チープに極楽、生きててよかった!

関西の名銭湯 【神戸市内】
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大同湯 (兵庫区)(2006年12月廃業)
笠松湯 (兵庫区)
浜添湯 (長田区)★
高浜湯 (須磨区)
天水湯 (垂水区)
歌敷山温泉 (垂水区)

天王温泉 (兵庫区)★ (2004年8月1日廃業)
【兵庫県】 神戸市阪神間東播磨西播磨淡路但馬

大同湯

2006年12月に廃業されたとの情報を
「大きい風呂しか入られへん兵庫区民」さんから
いただきました。ありがとうございます。
レポートは営業当時のものです。

神戸市兵庫区大同町3-5-20
(078)511-9052
【営業時間】15:30〜23:00
【定休日】水曜日
      7・8・9月は無休

 神戸電鉄湊川駅から1kmちょっと。東山商店街を抜け、新湊川商店街も抜け、菊水公園の北側にまわった住宅街の中にある。通りがかりで出会うことはなさそう。

 建物は大阪レトロ系に多い凸型玄関。暖簾をくぐると昔ながらの木の上がりがまちと、銭湯組合のポスターの後ろにタイル絵が残っている・・・ようだが、せっかくのタイル絵をこんなポスターで隠してしまうのはもったいないぞ。

  タイル教信者の気持ちがわかってないな・・・

 脱衣場は、けっこう高い格天井と古い木の番台が健在で、昔ながらの前栽や古い体重計などもある。神戸では貴重だ。
 ただしロッカーは震災後に入れられたアルミ製でピッカピカ。

 浴室に入ると、男女壁側にほぼ正方形+1ヵ所突出の大きな主浴槽がデーン。
 床や壁は全面的に改装されていて古さはない。震災後の改装かと思ったが、カラン下などに長いひび割れがあったりもする。おや、震災前なのか?
 浴槽のヘリは神戸西部の古い銭湯に多いえんじ色の細かいタイルで縁取られている。

 主浴槽は、深・浅・ジェット・気泡・電気の5つのエリアに仕切り壁で分離されている。仕切が水面下5cmくらいまでなので湯は全部共通。こんなに仕切っているのは珍しい。
 さらに奥には3〜4人サイズのスチームサウナと水風呂がある。

 上がって番台のおばちゃんに聞くと、浴室の改装は震災前だそうだ。築60年の木造建築だが、震災ではビクともせず、地震後3日目に営業を開始した。3日目からの営業は神戸市で4軒だけで、そのうちの1軒だという。
 「その日からでも営業しようと思えばできる状態やったけど・・・しばらくは遠方からのお客がズラーッと行列して、たいへんやった。でも今はもうあかんね」

 思い出してちょっとしんみりした。
 震災時にみんなを救った、古い天井と番台の残る銭湯。小さいわりに設備も多彩だし、なんとなく落ち着けるいいお風呂だった。末永くがんばってほしい。 (04.5.21)

  駅から遠いけど、印象に残る銭湯
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笠松湯

神戸市兵庫区笠松通6-3-6
(078)671-2581
【営業時間】14:00〜22:30
【定休日】水曜日

 三菱重工などの大工場がある臨海工業地帯、和田岬。地下鉄海岸線とJR和田岬線の駅の少し西、笠松通り商店街を入ってすぐのところにある。
 震災の被害が大きかったところだが、笠松湯は昔の造りのまま営業を続けている。

 外壁は震災後に塗り直されたと思われるが、レトロな風情をいい感じで残している。屋号の書体になかなか味がある。

  商店街の一角で落ち着いた景観を演出

 下足室はごく普通。脱衣場も、派手な神棚(稲荷)が男女の仕切り壁の上に祭られていること以外は、やはり普通の感じ。
 だが浴室に入ると、ちょっと異質な雰囲気が漂う。
 広い浴室の中央に、浅深の大きな浴槽がデーン。それだけ。気泡もジェットもなし。あとは壁際にカランが並ぶのみ。

 浴室は広いし天井も高い、なのに浴槽が一つだけだから、非常にのびのびとした空間が広がっている。浴槽のへりも厚みがあり、どっしりしている。
 なんとなく大陸的な感じだ。

 かつてはここで、大勢の港湾・工場労働者たちが汗を流したのだろう。軍需産業から高度成長までを真っ黒になってささえてきた労働者たちが、夕方いっせいに集まって一日の疲れを癒した場所。
 今は閑散とした空間の真ん中で、大きな湯船にどっぷりと浸かって目を閉じる。しみじみ・・・。

 湯船の四隅はカーブしていて小判型に近い。へりには小さな長方形の青タイルがびっしりと貼られている。
 タイル張りの床は、カランの手前に排水溝がない。そのかわり浴室の出入り口から2〜3メートルのところにある溝を最低地点として、床全体が奥から手前に傾斜している。ということは奥で体を洗った人の排水が手前の人の足元を流れて行くのだが、そのへんの配慮のなさもまた土地柄を感じさせる。

 壁は白タイルが主体だが、震災で崩れたとおぼしき部分(全体の半分近くか)には真新しいタイルが貼られている。
 それと、奥の壁の手前1.5メートルほどのところに天井から1メートルたらずの鴨居のような垂れ壁があり、そこにアルプスの湖畔をイメージしたモザイクタイル絵がある。

 設備はなにもない。でも、大きな空間で大きな湯船にゆっくりと浸かることができる。そんな銭湯だ。  (2003.9.17)
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浜添湯

神戸市長田区浜添通1-1-10
(078)681-1736
【営業時間】15:00〜22:00
【定休日】月曜日

 これはちょっと感動したなあ。

 JR新長田駅から東へ約1km、国道43号線の東尻池西口交差点から1筋南の角にある。ぱっと見は古くて小さな下町銭湯だが、震災の激甚被災地だからそう古いものは残っていないだろう、と期待せずに暖簾をくぐってみると・・・。

 
(左)玄関前は敷石   (右)あがりがまちとタイル絵

 おーこれは渋い年代色の上がりがまちと、タイル絵が残っているぞ。ちょっと期待に胸ふくらむ。

 震災後に入れられたと思われるサッシの戸を開けると、黒光りする木の番台、格天井、年季の入った仕切り壁など、明らかに昭和初期の諸々が現役で生きている。いやーうれしいねえ。ロッカーや壁の一部は新しいが、これはもしかすると・・・。

 浴室へ。
 でで出たあーーー。石畳の床に石の湯船。
 しかも石畳のスキマにはレンガが1列はめてあるだけで、かなりびっちりと石が敷き詰められている。カラン下に溝はなく床全体が傾斜しているパターンで、最低部分の溝を排水が流れてゆく。
 しかもこの溝! こんなとこまで石造りだぞ。これは珍しい。お湯が流れてゆくさまをしばしボーっと眺めてしまったよ。

 湯船は、手前に深いメインの石造り浴槽、奥に浅くてぬるい浴槽(座浴ジェットと気泡つき)だが、メイン浴槽のフチには床と同じ石材が使われている。石臼なんかに使われている白っぽい花崗岩ね。僕は黒御影よりこっちのザラっとした感触のほうが好き。ここへ後頭部を乗せて体を浮かべるのよ。気持ちエエ〜。
 浅いほうの浴槽には、なつかしの豆タイルが使われている。

 さらに、女湯との隔壁をくぐる共用の水鉢もどっしりと石造り。泣ける・・・。

 もうひとつ珍しいのは、女湯との仕切り壁の上に、古いコンクリート造りの飾り屋根というかひさしのようなものが端から端まで乗っていること。はじめて見た。

 壁とカラン周り、浴槽周囲の座り段には、新しいタイル(これがけっこうナイスセレクション)が貼られている。震災で崩れたのだろう。そのぶん、古い銭湯の割にはシャワーの出もよく、鏡も新しい。

 それにしても、この古い銭湯で、震災後の改装をこれだけ最小限に抑えてあるのは奇跡というほかない。
 上がって番台のおじさんに聞くと、震災のときは浴室の壁が厚さ10cmにわたって内側へ剥げ落ち、煙突は途中で斜めにずれたそうだ。
 築何年の建物かは、戦後に買い取ったものなのでわからないとのこと。

 浴室に使われている石の密度は神戸最強ではないか。夕方6時半で客は2〜3人だったが、とにかく末長くがんばってほしい銭湯だ。駅から少し遠いが、わざわざ探して行く価値は十分ある。(03.11.25)

 いい!
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高浜湯

神戸市須磨区古川町4-1-4
(078)731-2000
【営業時間】15:30〜21:30
【定休日】金曜日

 JR鷹取駅から南西へ徒歩10分ちょい。
 震災で焼け野原になった駅前通りをまっすぐ歩き、2号線の1筋南の通りを水族園方面へ歩くと、海岸通に出る手前にふいに現れる。
 小さいが、四角いコンパクトな外観はちょっと味がある。
 暖簾をくぐると、下足室の正面には宝船のモザイクタイル絵がある。

  やけにあっさりした宝船

 脱衣場は格天井になっている。
 目をひかれるのは、番台の正面と、その横の入口通路を挟んだ位置にある円柱。1×2cmの細かいタイルがびっちり貼られている。しかも薄紫色。めずらしい場所にめずらしい色のめずらしいものが立っている。しかもなかなか美しい。
 浴室の入口付近もすべて細かい角タイルが隙間なく貼り込まれ、地震で剥げた様子もなく静かに光っている。

 浴室に入ると、いくつか新鮮な驚きが。小さな空間だが、不思議と見どころが多い。
 まず、入った正面にかかり湯がある。手前に長い長方形で、この規模の銭湯にしては大きめだ。ここには30度くらいのぬるい湯が張られている。
 その背後につながるかたちで、浅・深・ジェットの主浴槽が中央にあり、両サイドが洗い場。床と壁は震災後に貼り直されたっぽい大き目のタイルだが、浴槽は昔ながらの細かいタイル使い。
 さらに右手奥には2〜3人サイズのスチームサウナ、左手奥には洞窟風の水風呂がある。スチームサウナ上部の壁には男女ぶち抜きでモザイクタイル絵(アルプスと湖水)がある。
 でもいろいろあるわりにゴチャゴチャ感はなく、うまいことコンパクトに配置したなと感心させられる。

 天井は男女それぞれが独立した船底になっていて、中央に円形の湯気抜きが1つずつ。
 そして、男女仕切り壁の中央と、反対側の壁の中央に、それぞれ1本ずつ、またもや円柱がそそり立っている。しかもここのは太いぞ。そして脱衣場の円柱と同じ細かい薄紫タイルがびっちり。なかなかの見応えだ。

 とまあ、これくらいの古くて小さい銭湯にしては、設備も装飾もなかなか。主浴槽を挟んでサウナと水風呂が離れているのがやや気になるが、このスペースでは仕方ないな。
 平日の夜7時ごろという空いている時間帯だったが、そこそこお客がいて、みんなけっこう長湯していた。やはり家風呂にはないスチームサウナと水風呂のおかげだろうか。 (04.2.9)

  
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天水湯

神戸市垂水区天ノ下町12-9
(078)708-1737
【営業時間】15:00〜23:00
【定休日】火曜日

 神戸にこんな銭湯があったとは・・・新鮮な驚き。
 垂水は神戸の中心地からちょっと西に離れた漁港のある町。駅前は震災後に再開発の巨大ビルが乱立したが、ちょっと離れると昔ながらの家も残っている。

 垂水駅から北西に2〜3分歩くと、幹線道路に沿ってどっしりとした和風建築が現れる。ちょっと旅館っぽい印象だ。

 

 道路からちょっと奥に入って玄関があるのがいい感じ。小屋根の下に屋号入り電灯が左右に2つ。暖簾をくぐると下足室は細かい格子の天井で、脱衣室入口の木製の戸も重厚だ。

  張り紙がイマイチ

 戸を開けるとまた「男湯」の暖簾があり、番台には90近いと思われるような婆さんが座っている。
 脱衣室も濃厚なレトロムード。壁はしっくい、格天井に扇風機が回る。開け放たれた窓の外にはタオル類が干され、その向こうに庭の木が繁る。
 木のロッカーは補修のためか外枠にカラー布テープを貼ってあるが、1段ごとにテープの色を変えてある。これがまた不思議に味がある。ロッカー中央には大きな漢数字、古い文字だ。「拾貳」のロッカーを使わせていただく。

 浴室に入って驚いた。こいつは初めての光景だ。
 浴室の中央に、幅90cm長さ3メートル弱の、楕円形の細長い浴槽がある。何これ?
 大人が浸かるには狭いが、周囲には腰かけの段がある。どうやらこの周囲に腰かけて、ここの湯を桶でかい出して体を洗えということか。

 んで主浴槽は・・・と、奥のサウナ(有料)の横にある。ジェット気泡が吹き出ているが、これほど遠慮がちな位置にある主浴槽は初めてだ。手前の面がゆるく半円形に飛び出ていて、フチには細かいタイル張り。
 主浴槽の奥のタイル壁には、このあたりにはめずらしく大きな絵が豪快に描かれている。山の湖水に白鳥が7羽浮かんでいる風景。だが震災によるものか、左上から右下へとひびが入っている。

 入口の両脇に、水風呂と、ジャグジーつきのぬるい浴槽もあり、古いながらも一通りの設備は揃っている。
 ただし震災の影響かヒビ割れが随所にあり、やや雑な白セメント補強がボロさを増幅させている。それと天井のペンキが朽ちてめくれ上がっているのが見苦しいので、ぜひとも塗りなおしていただきたいところ。このままだとマニア向けになっちゃうよ〜。

 が、それにしても何といっても中央の不思議な細長い楕円槽、銭湯ファンなら一度は見ておくべきだろう。

  瓦の乗った外塀も立派。夜には植木の電飾がまたたく
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歌敷山温泉

神戸市垂水区霞ヶ丘4-5-2
(078)707-3594
【営業時間】15:00〜23:00
【定休日】水曜日

 きましたねぇ・・・。いかがですこの貫禄の日本建築。
 山陽電車で垂水駅の西隣「霞ヶ丘」駅から山側へ歩き、最初の信号を右折したところにある。駐車スペースも4台あり。
 玄関周りの造りは天水湯に似ている。が、こちらはその他の部分の細部に渡るまで、和の装いが貫徹されている。

  あっさり暖簾をくぐるのがもったいない味わい

 暖簾をくぐると正面に切り株を使ったオブジェあり。下駄箱の上がりがまちも全部木でできており、脱衣室へはさらに3段の木の階段を登っていくのが珍しい。お寺みたい。

  下足室正面上部に、どなたかのお写真が・・・

 重厚な木の戸を開けると、これまたどっしりと黒光りする木の番台と、広い脱衣場。高〜い格天井に扇風機が回り、しっくい壁に木のロッカー、その上部にはさらに明り取りの格子窓に擦りガラスと、情緒満点マニア感涙の充実空間だ。
 そして開け放たれた履き出しの向こうに庭があり、縁側までついている。この庭、普通の銭湯の庭の倍はあるぞ。いやあ、よろしなぁ〜。
 普通は男女の仕切り壁の上にあることが多い神棚が、ここではロッカーの上に設置されており、しかもよく手入れされている。サカキの葉も新しくてつやつや。
 トイレの窓まで和の味わい。レトロ保存度では今のところ神戸最高だな。

 ただし気になるのは、ある人物のポスターや新聞切り抜きなどがやたらベタベタと貼ってあること。玄関先の暖簾の両脇にもデカデカと看板が出ているし、下足室の正面上部には額縁入りの近影が飾られている(上の写真)。
 どうやら地元の有力者のようで、政治活動などもなさっておられるらしいが、もしかしてこの銭湯のオーナーでもあらせられるのかもしれない。そういや天水湯にも・・・。
 せっかくの伝統建築の静かなる雰囲気が、このポスターベタベタで大きく損なわれているのがなんとも残念。

 気を取り直して浴室へ。
 湯船は中央に大きな主浴槽と、それと角部分でつながって奥の隅にサブ浴槽、というシンプルな構成。主浴槽は3分の1ほど浅くなっていて、浅い部分と深い部分に仕切りがない。深い部分には天水湯と同じ仕組みのユルいジェット水流。
 湯はやや熱めの42〜43度くらい、おぅ僕のベスト湯温じゃないですか。いやぁ湯船も大きいし、これは気持ちエエ〜。
 奥のサブ浴槽も、主浴槽とつながって湯がイケイケになってるので同じ湯温。でありながら浅いわけでも電気風呂なわけでもない。浴槽が2つある意味があまりないな。
 見上げると、奥の壁の上部に、女湯とブチ抜きでアルプス風景のモザイクタイル絵がある。

 タイル貼りの床には排水溝が刻まれておらず、床面を低いほうへ流れて排水口へ吸い込まれていくスタイル。
 震災の影響か、タイルがあちこち割れて白パテ補強してある感じも、天水湯に似ている。水風呂はないが、カランの水がけっこう冷たかったので、それをかぶってもなかなか気持ちよろしかった。

 あがりは、半裸で縁側に出て庭を眺めながら、腰に片手を当ててジョアを飲む。シャイコーです。 (2003.10.10)
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