チープに極楽、生きててよかった!

関西の激渋銭湯 【東播磨】
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【兵庫県】 神戸市阪神間東播磨西播磨淡路但馬
三光湯 (明石市)
扇湯 △(明石市)
宝湯 (加古川市)
梅ヶ枝湯 △(高砂市)
高砂湯 (高砂市) 2012.4.9
西脇温泉 (西脇市)

→この地域の廃業した激渋銭湯はこちら

三光湯

明石市樽屋町22-6 地図
(078)911-3787
【営業時間】12:00〜24:00
【定休日】水曜日

 明石駅から西へ10分ほど歩き、明石川にかかる大観橋の手前に銭湯あり。
 玄関小屋根から王冠のごとく突き出した部分にしっかりと取り付けられた、その潔すぎる看板に思わず立ちすくむ。

 三光・・・湯、よね?

 玄関スペースを抜けて脱衣所へ入ると、番台におやじ、前栽に外便所のこぢんまりとしたクラシックスタイル。
 内装はそこそこ改装されているが、壁はビニクロでなくクリーム色の塗り壁、男女仕切りは上部に緑色のガラスなど、なかなかの味わいだ。

 ミニサイズな浴室もタイル類は新しいものに張り替えられているが、なんちゅーても真ん中でぽんと口をあけた楕円形湯船の愛らしいことといったら! 手前部分に小さな浅風呂が仕切られていて、まるで女の子のお弁当箱だ。
 お弁当箱のフチはしっかりと御影石が固め、内側には真新しい青タイルが張られている。
 その周囲をとりまく段は、播磨地方らしく高さ7〜8cmくらいしかない。渋い色のタイルが使われている。

 浴室手前部分にはスチームサウナとカラン列があるが、スチーム室によって狭くなったスペースを補うように、奥に増設されたようなカラン室とジェット槽がある。

 古いものはあまりないが、お弁当箱湯船の愛らしさは昔ながら系銭湯ならではのものだろう。 (2011.3.21)
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扇湯

明石市二見町東二見仲之町1739
(078)942-1997
【営業時間】16:00〜22:00
【定休日】月曜日

 いにしえ度において最強クラスの銭湯だ。

 山陽電車の東二見駅から南へ数分歩くと漁港に出る。界隈はミニならまち的な風情あふれる、鄙びた街並み。
 港から北東を見ると、レンガ造りのどっしりした煙突が見える。それを目指して狭い路地をコチョコチョっと行くと、歴史を感じさせる風格ある建物に、人知れず暖簾がそっとかかっている。

  (左)南側から (右)東側から

 暖簾をくぐると、普通は下駄箱があるスペースには古風な土間が広がっているだけで何もない。この段階ですでに何やら強烈なタイムスリップ空間が始まっている。まるで時代劇のセットみたい・・・。

  暖簾のむこうにもひとつ暖簾

 戸を開けてもう一度暖簾をくぐると、番台の横に木の下足棚がある。下駄箱はない。番台には意外にも40代女性が座っている(帰りしなには小学生が座っていた)。
 靴を脱いで脱衣場に入るや、めまいにも似た「ここはどこ? ワタシは誰?」感に襲われる。

 

 板張りの床、格天井、木のロッカーに囲まれた、古びた小空間。
 ロッカーの鍵は3つくらいだけで、ゴムもなし。盗難などありえない、地元民オンリーの銭湯だ。機能していないマッサージ器周辺にカタログ雑誌などが積んであり、生活感が濃厚に漂う。

 浴室も強烈にクラシックだ。床は石畳で、隙間にタイル市松張りの王道パターン。
 仕切り側にカマボコ断面型の古い石造りの浴槽が1つ。周囲の腰かけ段は黒御影。湯温は41度くらいか。

 先客は初老の男が一人だけで、途中から貸切状態になったが、女湯のほうからは数人のおばさんたちの賑やかな話し声がずっと聞こえていた。おばさん連中の夕方の社交場になっているようだ。
 奥の壁を見ると、12枚のタイルを使ったタイル絵がある。富士山ではなく、湖南省あたりを思わせるなだらかな山と川の風景。いいねえ。
 と、ここまではよかったのだが・・・。

 奥に、使われていない扇形の浴槽がある。地方の古い銭湯にありがちだが、ここはカラのその浴槽に使用済みのカミソリやシャンプーの空き箱などが投げ込まれ、ゴミ箱と化していた。しかも、しばらく片づけていない様子がうかがえる。
 立ちシャワーの鏡の前の段には、はがれた床のタイルが無造作に積み上げられ、これも長らくそのままの様子。
 カランは4つ、シャワーもついているが水しか出なかった。仕方がないので湯船のフチに座って湯をかい出して体を洗う。

 もはや客商売としてギリギリラインのようにも思える。いや、この状態でなお営業を続けられていることが奇跡であると言えるかもしれない。
 常連客のために、経営者が最低限のモチベーションでかろうじて維持していることを感じさせる。

 しかし、この文化遺産的な建物や石造りの浴室は貴重なものだ。
 東二見には歴史的景観建築物が多く残っているので、それらとともに何らかのかたちで存続させられないものだろうか。(03.12.18)

 帰るとき、内側から見た暖簾付近の風情
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宝湯

加古川市加古川町本町55-1 地図
(0794)22-2364
【営業時間】 16:00〜22:30
【定休日】 8のつく日

 加古川駅周辺に1軒だけ残るイニシエ銭湯。古い街並みの十字路にどっしりと佇んでいる。
 外観は明石・東二見の扇湯に少し似ていて、なんとも古式ゆかしい風情がある。

  (右)浴室部分

 暖簾をくぐって戸を開けると下足室。立派な木の下駄箱だ。

 
(左)下足室の正面上部   (右)下駄箱たっぷり

 格子天井の脱衣場も古めかしい。木でできた番台や仕切り壁は黒光りしまくり。中央の木の台に籐籠が並んでいるのがちょっと珍しい。
 ロッカーは地方の銭湯でよく見られる薄緑の化粧合板モノ。浴室の戸の周辺だけ新しく改装されている。小さな庭を植物が埋めている。

 浴室はやや広め。床はタイル張りで、カラン前に溝がない全体傾斜型だ。
 中央にある深浅の主浴槽は、小さな古い角タイルでびっしりふちどられている。緑色が多用されているせいか、浴室全体が一種独特な色合いに染まっている。湯の温度はちょうどで心地よし。
 奥には岩の張られたぬるめの浅い浴槽、入口横には水鉢がある。

 壁にタイル絵が2つあるのだが、色があせているのが残念。1つは湖から見た富士山、もう1つは・・・ほとんど消えていて何だかわからない。
 カランは機能していたりしていなかったり、シャワーもあったりなかったり。中にはハンドルが金属製の激レアなカランもある。

 スーパー銭湯だらけの加古川だが、なんとかがんばってほしい。 (03.12.25)

  (左)れんが造りの角煙突
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梅ヶ枝湯

高砂市高砂町次郎助町1593 地図
(0794)42-0985
【営業時間】16:00〜23:00
【定休日】4日おきに1日休

 山陽電車高砂駅から南へ歩いて6〜7分。十輪寺へ行く途中に見えてくる。
 外観は一見、殺風景な古いビル状の銭湯だが・・・。

 ファザードだけがビル状の看板建築風

 ところが裏手へ回ると表情が一変する。
 どっしりとしたレンガ浴舎と四角いレンガ煙突、それらに寄り添うように上へと伸びた木造建築物。こんな建物、見たことがないぞ!

 
(左)どこかラピュタを思わせる迫力    (右)最上階に上がってみたい!

 のれんをくぐって戸を開けると、いきなり狭い土間に渋〜い木製下駄箱が置かれ、すぐ横に番台。ばあさんにお金を払って靴を脱ぐ。

 下駄箱。これもんです

 そして脱衣場の雰囲気が・・・もうこれは思いっきり戦前です。木のロッカー、木の古いベンチ、貫目表示のある体重計、布を張った木の衝立、柱、鴨居・・・。
 常連客が言うには、「70年くらい前からのままちゃうか」とのこと。板張りの床はいい具合に磨耗して、足裏になんともやさしい肌触り。
 京都あたりの古い銭湯には寺社にも似た風情があるが、ここは同じ木造建築でも、ぐっと庶民的な味わいだ。柱や梁もさほど太い木を使っているわけではない。

 女風呂から小さな女の子のはしゃぐ声が聞こえる。
 ちょうど夕方だったせいもあって、茶渋の部屋全体がさらにセピア色に染まり、戦前を知らない俺でさえ胸がキュ〜ンとなる。都会のマンションなんかで暮らす60代以上の人を連れてきたら、マジで泣くんじゃないか。

 
(左)涙に霞むセピア色の脱衣場  (右)漢数字の上からアラビア数字の板貼りがチト残念

 浴室は、かなりくたびれている。中央奥に深い主浴槽、すみに浅くてややぬるい浴槽があり、どちらもタイル張り。壁際にある湯の噴出口は、鉄でできたハンバーガーのような円盤状のもので・・・とにかく見たこともないタイプだ。腰かけは木製のが1つあるだけ。
 入口近くにタイル張りの素敵な円柱が立っていて「飲用水」と書かれており、上部に飲み口があったが、残念ながら水は出なかった。

 主浴槽の横の壁に、きれいなモザイクタイル絵があった。なぜかこれだけが新しい。しかも、普通はアルプスの湖水や海岸風景が描かれているものだが、これ、何の絵? 工場みたいに見えるんだが・・・。

 ともあれ、脱衣場の郷愁度はチャンピオンクラスの銭湯だ。 (03.9.30)

 「貴重品ハ番台ヘ」 淡い夕日に輝く金文字・・・これ自体が貴重品
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高砂湯

高砂市高砂町船頭町1301-1 地図
(079)442-4563

【営業時間】16:00〜21:00
【定休日】4日おきに1日休(要確認)

 山電の高砂駅から歩いて7〜8分。堀川の船だまりに近い船頭町の道路沿いに、飾り気および商売気を一切拒絶する超絶地味な四角形銭湯あり。
 修行僧、いや、菩薩といふべきか。我にありて我になし。どこか能面を思わせる。

 
(左)背後は瓦屋根のようだが  (右)太くて短い煙突

 この看板が唯一、人を誘う

 暖簾をくぐれば嗚呼、まわるまわるよ時計が逆に。いいんですか時を駆けて。あなた私の元から突然消えたりしないでね。

 
(左)鍵横挿しの下駄箱   (右)正面タイルの味わい

 そして脱衣場へ入った瞬間、ああもうドラえもんがいなくてもタイムスリップしちゃったよ〜。

 
(左)年季ゴリゴリ渋茶色の脱衣場   (右)あこがれのホテル・ホングコングも今はなし

 激渋番台に座る激渋おかみに、厳かに支払う350円。
 脱衣場は狭い。が余計なものはなく、きゅうくつな感じもない。
 時空のさまよいびととなった俺はいさぎよく裸になるしかない。

 
(左)浴室入口の両脇にもシブシブタイル   (右)幻の浴室

 浴室に入るや、立ち込める湯気に包まれる。低い腰掛段に囲まれたシンプルな湯船がひとつある。
 特筆すべきはこの浴室の暗さだろう。丸い裸電球一つが寂しげに照らす神秘的な世界。これ以上照度の低い浴室には出会ったことがないかもしれん。
 床や湯船の細かいタイルが味わい深い。壁の上部から天井トタンにかけて緑色のペンキで塗られているのも印象的だ。

 そしてお湯はアッツアツ。熱湯を好む常連客がいるらしい。とはいえ俺も熱い湯は好きだから、静かに浸かってビシッとぬくもるのみ。
 カランは出入り口近くに数人分並んでいるが、椅子はない。客はほとんど湯船のまわりで湯をかい出して体を洗う。
 床面の排水が遅く、タイルのひび割れなども多い。が、そのわりに清潔に保たれている。

 ここは時空のハザマに落ち込んでストンと停まった場所、と言われて100人全員が納得する空間。時計の針などピクリとも動かない。
 どこか別府のひなびた共同湯を思わせる雰囲気でもある。

 湯上りにはこいつが待っている。

 10円を横の木の箱に入れると動く

 このカクッとした造形美。もはや、もみ心地などどうでもいい。こいつが10円で小刻みに動いている姿そのものが菩薩であり信仰の対象である。

 限りなくシンプルであるにもかかわらず、訪れるほどになぜか奥深さを感じさせる不思議な銭湯だ。 (2012.4.1)
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西脇温泉

西脇市西脇982-10 地図
(0795)22-2249

【営業時間】15:00〜23:00
【定休日】月曜日

 JR加古川線の西脇市駅から北へ2km弱。
 染物で栄えた旧市街にある神姫バスターミナルから東へ5分ほど歩くと、杉原川の手前のローソン横に、永ちゃんのシャッターと中華料理屋が並んでいる。
 おや? そのスキマがトンネルみたいになってるぞ。恐々のぞいてみると、奥になにやら青い看板と暖簾が見える。えっ、もしかして・・・。

  バック銭湯、俺ヤザワよろしく

   
 (左)ここをくぐんなよベイベー  (中)暖簾が見えたらヨロシク  (右)オバチャンもヨロシク

  
 (左)格子状のガラス戸がシブイぜ  (右)右の路地から出りゃマンボ!

 うーむ。秘密の路地奥にたたずむ、この穴場感がたまらない。
 玄関前をおばちゃんがホウキで掃いている。ほぅ、濃いロケーションのわりに、なんかこの銭湯すごくきれい。建物は古い入母屋造りなんだが、切妻部分のしっくいも真っ白だし看板も新しいし、なかなかの美形だ。

 男女別の暖簾の後ろには、格子状に擦りガラスの入った古い木の戸がある。これをガラガラと開けるとすぐタタキに下駄箱と番台、ともに新建材で改装済。
 だが脱衣場は、つるつるに磨かれた年代ものの板の間がひろがっている。
 見上げると格天井に3枚羽のプロペラがぶら下がる。格子に組まれた木が太めで、がっしりした感じ。浴室入口の両脇も木の柱がしっかり支えている。
 ロッカーや男女仕切り壁は昭和的合板に改装されているが、その他は年季の入った木造空間で、じつに落ち着いた雰囲気。余計なものも置かれておらずスッキリ清潔な印象だ。

 浴室は一般的なタイル張りに改装されていて、古さはあまりない。でも中央壁寄りの深浅主浴槽のへりには昔ながらの御影石が使われている。エエ手触りやのぉ。
 浴室上部には4つの窓が並んでいるが、ここも古い木枠が健在だ。
 そのくせ浴室の奥にはスチームサウナ&立ちシャワーがあるぞ。こりゃうれしいねぇ。シャワーはちょっとゆるいけど。

 全体的に美しく管理されていて気持ちがいい。田舎銭湯にありがちな雑然とした感じはまったくない。
 唯一残念だったのは、湯上がりに飲み物販売がないこと。脱衣場でゆっくりくつろぎたかったが、クソ暑い中を歩いてきてさらに風呂に入ったもんだから、もう喉カラカラでじっとしとれんかった。カルピスでもありゃ★つけたのにな。 (04.7.15)

※2011年追記:現在、永ちゃんも中華料理屋も更地になっています。
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