チープに極楽、生きててよかった!

関西の名銭湯 【淡路】
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東光温泉 (洲本市)
清水湯 ★(洲本市) 08.5.2
みなと湯 ★(洲本市)
扇湯 △(淡路市)
【兵庫県】 神戸市阪神間東播磨西播磨淡路但馬
東光温泉

洲本市本町7-1-44
(0799)22-4120
【営業時間】11:00〜24:00
【定休日】木曜日

 洲本バスターミナルから南西へ徒歩10分ほど。本町商店街の1筋南の交差点にある。
 入母屋造りに破風屋根がついた伝統木造建築。だが玄関前の大きなひさしといい玄関両脇のダブル巨大看板といい、田舎のレトロ銭湯とは思えないヤル気を見せている。
 しかもこの銭湯、午前11時からやってるよ! ヤル気ばりばりだ。

 
(左)軒下の風情  (右)これで全体、とってもコンパクト

 暖簾をくぐると狭いスペースに新しい下駄箱。靴を脱ぎ、戸を開けるとかたわらにズドォーンと高い番台が聳え立つ。こりゃすごい。ここまで高い番台は珍しい。
 脱衣室も狭いが、各部は改装されていて外観ほどの古さはない。開放的な庭の縁側風情がいい感じ。

 浴室もじつにこじんまりしているが・・・おっ、けっこうお客が入ってるな。平日夕方6時前で7〜8人。
 そして浴室じゅうな響き渡るのは、出たぁ〜演歌ミュージック。久々の演歌銭湯じゃのぉ。静寂を好む僕としてはチトかなわんのだが、まあこれもサービスなんだろうな。
 床・浴槽・壁の下半分は新しいタイルでごく標準的に改装されており、レトロさはなし。壁の上半分と天井は青ペンキで塗られているがあちこち剥げていて、改装の中途半端さが際立ってしまっている。

 浴槽は男女仕切り壁に沿って浅、深、水風呂と並んでいる。浅、深は両方とも入浴剤入りで、この日は抹茶。深いほうはジェットつき。
 反対側の壁にスチームサウナがある。3〜4人サイズで、けっこう高濃度なスチームだ。
 カランもシャワーも新しく、湯量・圧力ともに十分。
 壁の棚に、象の置物やヒンズー神の浮き彫りなどインド系の装飾物が置かれているのがおもしろい。あとは出入り口の隅に小さな水鉢あり。

 と、田舎のレトロな小銭湯にしては、長時間営業・浴室改装・入浴剤・スチーム・演歌・インド置物などサービス精神にあふれていて、洲本の他の銭湯より明らかに客商売として1歩リードしてるっぽい。(って他の銭湯は入ってないけど。見て回ったところ、見るからに危機一髪状態のボロ銭が目立った。マニア以外のヨソモノでも躊躇なく入れそうなのはここだけかも)
 が、惜しむらくはセンスがイマイチ。客が多いのは経営努力の賜物だろうが、狭い空間で客どうしの話し声に演歌と水風呂のバシャバシャいう給水音が重なって、うるさいんだよな。

 改装時にはせっかくの伝統建築の落ち着いた良さを残すことも考慮してほしいもんだ。  (04.4.23)
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清水湯

洲本市栄町3-2-14
0799-22-1489
【営業時間】14:30〜25:00
【定休日】日曜日

 「われ風呂屋なり」との強烈な主張を周囲のまちなみに放つ、必殺レトロモダン玄関。凄みさえ漂っております。

 洲本市中心部アーケード商店街の西端近くを右に曲がり、お寺の集まる静かなまちなみに忽然と登場するこの建物。
 入口付近の地面に貼られたカラフルなタイルを踏み、暖簾をくぐったら狭い下足室。靴を脱いで中に入ると、番台におかみさんがいる。

 脱衣場は、ロッカーは新しいものに替えられているが、それ以外は地方の古い銭湯らしい庶民的な脱力ムードに満ちた空間だ。
 おかみさんが描かれた力作、「大鳴門橋ができる前の鳴門海峡」の絵も飾られている。

 そして浴室へのアルミ戸を開けた瞬間、風呂バカ野郎はある種の精神的トランス状態に陥った。
 よく磨かれた石畳に石の湯舟が全体を固めているが、その石たちのエッジが鋭く角張っているのがあまりにもクール。お客の安全を考慮して角を丸めるなどといった軟弱な配慮は御影石としてのプライドが許さない、といった趣だ。ガチーッとこんかいガチーッとぉ!
 そしてカランまわりは迫力の骨太導水管、さらに、桶置き台部分などにびっしり貼り込まれたモノトーンの不定形複雑タイル群も狂おしいまでにクールだ。

 ところがこの浴室はそのクールさとは対照的に、4面の壁それぞれにカラフルな壁画をも携えている。男女壁には砂浜風景の小さなタイル絵、残り3面にはモザイクタイル画だ。奥壁モザイクは富士山、横壁は白鳥の湖、そして出入り口の上壁は湖畔の洋館という図柄だ。
 さらに、出入り口横には石造りの水鉢と、上がり湯を使う際に桶を置く台座石が据えられているが、そこにも明るい色のかわいらしいタイルが使われている。
 出入り口部分の床の細かいタイルも見逃せない。

 この硬軟・緩急の使い分けセンスは、並の銭湯とは明らかに一線を画している。
 玄関の意匠とともに、こだわりの土木職人が頭をひねり時間をかけて、じっくりと造りこんだ浴室だ。

 湯舟は深浅に分かれているが、深のほうはかなり深い。この風呂に浸かれる喜びに包まれながら、ゆっくり、しっかりとあたたまっていこう。

 あがっておかみさんに聞くと、大正12年の建物だという。
 しかも営業時間は、「ほんまは3時からなんやけど2時半に入って来はるお客さんがおるから」午後2時半から開け、「夜中の12時半に来はるお客さんがおるから」深夜1時まで開けているらしい。
 こんな田舎の古銭湯で、これだけ長時間お湯を沸かし続ける銭湯はめったにない。

 第一級のイニシエ保存度に、お客本位の営業体制。もはや言うことなし。
 将来に渡って清水湯がこのままここに存在し続けることを心から祈る。そしておかみさんの2作目の絵にも期待。 (08.4.28)
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みなと湯

洲本市由良4-3-21
(0799)27-0580
【営業時間】15:00〜22:00
【定休日】水曜日

 こういう銭湯に出会いたくて俺はこんなことやってるんだな、とフト思ってしまう。

 洲本市の中心からバスで20分ほどの由良は、紀淡海峡に面した漁師町。ここから渡し舟で1分の成ヶ島は「淡路橋立」とも呼ばれ、ちょっとした観光ポイントでもある。
 由良のバス停から、家々が密集する細い通りを2〜3分歩くと、1軒の古い木造家屋の入口に「みなと湯」と書かれたオレンジ色の看板がある。
 どうやら銭湯らしいが、煙突はどこにも見えない。

 2004年当時の入口(現在は塗り直されている)

 暖簾をくぐると、うなぎの寝床のような狭い通路になっている。由良にはこんなふうに奥まった家が多い。
 家1軒分ほど奥へ入ると、右手に男女別のアルミ戸がある。開けるとすぐに木の番台があり、狭いタタキに小さな木の下駄箱。下駄箱といってもフタはなく、ジモティの靴は土間に脱ぎっぱなしにされている。

 番台に人はおらず、俺に気づいた先客が女湯に向かって「みっちゃーーん! みっちゃーーん!」と呼んでくれる。すると50代のおかみさんが現れ、「貴重品、預かっとくよ。タオルとかせっけんは持ってる?」と気さくに尋ねてくれる。
 由良には潮干狩りや海水浴に来る人も多いので、手ぶらで風呂に入りに来るヨソモノ客もあるのだろう。湯銭は340円。兵庫県の組合料金よりも「由良だけ安いねん」(みっちゃん談)。

 脱衣場はこじんまりとした空間ながら、格子になった天井が意外に高い。ロッカーや男女仕切り壁などは古い木でできており、ぬくもりに満ちている。
 ロッカーには漢数字。ただし鍵が1つもついていない。だから貴重品を尋ねてくれたのか。

 脱衣場のすみに、2〜3人用の乾式サウナがある。無料。まだ新しいもので、地元客に聞くと「まだ3年かそこら」らしい。
 しかもサウナは浴室とは反対の出入り口側にあるので、浴室から濡れたまま脱衣場を横切って入りに来るかたちになる。そのへんのテキトーさもまた田舎銭湯ならでは。

 浴室は適度に改装されてる。床は小さめのタイル張りだが、深浅の主浴槽のフチは古い石造りで、いい具合に丸く磨り減っている。
 おっ、ヘルスパー(湯船の底から突き出た金属棒から四方にジェットが噴出する装置)があるぞ! その噴出気泡の弱さがまた哀愁を誘う。
 主浴槽の手前に、ま新しい水風呂がある。これは嬉しいなあ。大好きな温冷交互浴を楽しむ。

 外観からは荒廃系も予想されたが、どっこい新しいサウナや水風呂もあり、建物は古いけど清潔に保たれていて、なかなか居心地よく和める。
 夕方には地元の漁師らが途切れなく入ってきて、この人たちが浴室でも脱衣場でも、気軽に話しかけてくる。みんなざっくばらんだ。
 外に出てバス停でバスを待っているときも、風呂で会ったおじさんが声をかけてくれた。

 激ヒナビな外観、古い木や石のぬくもりあふれる内部、ほどよい設備投資と清潔管理、開放的な雰囲気。銭湯ファンの求めるものがすべてここにある。
 のんびりした漁師町・由良の雰囲気そのままなお風呂ともいえるだろう。
 それにしても煙突はどこにあんのかな?  (04.5.3)

 
(左)帰りはまたこの通路を通って    (右)由良の超素朴銭湯
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扇湯

淡路市岩屋1390
(0795)72-2323
【営業時間】15:00〜23:00
【定休日】5日毎に1日休業

 明石から「たこフェリー」(320円)で20分、明石海峡大橋をくぐって淡路島の岩屋に着く。その港の少し東(左側)にある岩屋商店街の入口から歩いて1分ほど。
 古めかしいレトロモダン調のコンクリ外壁が、水色と赤のペンキで塗られている。なにやら謎めいた配色だ。
 玄関部分だけでなく奥の母屋部分も洋風建築の意匠を凝らされていて、なかなかの味わい。創業当時はさぞや目をひく建物だったろう。

 
(左)本当の温泉じゃないけど断言調    (右)全体像は見えにくいが、奥も洋風の意匠

 
(左)奥の部分の装飾    (右)玄関部分の装飾

 暖簾をくぐると、タイル6枚分の小さなタイル絵がお出迎え。これ、小さいけど、かなりイイ!

 
(左)のれん裏返っとるがな   (右)かわいい、美しい、ほしい・・・

 脱衣場は意外にも広々している。しっくい壁などにソートーな古さがにじみ出ている。番台・ロッカー・天井など各部は新建材でチープに補修されつつも、かなりキてる感じ。女湯の天井は補修もされずに塗装がめくれたままの放置系。くたびれてまんな〜。
 ロッカーよりも脱衣籠が活躍する、思いきり地元密着な田舎銭湯だ。

 浴室に入ると、床は入口から2mほどは石畳で、その奥はタイル張り。
 そしてこれまた意外にもお客がたくさん。漁民とおぼしき7人の地元じいさんが、中央やや奥のタマゴ型の主浴槽を囲んで談笑している(平日の夕方4時台)。
 タマゴ型浴槽というのは初めて見た。豆タイルが張られていて、これはちょっといい感じ。
 でもそれより珍しいのは、浴槽と、浴槽の外側をとりまく腰掛け段との間に幅30cmくらいの溝があること。段に腰掛けた人はその溝に足を置き、前の浴槽の水を洗面器で汲むかたちになる。

 ということは、ふつうは浴槽に背を向けて外側の段に座るところを、ここでは浴槽のほうを向いて座ることになる。
 そして湯船はタマゴ型なわけで、つまり7人の地元じいさんがぐるりと湯船を取り囲み、向き合って談笑している光景が展開されている状況。じいさんたちは湯船にはあまり入らずに、段に腰掛けて体を洗ったりヒゲを剃ったり、あるいは何もせずに手で湯をいじりながら、楽しげに語らっている。

 あったかい湯を挟んで裸で向き合ってくつろげる憩いの場。これぞまさに井戸端を超えた空間。地域の老人コミュニティーとしてはなかなかにすぐれたデザインというべきだろう。
 だが外部の人間にとっては、「湯船に入ること」=「7人の老人に四方八方から『こいつ誰や?』と集中観察されること」を意味する。
 こういった異空間をそれなりに楽しめるかどうかは、あなた次第・・・ということにしときましょう。

 奥の白タイル壁をふと見ると、かすれてほとんど消えかけているが何やらタイル絵の痕跡が・・・おや? これはここのすぐ近くにある景勝地、絵島の絵ではないか? むーん、さっき見て来たばかりだからわかったよ。
 けっこう大きい。消えていなければさぞや見応えがあっただろうなあ。残念。

 浴槽は他に、奥の隅にバスクリン入りの副浴槽、入口脇に大きめの水鉢がある。
 カランはあるがシャワーはなし。
 そしてなんと椅子もない。椅子なし銭湯はこれで3軒目だな。

 上がりは飲み物類もなし。ま、ようするに商売気もなしと。
 外観・タイル絵などにかつての栄華の名残が認められるぶん、銭湯文化の凋落と変遷をも感じさせられる歴史遺産的銭湯だ。 (04.4.20)

 岩屋のまちなみに異彩を放つ
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