浴室はええ具合に古びているが、設備はわりかし充実している。 奥壁に接して、深・浅・デンキがあり、湯はやや熱めで俺好み。 左奥に白濁した薬湯があって、白い裸婦像の白い坪から白い湯が注がれている。ここはややぬるめ。 入口近くにはサウナと水風呂がある。水風呂よいねー。 壁画などはないが、古びた湯船がええ味を出している。男女仕切り壁のタイル使いもやや変わっている。 それにしても明るいうちからの長風呂最高ね。湯船のヘリで座り込んでウツラウツラしているおやじもいる。 風呂に入っている間はすいていたが、あがって脱衣場でのんびりしていたら、いつの間にか混んできて満員になった。 飲み物販売の種類も多くてよい。 日曜日はなんと朝から通しでやっているらしい。そして定休日には歌声喫茶みたいなイベントも行っておられるようだ。 なかなかに独自の味わいを醸している銭湯やな〜。 玄関を豪快に挟んでいる自販機を撤去して小さな植木を置くなどしたら、さらに京都らしい風情を演出できるだろう。この点ちょっともったいない。(2015.11) |
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源湯
JR嵯峨野線の円町駅から北へ500〜600m、大将軍交差点の2筋南を東へ入ると、紙屋川のほとりに煙突がそそり立つ。 小さな橋のたもとに銭湯、いかにも京都の風情だ。 ![]() ![]() ![]() 暖簾をくぐると、穴あき金属製フタのついた下駄箱。これは珍しい。 ![]() ![]() (左)下駄箱、中の靴が見える (右)玄関正面、全体的にすりガラスっちゅーのも珍しい 脱衣所は側面だけ折り上げになった格天井。小さな前栽の風情よし。 壁やロッカーなどはてきとうに改装されていてイニシエ度はさほど濃くない。が、壁に色紙や面、タヌキの剥製、船のかじ、木刀など、いろんな骨董品がきれいに陳列されていて、ちょっと不思議な雰囲気の空間だ。 浴室は中型、カマボコ天井に四角い湯気抜き。正面の壁に連山と湖のモザイクタイル画がある。 男女隔壁に接して、京都的な小さめの深浅主浴槽。ビーナスがまたがったイルカの口から湯がドバドバ出ている。温度は43度くらいかな、手足がかじかんでいたため、熱い湯好きな僕もさすがにすぐには入れない。 奥に漢方薬湯があり、こちらは41度くらい。まずはこっちで体の凍結を解きほぐしてから主浴槽へと。あ〜キモチえ。湯舟には竹炭の入った白い袋が沈められている。 奥壁のモザイク画を一部壊してスチームサウナが増設されている。そしてもちろん水風呂もあり。鯉の口から水が出る。井戸水かな、たいへんキモチよろし。 さらに、浴室出入り口の左にジェット2連と電気風呂。ジェット風呂は赤外線ランプの色が変化するタイプ、ここにも竹炭の入った袋が入っている。 カランまわりは渋い色合いの京都的タイル、段も広くて使い勝手よし。 いやー設備的には申し分ないわ。水風呂を経由しつつ各湯舟を往復するうち、外じゃ雪が降ってることなんて屁でもなくなるねぇ。 上がりは飲み物いろいろ、きんかんドリンク飲む。 おやっ、番台上に「明日あります」の木製箱看板が。内側で黄色いランプがほの光る。これ激渋! 地味目だが設備十分かつ味わい深い銭湯だ。近所にほしいよ〜。 (2005.2.1) ![]() ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 ![]() |
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長者湯 ★
古い建物、狭い空間をいかにうまく改装して激渋銭湯にするか。その一つの完成形がここにあるのでございます。 智恵光院上長者町を東へ入ったところ・・・って言っても京都に住んだ人以外にはわからんな。二条城を北へ約1km少々、市バスは「智恵光院中立売」が近い。 お向かいは散髪屋さんという生活感あふれる街角に、唐破風の小屋根が美しい。 ![]() 牛乳石鹸の暖簾をくぐると、板の間の上がりがまちに木製の下駄箱があるが、このサイズが小さい。僕の足は25.5だが、それでも斜めに押し込まないとフタができない。昔の人の足のサイズなんだろなあ。 ![]() 番台は、フロントのように出入り口のほうを向いている珍しいスタイル。ばあさんが愛想よく座っている。 こじんまりとしたプチ銭湯だが、窮屈に感じさせない工夫が随所に凝らされている。 男女の仕切り壁には床から全身が映る大きな鏡がはめ込まれ、その上の欄間にはみごとな透かし彫り。木のロッカーのフタにはガラスがはめられていて、中の籐籠が透けて見える。ロッカー横は壁が奥に入り込んでいて、そこにマッサージ器が置かれているので邪魔にならない。 和風の感じのいい前栽があり、古い木枠の窓が開け放たれている。庭があっても池に水が張られていない銭湯が多いが、この庭の池にはちゃんと鯉や金魚が泳いでいて、岩の上から水が落ちるようになっている。もみじの木もいい。 庭の手前にはソファーとテーブルが置かれ、その上部で扇風機が2台、元気よく回っている。 ガラスや鏡の多用、大きな開口部などによって、狭くても圧迫感はまったくない。 浴室への戸の上部に金閣寺のタイル絵(ビューチフル)があるのがひときわ目を引く。端に「平安建都1200年」と書かれてあるから、書かれてまだ数年しか経っていない新しいものだ。 浴室もこじんまりだが、こちらはピカピカに改装されていて古さはない。そしてここにも最少スペースで最大効果を上げるべく、きめ細かな工夫が凝らされている。 天井はさほど高くないが湯気抜きが大きく開口しており、空が見える。 湯船は、男女仕切り壁側に、深浅浴槽+ジェット+電気(弱い)の主浴槽。カラン2つを挟んで奥に、白濁した酵素入り薬湯の湯船がある。 出入り口左に水風呂。この規模の銭湯では珍しく、しっかりと冷たくキープされている。 タイルはすべて新しく、美しい。 さらに脱衣場との境目が全面ガラス張りになっている。関西では珍しい。 脱衣場の向こうにある庭の戸も開け放たれているから、湯船に浸かりながら庭の緑や、さらに外壁の小窓を通して向かいの家の瓦屋根までが眺められる。 狭さを逆に活かしきって視野を広くとるという見事な演出だ。 2人対面の島カランにも、ちゃんとシャワーと鏡までついている。こんなの初めて見た。この広さでカラン14個を配置しているのは素晴らしい。それでいて窮屈さが感じられない。 随所に見られるきめ細かな工夫とサービス精神、ガラス張りの透明感、和風建築の伝統美、そしてすみずみまで行き届いた手入れ。 狭い土地に生きてきた人間の英知を結集した、まさに小型銭湯のお手本となるべき美しい銭湯だ。パーフェクト。 ※オリジナルポストカード番台にて発売中。買って帰ろう! ※2010年9/26、ふろいこか〜ラジオに登場! ※2018年9/22、「長者湯100年祭」開催! ![]() |
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京極湯 ★
千本中立売バス停から徒歩5分。かつて賑やかな繁華街だったが今や静かな住宅地になりつつある西陣京極の狭い通りに、1軒の渋い風呂屋あり。 その風貌やれんが煙突のイニシエっぷりは素晴らしいが、玄関の門に掲げられたポップな水玉模様の電飾看板もまたかわいらしい。 ![]() ![]() (左)しびれる煙突 (右)花灯篭と石畳のアプローチが泣かせる 門から奥へ、よその家に上がりこむかのような感覚が素敵すぎる。 暖簾をくぐると、昔の京都や西陣京極界隈を思い出させる写真などが飾られている。ここで年寄りを泣かそうという魂胆だ。 ![]() ![]() (左)玄関正面には、ありし日の市電の写真 (右)下駄箱の上には古い映画ポスター 脱衣場へあがると、京町屋の居間を思わせる脱力空間。ここにも店主の趣味物品がさりげなく飾られていて見どころ多し。 そしてロッカー上には、出ました柳行李! 周辺の西陣京極の店の屋号が入っている。 ![]() ![]() (左)番台周辺 (右)番台にはこんなモビールも ![]() ![]() (左)レミスじゃないよ、スミレだよ (右)サカタにウサギヤ、右読みです 浴室の手前には凝ったタイルスペースがあって、なんだかドキドキどすえ。 ![]() ![]() (左)浴室手前の芸術的な流し台 (右)カラフルなタイル 浴室はスッキリ鰻の寝床型、すみずみまで磨きぬかれ系。京都スタンダードな熱めの深浅ジェット、無料乾式サウナ、そして地下水掛け流しの水風呂という黄金コースで何度も昇天だ。 ![]() ![]() (左)床のタイルが渋い (右)女湯の水風呂はクランク状になっている。水に溶けない本あり 荷物を預けて入浴前に走りに行けるランナー応援銭湯は最近増えているようだが、ここ京極湯は「風呂に入らなくても可」だというから腹のくくりっぷりはハンパじゃない。惚れずにいられようか京極湯。 (2012年6月) ※2012年6/26、ふろいこか〜ラジオに登場! ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 ![]() |
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田原湯
碁盤の目になっている京都街区をナナメに貫く反逆者、後院通。 四条大宮からその交通量の多いナナメ道路を数分歩くと、思いっきり道路に面してこの銭湯が現れる。 ナナメ道路に面してはいるが、建物は伝統的な町家スタイルで、しっかり南を向いている。そのため母屋前に3角形の空き地があり、そこに増設された玄関部分と自転車置き場がある。 増設された玄関部分は飾り気がないというか無表情というか、後院通の交通量の多さも加わって、京都らしいしっとり感はなくてやや殺風景な印象。 ![]() ![]() (左)ナナメの後院通に面しながらも右側路地は南北 (右)3角地帯の景観 玄関を抜けて脱衣場に上がると、そこそこ改装されて古いものはあまり残っていないが、番台周辺から上部の窓にかけては脱力を誘う古都の郷愁感が漂っている。 浴室入口の上には富士山のモザイクタイル画がある。でもその手前に、浴室改装時に設置されたと思しき和風の庇があって、絵が隠れて見えにくいのが残念だ。 浴室は全面改装スミ。 中央に深・浅・デンキが並び、手前にジェット系、奥にサウナ・水風呂・薬風呂というラインナップが揃う。どこもピカピカの清潔感にあふれて心地よし。 イニシエ度はさほど高くないが、立地よし、風呂よし。あとは玄関部分の外観にもうちょいウルオイや風情の演出を加味すれば、この地域の「顔」になる可能性を秘めているといえそうね。 (09.6.24) |
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芋松温泉 ★
阪急西院駅から四条通を東へ、御前通り一つ東の信号の、もひとつ東の辻を上がって400メートルくらい。市バスなら「四条中新道」が近い。 狭い路地が交差する一角に佇む、京都らしい風格の外観。銅拭きの唐破風の小屋根の下に、金文字で「泉温松芋」と右書きされた木の看板が渋い。 ![]() ![]() ガラガラっと木の引き戸を開けると、いきなり番台がある。土間で靴を脱ぐ前にお金を払う古いスタイルだ。 脱衣場は広め。しかも土間とひとつながりになっているから、かなりの空間が広がっている。男女の仕切り部分の3本の大黒柱などに古い木造建築の味わいがあるが、いたんだ部分部分を適宜補修していった感じで、ロッカーは新しい。 浴室へ・・・おっ、誰もいない。貸切だ!(夕方5時半ごろ) 天井は湯気抜きの上部まで真新しい青ペンキで塗られていて、壁はきれいな白タイル。そのせいで、重厚な建物外観のわりに浴室全体が明るい感じだ。タイル絵などの装飾はない。 メイン浴槽は、女湯との壁際に2〜3人サイズが浅・深・ジェットの3浴槽。大阪と違って浴槽のフチ外側に腰を掛ける段がない。このフチ外側には不思議な形のえんじ色タイル。へりには角が丸くカーブした青いタイルが貼られていて、手触りが優しい。 このメイン浴槽は多量のお湯がなみなみと供給されていて、ジェットの勢いでへりからどんどん溢れ、床のタイルを流れて下水の溝へ消えていくという、まるで掛け流し温泉のようなことになっている。時間の早さや貸切状態ということもあってか、お湯がとにかくピッカピカ。どえりゃー気持ちエエど。 沸かし口のある中央の深い浴槽は、やや熱めの43度くらい。そこから浅い浴槽とジェット浴槽にオーバーフローしていくパターン。 ほかに、奥に小さな入浴剤風呂と電気風呂、入口横に水風呂がある。それぞれに多種多様な細かいタイルがセンスよく貼られている。しかも昔懐かしい1×2cmの小さな長方形タイルが多用されていて、じつに楽しい。 とくに水風呂は、ふちのへりにカマボコ状のカーブがつけられていて、そこにも小さなタイルが行儀よくびっしり。へりに手をかけるとちょうどスポッと手のひらに納まる感じ。気持ちよくて、しみじみと撫で回してしまう。 しかも、ここから溢れた冷たい水が洗い場へ流れて行かないように、水風呂の外側の床に高さ数センチの小さな壁(これもカマボコカーブに小さなタイル、土ふまずを乗せると気持ちいい)をつくってある。細かな配慮に、体は冷えても心も温まる。 これまで出会った水風呂の中でも最高級の逸品だなぁ。 洗い場はカランの位置が低く、腰痛持ちの僕にはチトきつい。が、鏡の下に一段あって便利。ここも多様なタイルがきれいに貼られていて、気持ちがいい。 そしてこれも懐かしい、丸椅子大の円柱にカランが設置されているのもあった。これにも豆タイルがびっちり。 よく見ると、この浴室は入口の足元とかちょっとしたところにもカーブ面がしつらえられてあり、その曲面が不思議な優しさを醸し出している。そしてそのすべてにきれいで小さなタイルがびっしり貼り付けられている。 曲面やタイルの細かな技、豊富なお湯、行き届いた清掃・・・すいてたこともあって(途中で2人ほど入ってきた)、なんか自分が大切にされているような嬉しさを感じる、きれいなお風呂だった。 あまり時間がなく、長湯できなかったのが残念だ。また行こうっと。(2003.8.19) ※「レトロ銭湯へようこそ関西版」に掲載されました。 ![]() ※2016年5月14日、てくてく銭湯「レトロ銭湯探訪ツアー」が行われました。 |
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名倉湯
西大路花屋町を西へ1分ほど歩いたところに、平屋建て瓦屋根の銭湯がある。 次々に自転車をこいで来ては中へ入っていくおじちゃんおばちゃん達。なかなか流行っているようだ。 ![]() 暖簾をくぐると、男女つながった下足スペース。さらに中に入ると低い番台があるが、おかみさんはそこへは座らず男女境にもたれておられる。 脱衣場の低い天井は白ペンキが剥げている。小奇麗な銭湯が多い京都では珍しいかも。しかしそれもそれなりに味がある。 浴室へ進むと、真ん中に深と浅ジェット×2の主湯がドン。その奥に1段下がって、5〜6人入れる乾式サウナと広めの水風呂がある。水風呂は大きなライオンが高いところから水をはき、うたせ湯状態になっている。 出入り口の右に漢方薬かなんかの袋が沈んだデンキ、左にラドンの小風呂。なかなかのラインナップだ。 改装されていて快適入浴を楽しめるが、見上げればカマボコ天井の青ペンキがハゲハゲだ。このアンバランスさがおもしろい。 湯気抜きが真ん中に大きく開口し、明るくて極楽の様相を呈している。 湯かげんよし、水風呂よし、サウナよし。 じっくり楽しんで脱衣場へ上がると、流しの二つのカランのうち一つの水栓がチョロチョロ止まらない。横にいた常連じいさんに「これいっつもこんなん?」と聞くと、 「んなもんここはちょっとやそっとでは直さへんで、出えへんシャワーもあるしな」 と言う。クサしながらもどこか嬉しそう、これが銭湯模様だ。 みんな脱衣場のテレビの相撲中継で楽しそうに盛り上がっていた。 いっぺんに改装したのではなく、常連おやじが言うように、どうしようもなくなった部分から徐々に進めていったと思われる。 そのせいか、さほどレトロ度が高いわけではないのに、昔ながらのよき風情が健在だ。 (2015年5月) |
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稲住湯 ★
西大路八条といえば学生時代にちょくちょく行った天龍というラーメン屋なわけだが、その角を東へ曲がり、JR高架と出会うところで左折すると見えてくる。 なんと赤壁だ。赤壁銭湯といえば大垣の長寿湯や敦賀の千鳥湯なわけだが、それはさておき暖簾をくぐると小さな玄関スペース、これはあとから増設されたのだろう。 ![]() 中へ入ると年代物の木の番台におかみさんが座っている。湯銭を払おうとしたとき、脱衣所にいたじいさん連中から「あぁ〜っ!」という声が上がった。脱衣所に置かれたテレビの大相撲中継で朝青龍が負けたのだった・・・ってこのテレビ、でかい! ハイビジョンの最新のでかいやつがデーンと脱衣箱の横に置かれているぞ。 でもよく見たら、脱衣所は全体的にけっこうイニシエオーラが漂う郷愁空間だ。 まず気づくのは天井の高さ。格天井ではないが味のある板張りで、四周は折り上げ風にカーブしている。透かしの欄間も高いところにある。いや〜やっぱり高い天井はよろしいね! 男女の仕切り壁もエエ年代色を出しとるで。 脱いだものを籐籠に放り込んで脱衣箱へ押し込み、浴室へ。 京都ではやや珍しく、コンパクトな空間の中央に深浅&寝風呂ジェットの3槽が並ぶ。お湯は熱めで43度くらい。そして奥に乾式サウナと水風呂、このサウナもガツンと強力だ。 特筆すべきは寝風呂ジェットだろう。足がはみ出る狭さだが、湯の浅さとジェットの背中密着っぷりが微妙に快楽のツボを突いてくる。いやこれはハマル。口半開きで白目むく。 床や壁はれんが色やえんじ色など暖色系のカラフルなタイル張りに改装されている。カラン・シャワーともに申し分なく、使い勝手は十分ね。 寝風呂ジェットのせいで長湯して上がったら・・・おや! 裸のまんまジョッキで生ビールをぐいぐいいってるじいさんがいるぞ! ということは・・・む〜、不覚にも来たときは気づかなかったが、飲み物各種の冷蔵庫の横に、生ビールサーバーが設置されているではないか。大350円、小250円。もちろん所望した。するとおかみさんが上手に注いでくださる。 改装した大型銭湯のロビーに生ビールが置かれているのは珍しくない。うちの近所の灘温泉にもある。 だが、このイニシエ色の脱衣所で、パンツ一丁で、おかみさんが注いでくれた生ビールを飲みながらハイビジョン大相撲が見られるなんて! サイコー! これはサイコー! さらにおかみさんは「ここ初めてやろ?」と言いながら、「髭剃り後にはこのクリームを使こたらええよ、耳掃除にはこの綿棒どうぞ」などと教えてくださる。 生ビールいきながら綿棒使い放題。古くて小さいけど、サービスはスーパー銭湯以上だ。おかみさんサイコー。★つけなければバチが当たる。 (09.5.12) ![]() |
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昭和湯 (廃業)
嵐電の太秦広隆寺駅から南東へ徒歩5分ほど。太秦交差点から南に下る道の、少し東にずれた路地にある。 古っぽい建物だが手前に雨避けのひさしが張り出していて、なんとなくつかみ所がない外観だ。 ![]() 暖簾をくぐると大阪銭湯のような玄関スペースがある。 靴を脱いで中に入ると、おやまあ、そこはかとなくイニシエ風情が漂っているではありませんか。 ![]() ![]() (左)パステルグリーンに塗られた格天井 (右)男女境の仕切りがそーとー激シブ ![]() 番台のおかみさんによると、昭和7年の建物だという。そこそこ手を入れられているが、この中途半端なレトロムードが妙に心地よし。 浴室はコンパクトだが、京都らしくまとめられている。 出入り口の左右にスチームサウナと水風呂が配置され、男女壁沿いに半円形の深浅主浴槽、手前に薬風呂(気泡つき)、奥にうたせ湯がある。俺的には十分だ。 うたせ湯がまた、きつくもなくユルくもなく、座った姿勢でダラダラと打たれ続けられるのがけっこうハマル。 壁や床のタイルは新しくピカピカだが、主浴槽の内側には懐かしの細かいタイルが健在だ。その他も京都らしい渋めの色彩豊かなタイルたちが埋め尽くす。 カランやシャワーも水圧十分。生活銭湯として申し分ない。 目を引かれるのは天井だ。横向きのカマボコ型だが、全部銀色をしている。湯気抜き部分もシルバー。最初はブリキむきだしなのかなとも思ったが、これはどう考えても銀色に塗られたものだ。こんなの初めて見たよ。 上がりは脱衣所の隅に飲み物の自動販売機あり。 どこがどうということもないんだが、なんかしらんくつろげる。昭和30年代後半生まれの俺としては、このくらいのレトロ加減の銭湯こそが懐かしい。 激レトロ系が激減する今、こういった中途半端レトロもたいへん貴重だ。 午後7時前、お客はあまり多くなくてやや心配。でも、とっても脱力できる素敵な銭湯、これをなくしちゃいけません。みなさん行きましょうね。 (09.2.10) |
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鹿王湯
嵐電の鹿王寺駅から南へ2分。ちょっと右へ曲がると、暖簾が風に揺れている。 おや? なんだこの田舎っぽいユトリの雰囲気は。 京都の古い銭湯というとたいてい狭い敷地にカチャッと収まった几帳面な町屋造りを思い浮かべるが、ここはなんか前の道路も余裕があるし、あんまり京都のイメージではないよーな。 のんびりしてるんだよ、妙に。緑のテントもさ。 ![]() ![]() (左)京都ぽくない脱力系の街並み (右)玄関の戸 とりあえず暖簾をくぐる。下足室もシンプルなプチ郷愁ふう。 戸を開けるとこじんまりした脱衣所。建物は古そうで、玄関側だけはしっくい壁が残っているが、ほかは番台・ロッカー・壁・床・天井など大部分が高度成長期的なベニヤや集成材、ビニールカーペットなどで味気なく改装されている。古いものは体重計くらいで、そっけないほどガラーン。 この手の無造作系銭湯に特有のチープな脱力フィーリングに満ちている。これはこれで、銭湯好きにはなかなかよろし。 浴室も、これと言ってとくになし。 カマボコ天井に大きな湯気抜き。フツーの京都的タイルが張られた浴槽が、壁寄りに手前から浅、深、ジェットと並んでいる。出入り口の横には、京都名物「サウナもないのに水風呂」だ。うれしいなあ。 ん? 奥の壁に直径4cmくらいの穴ぼこが空いているぞ。しかもその穴に向かって、1人だけいた先客オヤジが何やらゴチャゴチャしゃべっている。ギョッ。 もしかして、王様の耳はロバの耳、ですか? んなハズもない。穴の向こうは釜場だった。常連客が釜じいに話しかけていたのだ。するとすぐに釜じい(といっても50代くらい)が入口から入ってきて、その常連としばらく歓談し、また釜場へと戻っていった。 あとで僕が穴を覗くと、釜じいの横には燃料用の薪がいっぱい積んであった。ちなみに女湯に穴はないそうだ、当然ながら。 上がりはオロナミンCほかあり。牛乳がないのは残念。 んなわけでコレという見どころがあるわけではないが、京都らしからぬ田舎風脱力銭湯としてひたれるものがある。JR嵯峨駅からも徒歩10分たらず。(2005.4.6) |
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桂湯
桂駅から徒歩2〜3分ちゅう便利なところ。ぱっと見フツーな感じの1軒家だが、脇の水路およびそれに面した板壁がなかなかの渋さではございませんか。 ![]() ![]() (左)水路に銭湯はよく似合う (右)開店前の賑やかな玄関戸 暖簾をくぐるとおんやまあ、脱衣場へ入ってほんにこれ。かわいらしいグッズな装飾があちこちにきらめいて、七夕とクリスマスと桃の節句と端午の節句と盆と正月がいっぺんい来たみたいになっているではありませぬか。 ![]() ![]() (左)お出迎えのちゃぶ台飾り (右)キュートなモビール群 ![]() ![]() (左)そしてこれでもかの時計ギャラリー (右)ロ、ロッカーの鍵で何すんの〜 壁といわず天井といわず埋め尽くす、膨大なご主人の手作り作品群。その鑑賞に忙しくて服を脱いでいる余裕がない。 よく見たら格天井づくりの昔ながら系銭湯なのだが、そんなことはこの手作り楽園にあってはもはやどうでもいい。やりすぎもここまで来れば爽快だ。個人経営の自由と家業の融通が押し付けがましいまでに全面展開中。 ビバ、銭湯! だがこの銭湯をそんな過剰装飾だけの世界と思ったら大間違いだ。 浴室に入るや、本物のプロが作る風呂の美しさにガツンとやられる。 ![]() ![]() (左)パステルに染まった浴室 (右)水風呂に西山水系の地下水を注ぎ込む鯉 とにかくもう隅から隅までピッカピカの激清潔空間に口あんぐりとさせられる。愛とプロ根性をもって磨き抜かれた浴室特有の聖なるオーラがしんしんと漂っている。 とても贅沢なお風呂なのね。 水風呂や薬風呂はゴボっと深く、ふんだんに溢れるお湯は限りなく清澄。ややぬるめなぶん、心地よく長湯を楽しめる。 西京区ではここ桂湯が最後の1軒となった。応援しよう! (2012年9月) ※2012年9月26日、ふろいこか〜ラジオに登場! |
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